第1,136話 「ジゼルとナディアのサプライズ④」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
(小説書籍版:HJノベルス様刊)
最新刊第6巻が5月24日に発売されました。
カーバンクルを肩に乗せたリーリャが目印です。
またアドリーヌが挿絵で初登場!
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店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。
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ぜひ当作品を「ぐいっ!」と後押しして下さい。
何卒宜しくお願い致します。
既刊をご購入された方は、
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東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
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お陰様で何と!!!
早くもコミックス第1巻の重版が決定致しました。
ありがとうございます。
深く深く感謝致します。
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WEB版、小説書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。
ナディアはハッとし、思わずジゼルを見た。
しかし、ジゼルはオロバスに全く気付かず、熱心に本を読んでいる。
『ご安心を! 今、私の姿はナディア様にしか見えませぬ』
『…………』
『では早速ですが、ひとつお聞き致しましょう。考古学を学ぶ意義とは何でしょう。いろいろな答え、解釈があると思いますが』
『…………』
ナディアは黙ったまま答えなかった。
ジゼルはオロバスを信用出来ると言っていたが、ナディアは到底信じられない。
今日が初対面、それも相手は悪魔なのだから。
無言のナディアから答えを得られなかったオロバスだが、落胆した様子もなく、自ら答えを告げて来る。
『未知なるものを探求し、隠された真実を知る事。私はそう思っております』
『…………』
『だが、問題はその先です』
『…………』
『知り得た真実をどうするのか? そのまま自分の心の内に仕舞っておくか、それとも広く世に知らしめるのか』
『…………』
『真実から得た知識が考古学史上全く新たな情報であったり、人々の役に立つものならば、論文として発表する。まあ学者なら自身が認められたい承認欲求が働くのは当然の事です。それで栄誉と新たな支援も得られるのですから』
『…………』
『ナディア様。今、貴女がお読みになったガルドルド魔法帝国に関しての知識は当時、全く未知なるものでした。それを多くの学者が探求し、明らかにしたのです。そして論文として広く世間に発表し、こうして書物にもした』
『…………』
『しかしその強大なガルドルドは最早存在しない』
『…………』
『現在の魔法文明を遥かに超越し、栄耀栄華を誇り、世界を席巻したガルドルド……そんな国が何故亡びたのか、誰もが持つ疑問です』
『…………』
『しかしどの書物にも一切その事を記載してはいない。貴女はおかしいと思った筈です』
『…………』
『学者達の中でも聡明な者はすぐに気付いたのです。ガルドルドの滅びの原因は禁断の理に触れたからだと』
『き、禁断の理?』
思わずナディアは聞き返していた。
オロバスは大きく頷き、話を続ける。
『はい! この世界の理は、そもそも全て創世神様が定めたもの。内容や表現は長きに亘って教義として伝えられるうちに多少変わってしまいましたが……根本的には異なっておりません』
『…………』
『ガルドルドは創世神様の領域に足を踏み込んだのです』
『え?』
『人の子の身でありながら、命を悪戯に弄ぶなど絶対に許されぬ行為なのです……』
オロバスの話は具体的な表現ではなかったが……
勘の良いナディアは、すぐにピンと来た。
人間から自動人形に変えられたソフィアとテオドラの事だと気付いたのである。
『結果、創世神様はお怒りとなり、ガルドルドはあっさりと滅ぼされた……』
『…………』
『学者達の中には何故滅ぼされたのか真実を知った者も居るでしょう。しかしその真実を克明に他者へ知らしめる事は同罪となるのです』
『ど、同罪!?』
『はい、死か、それ以上の罰を受けます。学者達は真実を知り自ら控えたか、それとも怖ろしい罰を受けたのか……だから一切記載されていないのです』
『な、何故? そんなのおかしい……』
とナディアが疑問を言いかけた時、激しい口調でオロバスが遮る。
『ナディア様!!! それ以上申してはいけません。悪魔の私と人間の貴女の常識、価値観がまるで違うように創世神様のお考えは私達には計り知れない……全てが起こった結果のみから想像し、判断するしかない』
『…………』
『実は……かくいう私も禁断の理に触れた者なのです』
『え? オロバスさんが?』
『はい……私は元天界の使徒でした。禁断の理に触れた罰としてこの地へ堕とされました。もし私が使徒ではなく人の子であれば……冥界の最下層、ジュデッカへ送られていた事でしょう』
『…………』
オロバスはナディアへはっきりと言及しなかったが……
彼は天地創造の秘密がどうしても知りたくて禁忌に触れたのである……
『改めて申し上げます、ナディア様』
『は、はい!』
ナディアは話に引き込まれながら……
オロバスが真剣な表情に変わり、熱を帯びて来る口調に驚いていた。
何故?
初対面の自分にここまで親身になってくれるのかと。
同じ悪魔ながら、かつて自分を誘惑し虜としたヴィネとはまるで違うのだ。
『学者として、血と汗の結晶である自分の研究成果を発表し、世間に広く知らしめる事は大いなる喜びでありましょう。ですが、禁断の理に触れるような案件の場合、自分の胸だけにしまっておくことも必要なのです』
『自分の胸だけに……』
『はい、禁断の理に繋がる真実だけはルウ様でさえお伝えしてはいけませぬ』
『…………』
『ナディア様、当時の私は……禁を犯した時、どうなっても良いと思った。失うものなど何もなかった。天界の地位でさえも惜しくはなかった』
『…………』
『しかし貴女は違う。失ってはいけないものがたくさんある!』
『オロバスさん……』
『愛するルウ様や大切なご家族、信頼に足る仲間がいらっしゃる。万が一貴女に何かあり、下手をして周囲も巻き込んだら一生、否! 永遠に後悔する事となる』
『…………』
『この事だけは胸にしっかり刻み、忘れないで欲しいのです』
オロバスの話は単なる一般論だけではなかった。
真摯で誠実さが感じられる忠告であった。
『分かりました、オロバスさん……貴重なアドバイスありがとうございます』
もうナディアにオロバスを疑う気持ちはなかった。
素直に礼を言う事が出来たのである。
『いえ、たかが一介の悪魔が余計なお節介を致しまして』
いつのまにか……
オロバスからは真剣な表情が消え、最初にあった時の穏やかさが戻っている。
『ですが、ナディア様。そのようなリスクがあっても考古学というのは最高の学問だと私は信じております』
『で、ですよね?』
『はい! 加えて私の考えを申し上げましょう。真実を知るという事は単に隠された事象を知るだけではない。関わった者達の心情をも理解してこそ完璧な研究結果となる、だから考古学は奥深いのです』
『はい! ボクもその通りだと思います』
『ははははは、お分かり頂けますか?』
オロバスは天界から堕とされても真実を知る事に臆してはいない。
ナディアはホッとすると同時にとても嬉しくなる。
『オロバスさん、ボクまた貴方とお話したい。このお店の本も、もっともっと読みたい』
『はい! ナディア様なら大歓迎でございます。いつでもいらしてください』
こうして……
ナディアは王都の書店通りの店を、改めて『完全制覇』したのである。




