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第1,140話 「ジゼルとナディアのサプライズ⑧」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』

(小説書籍版:HJノベルス様刊)


最新刊第6巻が5月24日に発売されました。

カーバンクルを肩に乗せたリーリャが目印です。

またアドリーヌが挿絵で初登場!

ぜひご覧になってください。


小説書籍版は既刊第1巻~5巻も好評発売中です。

店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。


既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。

この機会に6巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。

ぜひ当作品を「ぐいっ!」と後押しして下さい。

何卒宜しくお願い致します。


既刊をご購入された方は、

小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへご一報をください!

東導は感謝感激状態となります。

何卒宜しくお願い致します。


そして!


※『コミックス第1巻』が『5月27日』に発売されました。

お陰様で何と!!!

早くもコミックス第1巻の重版が決定致しました。

また第2巻の発売も決定しております。

ありがとうございます。

深く深く感謝致します。


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WEB版、小説書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。

 1時間後……

 場所は変わってカルパンティエ家大広間。


 ジゼルとナディアは「今か今か」と待っていた。

 そう、先ほどの食事の際はなかった、これから『仕切り直し』ともいえるデザートタイムなのだ。


 但し、単なるデザートタイムではない。

 長き日に亘り修業を積んだジェロームが作った焼き菓子を改めてジゼルに食べて貰い……

 決意を認識して貰い、今日という日を素敵な思い出とする為のスペシャルタイムでもある。


 やがて……

 続々と様々な種類の焼き菓子が運ばれて来る。

 見栄えも良く、どれもこれも美味しそうだ。


「おおおっ!」

「す、凄い!」


 ジゼルとナディアは思わず感嘆の声をあげる。

 どうやら使用人達も全て承知でジェロームを応援しているらしい。

 皆、笑顔で焼き菓子を運んで来るからだ。


 やがてパティシェ姿のままのジェロームとシモーヌが厨房から出て来て、ジゼル達と合流する。

 ジゼルはもう我慢出来ず、向かい側に座ったジェロームへ声をかける。


「あ、兄上! 凄いな、こんなにいろいろな種類の菓子が作れるのか?」


 あの幼き日……

 ジェロームが作った菓子は数種類だけだった。

 今、目の前に置かれている菓子はざっと数えても20種類を超えていた……

 兄はどれだけ成長したのかとジゼルは思う。


「ああ、俺は長い間いろいろな店で修業させて貰ったからな。それにシモーヌもしっかりアシストしてくれた」


「い、いいえ! 私なんか……ジェローム様の指示通りにやっているだけです」


「ははは、謙遜するな、シモーヌ。お前もだいぶ腕をあげた」


 ジェロームはそう褒めると、恥じらうシモーヌへ優しく微笑んでから、使用人達へ告げる。


「厨房にある菓子はお前達の分だ。部屋で休憩しながら思う存分食べてくれ。その代わり当分父上と母上には内緒だぞ」


「ジェローム様、ありがとうございます!」

「ありがたく頂戴いたします」

「何かあれば、すぐお呼びくださいませ」


 使用人達は満面の笑みを浮かべ、厨房へ入って行った。

 ご馳走のご相伴に預かって最高に嬉しいという趣きである。

 その様子を見てジゼルは苦笑した。


「凄いな、兄上の菓子は……彼等のあの喜びよう……だが、もしも父上に知られたら」


 上級貴族である当主に対し、使用人が隠し事をする……

 人によってはとんでもない事になりかねない。


「いやいや、さすがに使用人達へ本当の事は伝えていない。俺の菓子作りはあくまで趣味の域でと伝えてある。もし父上に知られた時も俺が責任を取るともな」


「な、成る程!」


「ははは、さあ! 俺の作った菓子を食べてくれ、ジゼル。あの時のように……」


「はいっ!」


 ジゼルは元気よく返事をし、手を伸ばし、菓子を掴み……かじった。


 彼女の舌に感じたのは……

 ルウが先日持ち帰った『男子会のおみやげ』と同じ味である。

 否、比べれば、作りたてだけあって数倍美味しい……


 やはり……

 幼き日に感じた美味しく懐かしい味だけではなかった。

 兄はあれから長きに亘り研鑽を積み、菓子職人として著しく成長したに違いない。

 味の方向性が全く違うので単純に比較は出来ないが、あの金糸雀キャネーリに全く劣らないクオリティだったのである。


 ジゼルは思わず叫んでいた。


「素晴らしいぞっ、兄上っ! 旦那様は勿論、アデライド理事長にも自信を持って出せる逸品だ! 否! 父上にだって私から堂々と出せる」


 愛する妹の最大の賛辞を聞き、ジェロームはシモーヌと顔を見合わせ、晴れやかに笑ったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ジゼルのお墨付きが出た事から、場は一層和やかになり、4人は話に花を咲かせた。

 ジェロームの話から、他の3人に関しても将来の話が中心となった。


 ナディアが考古学者志望だと聞き、それがきっかけでケヴィン・ドゥメールの『ルウ引き抜き事件の話』となり、フランが激怒した事を知ってジェロームとシモーヌは大いに笑った。

 普段あんなに大人しいフランがそこまで怒るなど想像出来ないとふたりは思ったのだ。

 卒業後、魔法大学に進み、大いに勉強したいというナディアをジェロームとシモーヌは頑張れとエールを送った。


 次に自分の将来を語ったのはシモーヌである。

 彼女は初志貫徹。

 幼い頃からの夢である王都騎士隊へ魔法騎士として入隊すると宣言した。

 近いうちに行われる1次試験を受けるという。


「ジゼル、お前も入隊試験を受けるよな?」


 シモーヌが尋ねると、ジゼルは首を横に振った。


「いや、私はナディア同様、魔法大学に進学する。考古学を学ぶわけではないが」


「むうう……最近のお前の言動から薄々分かってはいたが……幼い頃から共に王都騎士を目指して来たお前があっさり夢を捨てるとは」


「捨てる? いや、新たな騎士以上の目標が出来たのだ」


「新たな騎士以上の目標? おいおいジゼル、悔しいがはっきり言って騎士としてお前の素質は私より遥かに上だ。勿体ないとしか思えん……」


 シモーヌは親友であると共にライバルとしてジゼルを認めていた。

 自分より遥かに上の『武』の才能を持つ者として……


 しかしジゼルは再び首を横に振った。


「いや勿体なくない……先ほどの兄上の話ではないが、私は優れた後進を育てる為、教師になろうと思う。魔法大学を卒業したら母校魔法女子学園へ戻り教師となる」


「ジゼル……」


「気が付いたんだ。私は戦いが好きだが、それ以上に人へ教える事が好きだと……人が成長するのを見るのがとても嬉しいと……それに私はシンディ先生へ跡を継ぐと宣言した」

 ※第945~946話参照


「…………」


「だが私は今後も強くなろうとする努力は怠らん。切磋琢磨し、いずれは鉄姫と呼ばれたシンディ先生を遥かに超えてみせる」


 シモーヌもシンディが夫キャルヴィン・ライアン伯爵の楓村移住に伴い、王都を離れる事を知っている。

 目標としていたシンディの仕事を引き継ぐというのはジゼルらしいとも思う。


 結局、ジゼルと一緒に王都騎士になるという夢は叶いそうにないが……

 目の目に居るジゼルの目は将来を見据え、希望に満ちキラキラ輝いていた。

 ふたりは違う道を歩む……

 それが今日はっきりしたのである。


「分かった! 頑張れ、ジゼル」


 幼い頃からの親友であり、将来『妹』にもなるジゼルの決意に、シモーヌは納得し心からのエールを送ったのである。

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