第1,135話 「ジゼルとナディアのサプライズ③」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
(小説書籍版:HJノベルス様刊)
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何卒宜しくお願い致します。
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東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
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お陰様で何と!!!
早くもコミックス第1巻の重版が決定致しました。
ありがとうございます。
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自信たっぷりに言い切ったジゼルに対し、ナディアは絞り出すような声で反論す
る。
「な、何を言っているのぉ! ジゼル、き、君はどうかしたんじゃない? あんな高い書架、もし梯子があったとしても怖くて昇れないよっ!」
しかしジゼルは笑みを絶やさない。
「まあ、見ていろ、ナディア。ここが異界にある書店だという事を忘れるな」
「え…………」
「浮かべ!」
いきなり!
ジゼルが言霊を詠唱すると、彼女の身体がふわりと浮き上がる。
「な? ジ、ジゼルっ! どうして!? 君、う、う、浮かんだよ!?」
ナディアは吃驚してしまう。
いつもの冷静さはどこへやら、目を大きく見開き、口をポカンと開けていた。
これは飛翔の魔法とはまた違って身体を浮かせたり、低速で飛べる浮遊の魔法である。
失われた古代魔法の範疇に入っており、名前と効用だけは知られていたが、人間族で使うという者はほぼ居ない。
当然、ジゼルが使いこなすなど、ナディアは今迄聞いた事もないし到底信じられない。
だが……
ジゼルは3mほど上昇し、空中にぴたりと止まった。
そしてあっさりと種明かしをしてくれる。
「ナディア、この店はな、店内全域に浮遊の魔法が仕込まれている。不思議な事に魔力も一切消費しない。お前も言霊を詠唱してみろ」
「え?」
頭上から、ジゼルにそう言われても、ナディアはまだ戸惑っていた。
悪魔が営む書店という事に対する、彼女の恐れと慎重さが出ているのかもしれない。
まあ、ルウが言えば即座に言う事をきいたかもしれないが。
「ほら!」
焦れたジゼルが数回促して……
とうとうナディアは言霊を詠唱する。
「浮かべ!」
すると!
ナディアの身体が経験した事のない魔力波に包まれた。
瞬間、彼女の身体はふわふわと浮いたが……
「な、何、これ?」
3mほど上昇したジゼルに比べ……
ナディアの身体はたった50㎝ほどしか浮かんではいないのである。
すかさず笑い声が降って来る。
「ははははは! ナディア! お前が私を信じず平常心で詠唱しないからだ」
「うう、ジゼル!」
こうなると……
実は超が付く負けず嫌いなナディアはもう遠慮なんかしなかった。
「ねぇ、ジゼル! この魔法って上昇、下降の加減とか、空中停止のタイミングとか、絶対にコツがあるよねっ! お願いっ!!! 教えてよっ!!!」
なりふり構わない親友の姿……
ジゼルは冷静沈着なナディアが大好きだが、このように素の彼女も大好きだ。
即座に下降し、ナディアに対し、丁寧に自分の知っている制御方法のコツを教えたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あははははっ」
ジゼルから浮遊魔法の制御方法を教えて貰ったナディアは、いくつもの喜びに包まれていた。
飛翔魔法ほど速度はないものの、自由自在に空を飛べる喜び。
そして改めて書架を見ると……ナディアの好みの本がぎっしり並んでいたのだ。
当然歴史書ばかりなのだが……
失われた古代魔法王国は勿論、現在あるヴァレンタイン王国やロドニア王国を始めとした貴重な書籍もあり、果てはアールヴの歴史について書かれた稀少本まである。
ナディアにとっては素晴らしい宝の山……
宝物を求めた冒険者が大量の金貨と膨大な宝石を見つけ、狂喜乱舞するのと全く同じであった。
まさに店に行く道すがらジゼルが言った通りになったのである。
少し時間がかかったが……
何とかナディアは読みたい本を絞った。
それでも冊数は軽く10冊を超えてしまった。
数回に分け、テーブルへ本を運ぶと、既にジゼルが1冊の本を熱心に読み耽っていた。
集中しているせいか、ナディアの方を見向きもしない。
「どうせ武道の本だろう」と苦笑したナディアは早速持って来た本を開いた。
当然!
最初に読む本は、失われた古代魔法王国ガルドルドについて書かれた本である。
著者はヴァレンタイン王国では誰もが知る有名な学者であり、ナディアが目標とするひとりだ。
内容はガルドルドの創立、魔法を中心にした文明の発展。
強大な軍事力を背景に瞬く間に世界を席巻したとある。
読んでみて自分が知らない知識を随分得る事が出来、有意義であった。
だが……ナディアが本当に知りたい事……
ガルドルドが何故滅びたのかに関しては一切記載が無かった。
「う~ん……」
内容の途中ではあったが……
ナディアは本を閉じ、別の著者が書いたガルドルドの書物に目を通した。
しかし彼女の期待に応える書物はやはり全く無かったのである。
とその時、
『失礼、ナディア様、少しお話しましょうか?』
ナディアの心に突如念話の声が響く。
いつの間にか、目の前に店主オロバスが立っている。
『え?』
『考古学を学ぶ先達として、ぜひ貴女様へお伝えしたい事があるのです』
呆然とするナディアに対し、オロバスは丁寧に深く一礼したのである。




