第1,129話 「私達の未来①」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
(小説書籍版:HJノベルス様刊)
最新刊第6巻が5月24日に発売されました。
カーバンクルを肩に乗せたリーリャが目印です。
またアドリーヌが挿絵で初登場!
ぜひご覧になってください。
小説書籍版は既刊第1巻~5巻も好評発売中です。
店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に6巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
ぜひ当作品を「ぐいっ!」と後押しして下さい。
何卒宜しくお願い致します。
既刊をご購入された方は、
小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへご一報をください!
東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
※『コミックス第1巻』が『5月27日』に発売されました。
お陰様で何と!!!
早くもコミックス第1巻の重版が決定致しました。
ありがとうございます。
深く深く感謝致します。
「Gファンタジー」様によれば重版分がそろそろ配本されているようです。
初版を手に入れられなかった方はこの機会にぜひご購入ください。
その『コミカライズ』大好評連載中です。
株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌、
月刊「Gファンタジー」にて、
藤本桜先生の筆致で描かれる華麗な魔法世界を体感してください。
6月18日に発売された7月号に第6話が掲載されています。
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また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。
コミカライズ第1話の試し読みが出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。
某日昼間王都街中……
ひとりの女性が歩いている。
菫色の瞳、輝き揺れる長い金髪、独特の整った顔立ちにやや尖った耳……典型的なアールヴの美しい女性だ。
そう、この女性はルウの妻のひとり、ミンミである。
彼女は私室に置いてある必要なものを取りに行く為、ブランデル邸へ向かっていた。
ミンミは現在、冒険者ギルド王都支部マスターを務めている。
だが彼女はブランデル邸にルウと同居はしていない。
ギルドの規則により、支部付近の官舎に住んでいる。
ギルドマスターの仕事は超が付く多忙である。
その為、ブランデル邸へ帰る事も滅多になく、顔を見せるのはたまに取れた休暇の時ぐらいだ。
家族一緒に過ごせないのが「寂しくない」と言ったら嘘になるが……
かつてバートランドで本部サブマスターを務め、ルウの来訪を待っていた時よりはずっとマシだ。
否!
マシどころではない。
紆余曲折の末、ルウの正式な妻となり、同じ王都に暮らしているのだから。
比べものにならないくらい幸せだといえるだろう。
官舎を出る時、使用人が馬車の用意をすると言ってくれたが、ミンミは断った。
天気が良いので歩いて行くと返したのだ。
ミンミはふと立ち止まり上を向いた。
広大な空にはちぎれ雲が飛んでいる。
まるで真っ青に塗られたキャンバスに白く薄い綿を載せたようになっている。
さわやかな風がそっとミンミの頬を撫でた。
「ふふ、火属性の私にも風の精霊がサービスしてくれたかな?」
ミンミは「ふっ」と笑い、足を速めた。
さてさて……
王都に来てから暫く経ち、ミンミの『顔』はバートランド在住の頃同様に知れ渡っていた。
颯爽と歩くミンミの耳へ、いろいろな声が入って来る。
人間の数倍の聴覚を持つアールヴにはひそひそ声もはっきり聞こえてしまう。
「うわ! 綺麗な人!」
「良い女だなぁ」
「あの女アールヴがギルドのマスターらしいぞ」
「ふむ、炎の飛燕か……」
……ミンミが王都に来た当初、猛烈なナンパの攻勢にあったが、最近著しく減った。
あまりにもしつこいナンパ男達を容赦なく叩きのめし、衛兵に引き渡したからである。
お陰で誰にも邪魔されず先を急ぐ事が出来る。
ところで今日は平日、ルウは魔法女子学園に出勤している為、ブランデル邸には居ない。
ルウ同様フラン、アドリーヌの教師、ジゼル達生徒も出勤&通学していて不在である。
在宅しているのはモーラル、アリス、ラウラ、そしてアルフレッド以下使用人達だ。
だが愛する夫は不在でも、大切な『家族』の顔を見るのは凄く嬉しい。
やがてミンミはブランデル邸の正門に着いた。
ケルベロスが嬉しそうに吠えるのを、軽く手で制し、ミンミは魔導鈴を押したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ミンミ奥様……ようこそいらっしゃいました」
出迎えてくれたのは、自動人形姉妹の姉ソフィアであった。
しかしどことなく元気がない。
しかしミンミはいきなり原因を聞いたりはしなかった。
「モーラルは在宅か?」
「いえ、モーラル奥様とレッドさんはふたり一緒に外出中です。午後2時30分までにはお戻りになるとの事です」
「そうか……」
ミンミがモーラルの所在を聞いたのは、彼女がほぼ全て知っているからである。
少しだけ悔しいが、モーラルこそ妻達の中でもルウと一心同体といえる存在なのである。
『常人』のフランに話せるようなまともな話はともかく……
悪魔の出現等、何か危急の案件があればルウはすぐモーラルに打ち明け、相談していると思う。
同じ喜びを分かち合い、困難は力を合わせて乗り越え克服する。
モーラルは妻として最高の幸せを味わっているに違いない。
しかしとミンミは首を振った。
モーラルの歩んで来た道は『茨の道』と軽々しくいえるほど生易しいものではない。
一生の幸福と不幸は丁度半々でバランスが取れていると誰かが言っていたが……
そんな単純なものではないとミンミは考えている。
どちらにしても……モーラルが報われて本当に良かった。
最後はそう考える事が出来たのである。
「ちなみにラウラ奥様も外出中です。魔法大学に行かれています」
ラウラはまもなく魔法大学へ編入し、授業を受ける予定となっていた。
その為の準備か、何かの手続きであろう。
歩きながら話したふたりは扉の前に着いた。
そろそろソフィアの元気のなさを尋ねるタイミングである。
「ところでソフィア、お前、何故元気がない?」
「い、いえ! 特に何もありません」
ソフィアは慎重な性格である。
いくら家族とはいえ、何かあってもすぐに口外などしない。
まあ、良い……
この子の妹のテオドラか、アリスあたりに聞こうか
僅かに苦笑したミンミは……
無言で扉を開けるソフィアに導かれ、ブランデル邸の中へ入ったのである。




