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第1,138話 「ジゼルとナディアのサプライズ⑥」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』

(小説書籍版:HJノベルス様刊)


最新刊第6巻が5月24日に発売されました。

カーバンクルを肩に乗せたリーリャが目印です。

またアドリーヌが挿絵で初登場!

ぜひご覧になってください。


小説書籍版は既刊第1巻~5巻も好評発売中です。

店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。


既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。

この機会に6巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。

ぜひ当作品を「ぐいっ!」と後押しして下さい。

何卒宜しくお願い致します。


既刊をご購入された方は、

小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへご一報をください!

東導は感謝感激状態となります。

何卒宜しくお願い致します。


そして!


※『コミックス第1巻』が『5月27日』に発売されました。

お陰様で何と!!!

早くもコミックス第1巻の重版が決定致しました。

ありがとうございます。

深く深く感謝致します。


「Gファンタジー」様によれば重版分がそろそろ配本されているようです。

初版を手に入れられなかった方はこの機会にぜひご購入ください。


その『コミカライズ』大好評連載中です。

株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌、

月刊「Gファンタジー」にて、

藤本桜先生の筆致で描かれる華麗な魔法世界を体感してください。

7月18日に発売された8月号には第7話が掲載されております。

どうぞお楽しみください。


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また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ第1話の試し読みが出来ます。

WEB版、小説書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。

 ジゼルとナディアがカルパンティエ家の大広間へ入ると……

 もう食事の準備は整っていた。

 やはりナディアは事前にしっかり話を通していたのだ。


「うう~」


 赤の他人ならともかく、敬愛する兄と幼い頃からの親友、ふたりから『のけ者』にされたと思い込んだジゼルはますますむくれてしまった。


 しかし……

 辺りを見回すと、何故か両親の姿がない。

 どこかへ出かけたのであろうか?


 気になったジゼルはジェロームへ尋ねてみる。


「あ、兄上」


「ん?」


「父上と母上は?」


「ああ、出かけた」


「出かけた?」


「うん、父上は俺と同じく今日は休暇でな。食事付きの観劇とディナーの予定で午前中に出かけたよ……まあ夫婦久々の1日デートみたいなものだ」


「観劇?」


 ジゼルは不思議だった。

 母はともかく、あの武骨者の父が芝居など見るのだろうかと?

 闘技場ならいざしらず……


「父上が観劇? 兄上! 変ではないか?」


「まあな……母上にどうしてもと、せがまれた」


「でも……」


 ジゼルはまだ納得しなかった。

 いくら母にせがまれても……父は絶対に観劇には行かぬ筈だから。


「実は入手困難と言われる天才役者オーセィのプラチナチケットが手に入ってな。チケットの日にちが今日だから母上が絶対行こうと」


「オ、オーセィだと!」


 オーセィは暫く前にデビューした新進の役者である。

 しかし老若男女どんな役柄でも、その役になりきり人々を魅了する素晴らしい演技をするという。

 不世出の役者と謳われ、瞬く間に売れっ子となったが、何故か冒険者を兼ねていて、公演の回数は多くない。

 その為、チケットがとてもレアなものとなり、上級貴族でさえ入手困難となっていた。

 今回のチャンスを逃したら、次に見れるのはいつになるのか……

 いつもは大人しくて優しい母が父へ必死に迫ったシーンが浮かび、ジゼルは苦笑した。

 

 それにジゼルは知っている。

 オーセィは人間ではない。

 ルウの悪魔従士のひとりオセなのだ。

 彼は類まれな変身能力を活かし、人間界で役者になったのである。


 しかしまだ疑問がある。

 いくら公爵だからといって父は権力を使い、チケットを不正入手などしない筈。

 チケットの出どころは?


「兄上、そのチケットはどうやって?」


 ジゼルの疑問に対し、ジェロームはあっさり答えた。


「ああ、ルウから譲って貰った。今度ご馳走してやらないとな」


「え?」


 ルウからチケットが?

 まあルウならチケット入手は難しくないだろう。


 でも結果、夜までこの屋敷に両親が不在となった。

 何かある……ナディアが得意げにいう『ボクの番』と絶対関係がある!


 いろいろ考えていると、ジゼルの機嫌はすっかり直っていた。


「ははは、ジゼル。話はとりあえず終わりだ、もういいかげん、食事開始としよう」


「は、はい! 兄上」


 腕組みをし、考え込んでいたジゼルは兄から諭され、ようやく食事を摂り始めたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 昼食が終わった。

 ジゼルとナディアはジェロームの書斎へ通された。

 不思議な事に、ジェロームとシモーヌは準備があるから部屋で待つようにと言い、外してしまった。


 昼食中もジゼルは考えていたのだが、どうしてもこれから何が起こるのか答えが出ない。

 再び「いらいら」して来たのか、眉間には少し皺が寄っていた。


 30分が過ぎた……

 ジゼルの苛立ちはますます酷くなっている。


 そんなジゼルの苛立ちに、まるで気付かないかのように、


「うふふ、お昼ご飯、凄く美味しかったね。さすが公爵家だ、良い食材を使ってるよ、ねぇジゼル」


 のんびりした緊張感のないナディアの声が耳へ入って来た。


「…………」


 当然ジゼルは答えない。


「あれ? どうしたの? さっきから考え込んじゃって」


「…………」


「ねぇったら?」


「う、うるさいっ!」


 ナディアはいつも通り、普通に話し尋ねているのだが、苛立っているジゼルには『挑発』しているように聞こえたらしい。


「落ち着いてよ、ジゼル。少し種明かしするからさ」


「な、種明かしだと?」


「うん、ヒントとも言えるね」


「ヒント? ま、まあ良い。早く言え!」


「さっきの昼食……デザートが出なかったよね?」


「デザート? ああ、確かに出なかった。だが、それがどうした?」


「うわ、まだ気づかない?」


 このヒントでジゼルには必ずピンと来る。

 そう確信していたナディアは拍子抜けであった。


「分からん! ナディア、はっきりと言え」


 と、その時!


 とんとんとん!

 書斎の扉がノックされた。


「待たせたな、ジェロームだ。シモーヌも一緒だぞ」


 助かった!

 という表情でナディアは「すっく」と立ち上がり、扉へ走りパッと開けた。


 廊下に立つ兄と親友の姿を認めたジゼルは大声で叫ぶ。


「ななな、何だ? 兄上、シモーヌ、その恰好は!」


「ははは、ジゼル、似合うか?」

「どうだ? ばっちりだろう?」


 ジゼルに叫ばれても、当然ふたりは全く動じない。

 何と!

 ふたりは全く同じデザインをした、お洒落なパティシェ用の料理服をまとっていたのである。 

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