第1,126話 「新生徒会長は誰だ!?㉒」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
(小説書籍版:HJノベルス様刊)
最新刊第6巻が5月24日に発売されました。
カーバンクルを肩に乗せたリーリャが目印です。
またアドリーヌが挿絵で初登場!
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東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
※『コミックス第1巻』が『5月27日』に発売されました。
お陰様で何と!!!
早くもコミックス第1巻の重版が決定致しました。
ありがとうございます。
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マノンの演説が終わった。
さすがに堂々たるもので、拍手こそしなかったが、2年C組の級友達も思わず聞き入ってしまっていた。
さあ……
いよいよオレリーの番である。
クラスで抱負と決意を述べたオレリーであったが、果たして全校生徒の前でも臆する事なくしっかりと話す事が出来るのか?
ジョゼフィーヌとリーリャはオレリーを信じてはいたが……
何せ彼女がこんなに大勢の前で話すのは初めての事である。
期待と不安を胸に、ふたりとも固唾をのんで見守っていた。
「全校生徒の皆様、おはようございます。この度、生徒会長に立候補致しました、オレリー・ボウと申します」
ジョゼフィーヌとリーリャの心配など杞憂であると言い切ったようにオレリーは噛む事もなく堂々と大きな声で挨拶した。
雨降って地固まるというが、何が幸いするか分からない。
実は……
先にマノンが挨拶し、演説するのをじっと聞いていたオレリーは却って落ち着く事が出来たのである。
「マノンさんと同じく、先々週から皆様にお伝えして来ましたが、この立ち会い演説会で改めて、私の考え方、方針、生徒会長になった暁にやりたい事をお話し致します」
一方、オレリーの演説を聞きながらマノンは苦笑した。
自分の演説が『良い見本』になってしまったと。
「元々、私が生徒会長になろうと思ったのは、私と同じ平民の方が励みにしてくださればと考えたからです。だけど……私は間違っていました」
オレリーはそう言うと、軽く息を吐き、演説を続ける。
「その間違いに気づくと同時に、改めていろいろと考えてみました。そしていろいろと答えが出ました。
……まず生徒会長は、誰の為のものかという事です。
これは誰にでも分かります。
生徒会長とは、全校生徒の為に存在しています。
そして生徒全員の代表でもあります。
次に考えたのは生徒会長は何をするべきかという事です。
これもすぐに答えは出ました。
このヴァレンタイン魔法女子学園において、私達生徒が持っている魔法使いとしての素質を最大限引き出せるように、膨大な魔法の知識を可能な限り習得出来るように、生徒会のメンバーと共に学びやすい環境造りをする。何か問題点があれば解決に向けて方法を考え、実行する。生徒会では対応出来ない問題であれば、学園と相談し、解決出来る答えや方法を導き出す。
私達の将来に向けて、未来に向けて生徒会長が担った重要な任務です」
マノンとオレリーの言葉は多少違うが、ふたりとも生徒会長の役割を充分理解していると生徒達は判断したらしい。
先ほどのマノン同様、オレリーの演説にも生徒達は真剣に聞き入っていた。
そんな聴衆の様子を見て……
オレリーは自分の演説が受け入れられていると安堵したと同時に新たに気合を入れ直す。
「皆さん! ここで自問自答してください。心の中で考え、言葉に出さず答えを考えてみてください。皆さんにとってこの魔法女子学園とは何ですか」
オレリーからの急な問いかけに生徒達は一瞬戸惑った後、各自が考え答えを出したようである。
「私が魔法女子学園に入学したのは自分の将来の為です。頑張って一人前の魔法使いとなり、辛い生活環境を変えたい。女手ひとつで育ててくれた母に報いたいという思いでした。魔法を学ぶのはその為の手段、学園は自分の人生の単なる通過点に過ぎないと。
しかしそれは大きな誤りでした。
……考えてみてください。
魔法を学ぶというきっかけで、この学園には様々な方が集まっています。
私の所属する2年C組は王族、貴族、商家、職人家など多士済々です。
正直に申し上げますが、暫くはお互いに壁を作って打ち解けられませんでした。
特に私なんか最たるもので学園では勉強さえしていれば良いと思っていましたから、当然ぼっちでした」
少し苦笑したオレリーは更に話を続ける。
「でもある時、ふたりの級友が声をかけてくれました。手を差し伸べてくれました。私は凄く凄く嬉しかった!
それがきっかけで私はぼっちをやめ、クラスのいろいろな人と話しました。親友といえる相手とも巡り会いました。今は毎日が楽しいです。級友達と話すのは魔法や勉強の話だけではありません。趣味の話、美味しいお菓子の話、ファッションやメイクの話、様々です。
また級友の紹介により、普段は滅多に接点のない先輩、後輩とも話し、親しくなりました。
級友とは接し方が違い、自分の視野が広がりました。いいえ、視野以上、自分の世界が広がったのです」
ここでオレリーは再び生徒達へ呼びかける。
「皆さん! 私達は人生において最も多感である時期、青春期といえる時期、15歳から18歳までこの魔法女子学園で過ごします。
当然、魔法を学び習得する事が第一とはなりますが、けしてそれだけではありません。
もうお分かりだと思います……学園は単なる人生の通過点ではないのです。
信頼に足る仲間達と出会い、固い友情を育み、二度と戻っては来ない青春の貴重な時間を絶対後悔のないよう過ごす聖地といえる場所なのです。
そんな聖地で、僅か3年という限られた時間の中で、先輩後輩の分け隔てなく生徒間を始めとして、先生方ともコミュニケーションをどんどん取ろうというのが私の方針です。
全員と仲良くなれるとは申しませんが、皆様の世界は必ず広がる筈です。
具体的に何をやるかですが、クラス同士とか、3学年の生徒が混在した趣味繋がりとか、私達の将来の役にも立つであろうOGの方を招いての食事会や懇親会です。
OGの方を交えての食事会は、先日行われたオープンキャンパスの先輩の講演に学年合同食事会を加えたと想像して頂くのがイメージとしては近いでしょう。
様々な方とコミュニケーションを取る事で皆さんは様々な新しい出会いをするでしょう。もしかしたら生涯に亘って友情を誓え合える素晴らしい方に出会えるかもしれません。
そして私が行うのは、コミュニケーションを取るだけではありません。
当然ながら、魔法を効率良く学べる為の環境造りにも邁進致します。
生徒会からの提案、問題提起を行うと共に、意見箱から頂いた皆さんの要望を踏まえ、何が一番ベストなのかしっかり考えて行きます。学園側とももっとコミュニケーションを取り、円滑な業務遂行を目指します。
そして最後に……聞いて頂けますか。
私オレリー・ボウは、皆さんの素敵な将来が開けるように努力するのは勿論、……皆さんが人生を振り返った時に、魔法女子学園で過ごしたあの頃は、とても楽しかったと、思い出せるような学生生活を送れるよう全身全霊で頑張りたいと思います。
ご支持、応援を宜しくお願い致します」
オレリーの演説が終わった。
しんと静まり返っていた屋内闘技場であったが……
2年C組、3年C組、1年C組の生徒達が声援と共に大きな拍手を送ると、続いて多くの生徒達が力のこもった拍手を送ったのである。




