第1,192話 「学園祭②」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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やがて……
3人の教師を交えた生徒会メンバーの会議は終わった。
他に重要な職務がある事から、フランとケルトゥリは生徒会室を去り、
後には顧問のルウと生徒会メンバー計6名だけが残された。
伝統ある男子魔法学園との対抗戦。
唐突に生徒代表になってしまったオレリーは、先ほどからずっと黙っている。
とんでもない大役を任されたからか、相当なプレッシャーを受けているようだ。
穏やかな表情でルウが見守る中……
メインの議題である学園祭の段取り「そっちのけ」という感じで、
マノン以下がオレリーを慰め、力付けていた。
「オレリーさん、元気を出してくださいな」
「私達も力を貸しますよ」
「大丈夫です、オレリーならきっと勝てます」
「リーリャも精一杯応援しますから」
もしも代われるものなら、代ってあげたいと全員が思っている。
特に目立ちたがり屋で、自分に絶対的な自信を持っているマノンは、
許されるのなら、オレリーの代わりに、
自分が出場したいとまで考えていた。
「ちょっと良いですか、ルウ先生」
「何だい、マノン」
「私が、生徒会長の代理として、オレリーさんと交代したいって希望したら……叶いますか? 何か特別な方法を使って……とか」
何か特別な方法を使って……
マノンの言い方は、何となく意味ありげな『含み』があった。
彼女は暗に……
ルウに自分の知らない『未知の魔法』を使って貰い、
オレリーを救う事を打診したのだ。
ビンゴ!
確かに、マノンの『勘』は正しかった。
ルウならば容易い事だ。
魔法による『すり替え工作』が可能なのである。
つまり変身魔法で、マノンを擬態させ、オレリーそっくりに仕立てあげれば良い。
しかし……
そんな事をしても、所詮小細工である。
発覚する可能性は極めて低いが……
万が一露見したら、魔法女子学園は、とんでもない汚名を被る事となる。
それに替え玉出場など、結局は、オレリーの為にも、マノンの為にもならない。
マノンの申し入れを聞き、ルウは難色を示した。
彼は彼でオレリーを心配し、いろいろと考えているようだ。
「特別な方法か……う~ん、難しいだろうな」
「ですか……」
ルウの返しを聞き、言葉少なになるマノン。
しかしルウは怒っているわけではない。
マノンはオレリーの事を案じ、彼女なりに遂行可能な事を考えた結果である。
「マノン、お前がオレリーを心配する気持ちは嬉しい。だが……」
「だが? だがって何ですか?」
「おう! 相手が、小細工などせず正々堂々と来るのならば、こちらだって姑息な魔法など使わない方が良い、俺はそう思う」
ルウの言葉に、その場の全員が悟った。
相手がフェアならば、正々堂々と戦うべきだと。
更にルウは話を続ける。
「相手がフェアならば、否、フェアであって欲しいのだが……その場合、もう作戦は決まっている」
「…………」
「自分の力量、得意技を知り、相手の事も知り、対策を立てるんだ」
「ルウ先生、それはどういう事ですの?」
今度ルウへ尋ねたのは、ジョゼフィーヌである。
彼女も『一番の親友』が心配でたまらないのだ。
「ジョゼ、説明しよう。皆も聞いてくれ。……彼を知り己を知れば、百戦、殆うからずと言う言葉がある」
「彼を知りって……どういう意味ですか、ルウ先生」
「ぜひ! 教えてくださいっ!」
今度はポレットと、リーリャのふたりが思い切り身を乗り出した。
「古代の諺さ」
「「「「「ことわざ?」」」」」
「うん、諺。敵の実力や現状をしっかりと把握し、自分自身のことを良くわきまえ、把握して戦えば、何度戦っても、勝つ事が出来るって意味」
「ルウ先生、もう少し詳しくお願いします」
「OK、マノン。何か問題が起こって、解決する際には、まず問題の中身を徹底的に分析する。その上で己の力量をしっかり認識した上で対処すれば、上手く行く可能性が高い」
「な、成る程」
「つまりだ、相手の戦法や癖、弱点を調べて、オレリーが自分の戦い方を考え、鍛錬する事は可能だし、それは全然卑怯ではない。その方が、より勝機が見えて来る」
「…………」
「俺は生徒会の顧問だ。オレリーが全力を出せるように、気持ち良く勝利出来るように最大限バックアップしよう」
ルウはオレリーを見据え、力強く言い放った。
このように力付けられれば、もう心配する事はない。
4人はそう思う。
「本当ですか?」
「やった!」
「ルウ先生がフォローしてくれるなら、安心ね」
「最大の援軍来たる、ですねっ!」
マノン達は喜んだが……
一転、ルウの顔付きが厳しくなる。
「しかし……」
「「「「しかし?」」」」
「例外もある」
「例外?」
「相手が卑怯な手を使い、オレリーの命を危険にさらそうとする場合」
「…………」
「俺は、禁じ手の魔法を使ってもオレリーの命を守る事を優先する」
「「「「お~~」」」」
4人全員から大きな歓声があがり、中でもオレリーは安堵した表情を見せる。
やはり、ルウは頼りになる。
期待に満ちた視線が、4人の女子から一心にルウへ向けられていたのであった。
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最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」
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