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第1,145話 「専門科目授業①」

愛読者の皆様!

連載を再開致しました。

改めて宜しくお願い致します。


明日、土曜日12月21日は小説版第7巻発売記念として、

『特別閑話 騎士道と云ふは甘い事と見つけたり:前編」を、

明後日、日曜日12月22日は、

『特別閑話 騎士道と云ふは甘い事と見つけたり:後編」をお送り致します。

 9月も下旬に差しかかり、秋も深まったある日……

 ヴァレンタイン王立魔法女子学園屋外闘技場では、2年生が受講する専門科目の授業が行われている。

 担当教官はルウ、同副担当はオッドアイを持つ双子のボワデフル姉妹の姉カサンドラである。


 学科は上級召喚術。

 クラスはA組。

 上級召喚術とは、使い魔より遥かに上、中級以上の魔族を従士として召喚する事を目的とした授業である。


 今年の3月にフランを救った事がきっかけで魔法女子学園の臨時教師として赴任したルウであったが……

 今や都合3科目5クラスの担任を任されている。

 フランが担任の2年C組の副担任も務めているから、常人では考えられないくらいの仕事量であった。

 その上、生徒会の顧問、魔法武道部の副顧問もこなしているから、何とも凄まじい。


 2年生、否、学年を問わず魔法女子学園の全生徒達はルウの超人的な仕事ぶりを良く知っており、彼の人間離れしたキャパを不思議がった。

 よく全ての業務を平気でこなせるものだと。


 口さがない生徒の中には、ルウが人を遥かに超えた『超人』もしくは『魔人』と渾名あだなを付ける者も居た。

 しかし、その渾名は表には殆ど出て来なかった。

 面と向かってルウが呼ばれる事もなかった。


 何故ならば、それらの渾名が悪意を持って命名されたものではなく、ルウに対する好意から生まれたものであり、生徒達は畏敬の念を持って密かにそう呼んでいたからである。


 また『魔人』という悪しき言葉の響きにあるような恐ろしい雰囲気はルウにはなかった。

 確かに彼が行使する魔法の実力と知識が抜きんでているのは勿論、その上怖ろしいほどの強さも持ち合わせている。


 だが困った生徒が公私に亘って相談を持ち掛けると、どんな些細な内容でも、

 いつでも気さくに対応するという柔軟さもある。

 生徒のみならず、教職員を含めた誰もがルウを慕い、頼りにしていたのである。


 ルウが行う授業方法も型破りである。

 学園の前例にない方法がどんどん取り入れられた。

 部活の魔法武道部を実戦形式のクラン型訓練方法にしたのを始め、専門科目においても生徒の進捗状況に応じて、更にいくつかの班に分けたのだ。


 例えばこの上級召喚術。

 魔法女子学園の2年生における必須課題のひとつに『使い魔召喚』がある。

 生徒各自の召喚魔法の適性を見極める重要な課題であり、クリア出来ない者は上級召喚術という上位クラスには進めないと言うのが慣例であった。


 しかしルウは課題をクリアしていない者も受け入れた。

 彼によれば、生徒の成長度合いは千差万別。

 晩成型の魔法使いはもっと時間をかけて学び、訓練をすれば、隠された素晴らしい才能が花開く場合もあると意見したのである。


 理事長のアデライドは慎重に検討した上、ルウの意見を認め、採用する英断を下した。

 ルウが提案する授業方法を採用する事で、生徒達の才能開花の可能性がぐんと高まり、学園の実績にもつながる。

 また従来の授業方法にも新味が加わると考えたからである。


 奇抜な方法を採用するかと思えば……

 ルウは基本的な反復訓練も重視した。


 魔法使いは、効果の高い派手な魔法を習得すると、基本をおろそかにするケースが多い。

 そもそもルウの基本訓練のかなめは呼吸法である。

 それも生徒個々に最も適した方法を模索し、見極める。

 呼吸法をしっかりと行う事で、体内魔力を高め、精神の安定と集中を行い、円滑な魔法発動を促したのである。

 これは彼の受け持つどの科目の授業でも変わる事はなかった。


 今、行われているこの上級召喚術の授業も同様である。

 使い魔召喚の課題をクリアしていない者はC班所属として、呼吸法と言霊詠唱の反復訓練に多くの時間を割いている。


 だが反復練習の繰り返しだけでは生徒達がすぐに飽きてしまう。

 特にC班は他班より疎外感を覚えるので、ルウは受講生徒達全体のモチベーションアップの為、3班まとめての合同授業も織り交ぜていた。


 今、ルウが話しているのは召喚魔法を習得しようとする生徒全員が所持している魔道具『ペンタグラム』の説明である。


 ペンタグラムとは五芒星をかたどった魔道具である。

 素材は金製、銀製、ミスリル製が主で、ペンダントに加工されているものも多い。

 この五芒星とは五光星、五稜星あるいは五角星とも呼ばれており、5つの角を持つ星のマークだ。

 この五角に火・水・風・土の四大元素及び魂を加えた5つのエレメントが対応していると考えられてもいる。

 すなわちこの世界の『成り立ち』をシンボリティックに表している図形なのだ。


 それ以上にペンタグラムが知られているのは『護符』としての効用である。


 そもそも邪なる者は、己の身を漆黒の闇に潜め、存在をひたすら隠そうとする傾向があるという。

 つまり邪なる者の弱点は存在を明らかにされる『視点』なのである。

 五角形のペンタグラムの交差する部分はことわり的に視点とみなされており、邪なる者が嫌うのだ。


 またこの五角形は結界の意味もある。

 術者が閉ざされた図形である形状のペンタグラムを身につける事で、外部から干渉出来ない封鎖された結界をその身に生じさせるという効果もあるのだ。


 元々ペンタグラムの効用は『使い魔召喚』の課題説明の際、教授される内容ではある。

 だが、ルウはやはり基礎を重んじる為、上級召喚術の授業においても、より詳しく説明する。


「……という事で、改めてペンタグラムの効用を理解したと思う。特に支障がなければ常に携帯する事を推奨する」


 ルウの授業を聞きながら……

 オレリーは、胸から提げた銀製のペンタグラムにそっと、触れた。

 彼女の所持するペンタグラムは学園の購買で手に入れたものではない。

 ある事件の際、ルウから譲って貰った特別な物だ。

 

 そして、このペンタグラムは新品ではない。

 長年にわたり使い込まれた、渋い趣きのペンタグラムは、ルウの師シュルヴェステル・エイルトヴァーラの形見なのである。


 幼いルウがこのペンタグラムを使い、師と共に召喚魔法の修行をしたという。

 そう思うとオレリーの心の中には……

 人里離れた深い森で、黙々と修行する、黒髪の少年が浮かんだのであった。

いつもお読み頂きありがとうございます。


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