第1,132話 「私達の未来④」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
(小説書籍版:HJノベルス様刊)
最新刊第6巻が5月24日に発売されました。
カーバンクルを肩に乗せたリーリャが目印です。
またアドリーヌが挿絵で初登場!
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店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。
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この機会に6巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
ぜひ当作品を「ぐいっ!」と後押しして下さい。
何卒宜しくお願い致します。
既刊をご購入された方は、
小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへご一報をください!
東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
※『コミックス第1巻』が『5月27日』に発売されました。
お陰様で何と!!!
早くもコミックス第1巻の重版が決定致しました。
ありがとうございます。
深く深く感謝致します。
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アリスはさすがに驚いたらしい。
目を大きく見開き、口をポカンと開けている。
「え?」
「子供?」
「そ、それは!」
変化が『子供』だと聞いた使用人達も同じ反応だ。
「ああ、そうだ、アリス。私もお前もルウ様とのお子が出来れば今の生活は一変する」
「こ、子供……」
「うむ、私も故国イエーラに居た頃、子守りをさせられた時がある」
「…………」
「赤子とは可憐で私達の心を癒す存在だ。その分、手をかけ、しっかり世話をし、守ってやらないといけないくらい、か弱い存在だといえよう」
「…………」
「私には想像もつかない。赤の他人の子でさえ可愛いのに、愛するルウ様との間に生まれた自分の子ならば、どれだけ可愛がり慈しむ事だろうとな」
ミンミの言葉を聞き、アリスの頭の中は想像に満ち溢れているようだ。
「ルウ様との子……私の子……」
「そうさ、アリス。それに私達の子だけではない。妻達の誰かに子が生まれたとしても同じ。今の生活は確実に変わる」
「は、はい……その通りでっす」
「理解出来たか、アリス。時が流れ、ルウ様や人間の妻達が亡くなっても私達には大事な役目がある」
「大事な役目……」
「次代を担う子供を守り、助け、このブランデルの家を繁栄させて行く事だ」
「次代を担う子供を守り、助け、ブランデルの家を繁栄させて行く……」
「そうさ! ルウ様の血を継ぐ者達を私達がしっかり育て上げるといえばイメージしやすいだろう」
「ルウ様の血を継ぐ者達……私達がしっかり育て上げる……」
「うむ! そしてルウ様の意志を継ぎ、大切な家族は勿論、深い心の絆を結んだ仲間達を守り抜く。この王都を襲う災い一切を跳ね除けてな」
「ルウ様の意志を継ぎ、大切な家族は勿論、深い心の絆を結んだ仲間達を守る……この王都を襲う災い一切を跳ね除ける」
「どうだ? 今言った事が全てではないし、私達の役目は他にもたくさんある。役目には準備に時間を要するものも多々ある。嘆き落ち込んでいる場合ではあるまい」
「は……い……分かります」
まだ元気が出ないアリスを見て、ミンミは軽く息を吐いた。
「それと、アリス。私が何故悩みを解消出来たか教えよう」
「ミンミ姉が悩みを解消出来た?」
「ああ、ルウ様とはあと僅かな時間でお別れしなくてはならないという悩みをな」
自分達に重大な任務があるのは分かる。
でも皆、ルウと別れるのがただただ辛いのだ。
その悩みを解消した方法がミンミから語られる。
アリス達は一斉に喰い付いた。
「そ、それ! 聞かせてください」
「ぜ、ぜひ!」
「お願いします!」
「知りたいです!」
身を乗り出して迫るアリス達。
せがまれたミンミは小さく頷いた。
「分かった……私達、アールヴ族は輪廻転生を信じている。その教えの為に悩みを吹っ切る事が出来たのだ」
「輪廻転生?」
「それって?」
「何でしょう?」
「教えてください!」
アリス達全員から尋ねられ、ミンミは答える。
「輪廻転生とは……死して肉体から放たれた魂が転生して何度も生まれ変わる事をいう。つまりルウ様が亡くなられても宿命の星の下に結ばれた私はまたあの方と巡り会う、絶対に。そう考えたら気持ちが軽くなった」
「宿命の星の下にまた巡り会う……ルウ様と」
「アリス、言っておくが、ルウ様が亡くなられても私は後追いして自死などする気はない。そんな愚かな事をしてもルウ様は絶対に喜ばないからだ」
「…………」
「ルウ様が亡くなられても、私は悲しみに耐え、与えられた役目を全うする。生きるだけ生き、ブランデル家の為に尽くし、寿命が尽きた後は長い旅に出る」
「生きるだけ生き、寿命が尽きた後は長い旅に……」
「ああ、死して魂となった私はいずれ全く違う誰かに転生するだろう。ルウ様だって別人になっていらっしゃるかもしれぬ。それに今、私達が生きる世界とは全く違う異世界で出会うかもしれぬ」
「…………」
「私の旅は長き困難なものとなるだろう」
「…………」
「考えてみてくれ、輪廻転生を信じているといっても、今の私は前世の記憶を全く持たぬ」
「…………」
「もし運良くルウ様と出会ってもお互い気付かぬかもしれない」
「…………」
「だが私は諦めない。たとえ数千年、いや時間がどんなにかかろうが、ルウ様と再会する。そして宿命の星の下に必ず愛の絆を結ぶ」
きっぱり言い切ったミンミは晴れやかな笑顔を浮かべている。
アリスも自分の役割を知り、ミンミの決意も聞いた事でだいぶ励まされたようだ。
「ミンミ姉の言う通りっす。アリスだってルウ様と必ず巡り会う」
「おお、アリス、その意気だ」
「はいっす! それに私の寿命が尽きるまでブランデルの家をしっかり守り、大いに盛り立てて行くっす」
アリスの宣言を聞いた使用人達も次々と拳を振り上げる。
どうやら『悩み』は解消されたらしい。
「私だって必ずルウ様と巡り会う!」
「ルウ様の子供達を絶対守ってみせます」
「悩んでいる暇なんかないですね、もっともっと頑張ります!」
ブランデル邸にまた元気な声が戻って来た。
ミンミとアリスは改めて顔を見合わせ、笑顔で頷いたのである。




