第1,103話 「ブレヴァル家の平穏㉓」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
(HJノベルス様刊)
特報!
1月25日に発売された第5巻に続き……
早くも! 『第6巻』の発売が決定しました!
本当にありがとうございます。応援してくださる皆様へ特大感謝です!!!
発売日等、詳細は未定です。
書籍版は既刊第1巻~5巻も好評発売中です。
店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に5巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
ぜひ当作品を「ぐいっ!」と後押しして下さい。
何卒宜しくお願い致します。
既刊をご購入された方は、
小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへご一報をください!
東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
『コミカライズ』連載開始しております。
株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌、
月刊「Gファンタジー」にて、
1月18日発売2月号(既に発売中)より連載が始まっています。
藤本桜先生の筆致で描かれる華麗な魔法世界を体感してください。
※特報! 3月18日に発売された4月号掲載の第3話は、
センターカラー掲載です。
また「Gファンタジー」様公式サイト内に、
『魔法女子学園の助っ人教師』の専用サイトを作って頂きました。
コミカライズ第1話が試し読み出来ますので、ぜひご覧くださいませ。
創世神教会の司教として公的な仕事ではなく、あくまでも個人の善意として……
孤児院の慰問に訪れたマティアスと妻パトリシアは、院長の指示に従い、事務所でいろいろな手続きを終えた。
まずは、顛末が気になる愛娘達の様子を確認する為もあり、ルウが治療行為をしているという救護室へ向かった。
護衛についたエクトル達テンプル騎士団も一緒である。
同様に慰問の為訪れていた、いかついリベルト達、院のOBもルウの手伝いをすると申し出て同行した。
マティアス夫婦が事務所で手続きをしている間、ふたりでじっくり話をしていたらしいが、
驚いた事に……エクトルとリベルトがすっかり打ち解けていた。
否、団長のエクトルだけではない。
護衛のテンプル騎士団員全員が、リベルトを含めた鋼商会の男達と意気投合していたのだ。
世俗にはうといマティアスは知らなかったが……
孤児院の院長の言った事は本当だった。
鋼商会の日々の働きは、王都の人々の間で結構な噂になっていたのだ。
自然とエクトルや団員達は、院長の言う『良い噂』を耳にしていた。
噂が速く走るのは当然であった。
鋼商会のモットーはシンプル且つ分かり易いから。
弱きを助け、強きをくじく。
また年配者と女性、子供には特に優しく、丁寧に細やかな気配りをする。
以上において、不言実行を旨とする。
会頭のリベルト以下、漢気に溢れた鋼商会の言動は……
エクトル達テンプル騎士の心の琴線、つまり騎士道に触れたのだ。
薄幸な生い立ちを乗り越え、足を踏み外しそうになりながら、見事に立ち直り、リベルト達は堂々とした人生を歩んでいる。
それどころか、自分同様、不遇な後輩達にエールを送り、手を差し伸べている。
鋼商会からは毎月、結構な金額の寄付金も贈られているそうだから。
マティアスは、親友エクトルが、元愚連隊だというリベルトと親し気に話す姿を見て、不思議な感覚に捉われた。
いつか自分を入れ、3人で酒を飲んだら、改めて意気投合するかもしれない……
そう思った。
さてさて……
一行は、孤児院の救護室へ到着した。
孤児院の救護室は意外にも結構な広さであった。
奇妙な例えではあるが、ブレヴァル家の大広間より遥かに広い。
マティアスが見やれば、その救護室で治療を受ける子供達は数十人以上居る。
ただ、子供達は大人のように、じっとなどしていない。
大きな声で喋り、歓び、はしゃぎながら、治療の順番を待っていた。
院長が告げる。
「子供達が騒がしいのはいつもの事だ」と、笑いながら。
そして……
「マティアス様、あの方がルウ殿です」
「おお、成る程……」
院長の掌で示された方向を見れば、エクトルの調査報告通りである。
長身痩躯の黒髪で異相という風貌。
加えて漆黒の瞳だというが、少し離れたマティアスの位置からさすがにそこまでは確認出来なかった。
「え? な?」
ルウの姿から、ふと横に視線を移したマティアスは、驚きのあまり声が出た。
信じられない光景を目の当たりにしたのだ。
何と!
愛娘ふたり、ステファニーとアニエスが……
熱心にルウ達のサポートをしていたのである。
「おお、何という事だ! パ、パトリシア」
「え、ええ、貴方!」
元々、治癒士でもないステファニーとアニエスは大した手伝いは出来ない。
初めての作業において、何をし、どう動くべきか分かるわけがない。
だが、指示に対し素直に応じ、はっきりした返事を戻し、テキパキと動く愛娘達はまるで屋敷に居る時とは別人であった。
更にマティアスは気付いた。
救護室には、他にも何となく見覚えのある女性達が居ると。
彼女達が、ルウの妻でステファニー達にいろいろと手解きしているらしい。
そのうちのひとりは、はっきりと分かる。
ブレヴァル家以上の名門貴族、開祖バートクリード・ヴァレンタインの血をひく、アデライド・ドゥメール伯爵の令嬢フランシスカだった。
彼女は魔法女子学園の校長代理としても、マティアス夫婦には顔馴染みだ。
他の女性も数人は分かる。
カルパンティエ公爵家ジゼルを含む有力貴族の令嬢達なのだ。
王宮の晩さん会で数回会った事がある。
更にマティアスには、見覚えがあり過ぎる女性が居た。
そう、楽園にそっくりな異界で、散々語り合った、あのモーラルである。
まるで幼馴染に再会したような気持ちで、マティアスは、モーラルを見た。
しかしモーラルは入って来たマティアスに気付いている筈なのに、全く視線を向けようとはしなかった。
まるで「貴方など知らない!」と言わんばかりに。
マティアスは、一瞬考え、すぐモーラルの意図を察した。
以前もそう思ったが、やはりあの想い出は心の奥に仕舞っておくべきであると。
パトリシアへの説明も難儀するだろうし、相手が愛娘と年齢も違わない少女とはいえ、女性とふたりきりで過ごしていたのだ。
妻が要らぬ感情も作りかねない。
そうこうしているうち……
丁度、子供達の治療がひと区切りついたのだろう。
ルウらしき男が立ち上がると、ゆっくりとマティアス達へ歩いて来た。
彼の周囲は笑顔いっぱいな子供達が囲んでいる。
同じく笑顔を浮かべたルウの妻らしき女性達、そして、これまた満面の笑みを浮かべたステファニーとアニエスも一緒について来た。
全部で50人近い大人数である。
ルウがマティアス達の目の前に来ると、深々と頭を下げる。
「マティアス様、奥様、皆様、ようこそいらっしゃいました」
「お、おお、君がルウか?」
助けてくれて、ありがとう!
つい、礼を言いそうになり、マティアスは慌てて言葉を呑み込んだ。
「はい、ルウ・ブランデルです。魔法女子学園の教師をしております。はじめまして」
え?
はじめまして?
いや、会うのは二度目だろう。
苦笑したマティアスだが……
さすがにルウの意図を察して、さりげなく挨拶する。
「こ、こちらこそ、はじめまして。私がステファニーとアニエスの父、マティアス・ブレヴァルだ。娘達がいろいろと世話になっている。君には改めて礼を言おう」
「いえ、こちらこそ。マティアス様は普段お仕事でとてもお忙しいのに、休日をご返上頂くなんて、本当に恐縮です」
「いや、そんな事はお安い御用だ。しかし……まだ私が手伝う事はあるのかね? 君ひとりで充分では?」
ふと、マティアスは思い出したのだ。
ルウの使う治癒魔法は凄まじいと。
自分は勿論、あの父さえお手上げだったステファニーの体調不良を、いとも簡単に治したのだから。
しかしルウは、笑顔で首を振った。
「いえいえ、治療が必要な子供達はまだ大勢おりますから、マティアス様に手を貸して頂くと、とても助かります。では、お昼まで宜しくお願い致します」
マティアスの礼に対し、ルウは丁寧な物言いで頭を下げた。
すると、モーラルを含む周囲の妻らしき女性達も一緒に頭を下げた。
まるで花が咲くような笑顔で。
そしてマティアスの愛娘ふたり・ステファニーとアニエスも同じように晴れやかな笑顔を見せた。
丁寧に「お願い致します」と、深く頭を下げたのである。
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