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第1,194話 「学園祭④」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊『第3巻』発売決定しました! 6月27日発売予定!※予約受付中です!

何卒宜しくお願い致します。

 ここは現世から遥か遠き……

 としかいえない、所在不明の場所。

 時間と次元の狭間、異界と呼ばれる不可思議で奇妙な世界である。


 謎めいた異界は光がまったくなく、漆黒の闇に包まれている。

 

 その異界で……

 異界を創りだしたひとりの悪魔が怨嗟の声を発し、凄まじい恨みの念を放っていた。


 不機嫌を絵に描いたような憤怒の表情をした悪魔の名はネビロス、

 上級と呼ばれる猛き悪魔であり、『冥界の元帥』と呼ばれている。

 

 このネビロス……

 今迄にルウとはいろいろあり、因縁浅からぬ間柄である。


「ふむ、やっと肉体が修復したか……失われた魔力も徐々に満ちてきたわい」


 以前ネビロスは……

 いにしえに滅んだガルドルド魔法帝国の遺跡を本拠として、

 怨念と憎悪に彩られた虚無とも言える『死者の国』を造ろうと目論んだ。


 しかしネビロスが影で操った悪魔シトリーを倒したルウが、遺跡へ赴き……

 邪悪な魔法で手なずけた帝国の戦闘用自動人形(オートマタ)ヘレヴを放ったが全く通じなかった……


 魔法帝国が対悪魔用として魔法工学の粋を集めて造り上げた無敵のヘレヴも、

 ルウの前にあっさりと敗れ去ったのだ。


 また、ルウは単にヘレヴを倒しただけではない。


 異界へ隠れ潜んでいたネビロスへ過激な悪戯を仕掛けた。

 ヘレヴに取り付けた爆破装置を簡単に外したどころか、

 その装置をネビロスが隠れ潜む異界へ転移魔法で送り込み、足元で爆発させたのだ。


 幸い……

 至近距離で爆発した強力な魔導爆薬も、ネビロスの魂を破壊するまでには至らなかった。

 だが彼の肉体は粉々になり、膨大な体内魔力は完全に失われてしまった。


 魂となったネビロスは緊急避難用に創ってあったこの異界へ逃げる事は出来たのだが……

 ここまでに回復し、復活するまでには、とてつもない時間がかかったのである。


「うぬぬぬ……ルウ・ブランデルめ! 百万回殺しても飽き足らぬ」


 ネビロスはこれまで、ルウには何度も煮え湯を飲まされて来た。


 悪魔ベリアルと組み、グウレイグのアリスを悪鬼として取り込んだセントヘレナ郊外の『泥の池』では、そのアリスを奪還された上……

 切り札として召喚した真竜王の不死竜ドラゴンゾンビまで、創世神の御業のひとつ、抜き身の剣(ヘレヴシェルファ)により倒されてしまう。


 更にヴァレンタイン王国南方のアエトス砦では、これまた配下の悪魔イポスを、

あっさりと生け捕りにされてしまった。


「ルウめ、あ奴に会う度、儂の大事な手駒が奪われる! それもこれから役立つ者ばかりが!」


 そう、ルウはネビロスの忠実な数多の配下達を倒し、または戦闘不能にして来た。


「ちっ! いまいましいが……創世神の御業をふたつも……それに同時に使えるあ奴には、まともに正面から行っても歯が立たぬ」


 暫し、ネビロスは考えをめぐらした。

 だが……

 『名案』は浮かんでは来なかった。


「さて……どうしたものか。このまま何もせず、無抵抗で引っ込むのは儂の性に合わん。誇り(プライド)も許さん!」


 そう考えるのは、もう何度目だろうか?

 

 何万回?

 何億回?


 しかしネビロスは「懲りる」という言葉を知らない悪魔なのだ。


 自問自答するネビロスに向かって、低い男の声が……


「ネビロス様……」


「おお、グラシャボラスか?」


 悪魔グラシャボラス……

 冥界の伯爵。

 通称『虐殺の総統』

 ルイ・サレオン72柱のひとりで、やはりネビロス配下の魔族である。


 グリフォンの翼を持つ黒犬の姿をしており、迅速、勇気、大胆、戦術、

を担当する。


 あらゆる学芸を他者へ教授する事が可能であり、過去現在未来を見通す占術も得意である。

 また対象者を透明にする力も有している。


 性格は意固地で陰湿。

 人心を惑わし、猜疑心を蔓延させる事を至上の喜びとし、

 内乱、内紛を心の糧とする。


 争い事……

 暴力、喧嘩、殺戮さつりくを最も好む悪魔であり、

 すなわち……外道なのだ。


「はい、わたくしめに、ルウを懲らしめる良き作戦がございます」


「何? ルウを懲らしめるだと!」


 グラシャボラスの言葉を聞き、ネビロスは色めき立った。

 しかし続いて出た言葉は、ネビロスの期待に反するものであった。


「はい、ネビロス様。私は正面から、あ奴に打ち勝ち、その肉体を傷つけるのは難儀すると認識しております」


「ふん、大きな事を申した割に、随分と弱気ではないか?」


 と言いつつ、何か打てる策があればとネビロスは期待した。

 対して、グラシャボラスはきっぱりと言い放つ。


「はい! ですが我々の仕業と知られずに、奴の大事にしているものを貶め、誇りを破壊し、心を傷つけるのは容易かと!」


「むう……我々の仕業と知られずに、あ奴の大事にしているものを貶め誇りを破壊し、心を傷つけるだと! それは一体何だ?」


「は! 魔法女子学園なる人間の学び舎であります!」


 グラシャボラスの答えを聞き、ネビロスは少し焦れた。


「魔法女子学園……それは分かっておる! だが、あ奴はこちらが襲う事も想定し、しかと備えておる」


「ふふふ、わたしめは密かにと申し上げました」


「密かに?」


「はっ! あ奴に知られず、謀り事を行う良き方法があるのです」


「よし! その方法を聞くとしようか!」


 やがて……闇に溶け込み見えない影はふたつから、ひとつになった。

 謎めいた異界で、怖ろしい陰謀を企む悪魔が居るとは、誰も知る由がなかったのである。

東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説版第1巻~7巻

(ホビージャパン様HJノベルス)

大好評発売中!

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊『第3巻』発売決定! 6月27日発売予定!※予約受付中!

既刊第1巻~2巻も大好評発売中!

※月刊Gファンタジー大好評連載中《作画;藤本桜先生》

☆5月18日発売のGファンタジー6月号に最新話が掲載されました。

今回はセンターカラー掲載です。乞うご期待! 

また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。

WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。

毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、連載中である

「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」

も宜しくお願い致します。

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