第1,130話 「私達の未来②」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
(小説書籍版:HJノベルス様刊)
最新刊第6巻が5月24日に発売されました。
カーバンクルを肩に乗せたリーリャが目印です。
またアドリーヌが挿絵で初登場!
ぜひご覧になってください。
小説書籍版は既刊第1巻~5巻も好評発売中です。
店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に6巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
ぜひ当作品を「ぐいっ!」と後押しして下さい。
何卒宜しくお願い致します。
既刊をご購入された方は、
小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへご一報をください!
東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
※『コミックス第1巻』が『5月27日』に発売されました。
お陰様で何と!!!
早くもコミックス第1巻の重版が決定致しました。
ありがとうございます。
深く深く感謝致します。
「Gファンタジー」様によれば重版分がそろそろ配本されているようです。
初版を手に入れられなかった方はこの機会にぜひご購入ください。
その『コミカライズ』大好評連載中です。
株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌、
月刊「Gファンタジー」にて、
藤本桜先生の筆致で描かれる華麗な魔法世界を体感してください。
6月18日に発売された7月号に第6話が掲載されています。
ぜひ楽しんでください。
※「マンガUP!」様でも好評連載中です。
スマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。
コミカライズ第1話の試し読みが出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。
ミンミが大広間へ行くと、アリスがテーブルに突っ伏していた。
否、アリスだけではない。
外出中のアルフレッドを除く使用人達も同様である。
何かにショックを受けて落ち込んでいるという趣きであった。
だが数人ならともかく全員が突っ伏すというのは大事だ。
ルウとモーラルの指導が行き届いている事もあり、通常なら元気よく整列してミンミを迎える筈であるのだが……
「なんだ、なんだ? 元気がないのはソフィアだけじゃないのか? 皆、一体どうした?」
さすがに驚いたミンミが全員へ声をかけた。
が、しかし……全く反応なし。
相変わらず無言のソフィアも含め、大広間は静まり返っていた。
「おい、いい加減にしろ。返事くらいしてくれ」
「ああ、ミンミ姉、ようこそ……いらっしゃい……」
漸く半身を起こしたアリスがミンミを見てぎこちなく笑った。
普段は家族の中でも一番といっていい明るい性格のアリスの顔が強張っている。
「おい、アリス。一体どうしたんだ?」
「ええ……ちょっと」
アリスはまだ悩み事の理由を言わない。
「相当根が深い」とミンミは感じた。
こうなれば力技ではなく正攻法で尋ねるしかない。
「ふむ、だがアリスは勿論、使用人のお前達全員がこのように元気がないとルウ様やフランシスカ様に迷惑がかかるぞ」
「は、はいっす。ミンミ姉の仰る通りっす」
やはりアリスは素直に返事をした。
「ルウに迷惑がかかる」というのがアリスの最も辛い言葉なのだ。
大きく頷いたミンミは思い切り身を乗り出す。
「よし! もし悩み事があるのなら今から私が相談に乗るから、何とか解決するのだ」
「わ、分かりましたっす。それにミンミ姉なら私達の気持ちが分かってくれると思うっす」
「私ならお前達の気持ちが分かる?」
「はい!」
ミンミならアリス達の気持ちが分かる……
意味ありげな事を言うアリスの美しい碧眼をミンミはじっと見つめたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
突っ伏していた者達もアリスの説得で顔を上げ、遂にアリス達は悩み事を聞ける事となった。
かといってあまり時間に猶予がない。
夕方遅くに帰宅するルウ達はともかく、モーラルとアルフレッドは午後2時30分に帰って来るのだ。
もう午後0時を過ぎたから、後2時間と少ししかないのだ。
その2時間以内に話を聞き、解決しなければならない。
ミンミがアリスに目くばせし、魔導時計を指さすとアリスもすぐに理解したようである。
軽く息を吐くと、早速話が始まった。
「ミンミ姉、悩みというのは私達とルウ様の種族の違いの事です」
「種族の違い?」
「はいっす! 単刀直入に言うと私達とルウ様の寿命の違いです」
「おお、寿命か。……成る程な」
ルウを含め、人間の寿命は80年から100年である。
約100年経てば、必ず別れがやって来る。
そういえば、アリスは熱愛した騎士と死に別れ、辛い悲しみに満ち、生きる張り合いを失くしてしまったという。
今、ブランデルの家族はとても幸せである。
誰もが愛し愛され、充実した日々を過ごしている。
だがその幸せな生活もあとわずか100年で終わりとなるのだ。
ここで違和感を覚えた方も居るだろう。
長き100年の時間を何故僅かというのだろうと。
しかし人間以外の長命な種族にとって100年などたったひと時に過ぎない。
妖精グウレイグのアリスはもう数百年生きているし、当然、南の国の妖精のエレナも、リゼッタも同じである。
アールヴのミンミだってこれから少なくとも1千年以上は生きるであろうから。
またソフィアとテオドラは亡国ガルドルドの魔法の粋を究めた自動人形である。
メンテナンスさえ、しっかりやれば半永久的に生きる事も可能だ。
そしてダンピールのウッラとパウラも人間よりは長命だ。
そもそもダンピールとは吸血鬼と人間のハーフ、いわゆる半魔である。
呪われた血の宿命という縛りはあるが、150年から200年の寿命を持つという。
妖精、自動人形、魔族と出自は様々だが、今ここに居る者はルウ達人間より長い時間を生きる事は間違いないのだ。
アリスが寂しげに言う。
「騎士様とふたりきりの暮らしもとても楽しかったですけど、ルウ様、家族で暮らす今の生活はもっともっと楽しいのです。でも……もう少しで終わってしまう」
「まあ、そうだろうな」
ミンミが淡々と答えれば、
「何でそんな言い方するんです? そんな素っ気ない言い方アリスは嫌いでっす。ミンミ姉はこの生活が終わっても良いのですか? 何も感じないのですか?」
温厚なアリスが珍しく怒っている。
それだけルウへの想いと家族との絆を消したくないのだろう。
確かにアリス達の悩みは理解出来る。
今更ルウが居ない生活など考えられないからだ。
だが人生は出会いと別れの連続。
そして始まりには全て終わりがある。
しかし……
どうやらミンミには何か考えがあるようだ。
「皆、私の話を聞いてくれるか? アリス……どうだ?」
口調を変える事無くミンミが呼び掛けると、アリスを含め全員が頷いたのである。




