第1,100話 「ブレヴァル家の平穏⑳」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
(HJノベルス様刊)
特報!
1月25日に発売された第5巻に続き……
早くも! 『第6巻』の発売が決定しました!
本当にありがとうございます。応援してくださる皆様へ特大感謝です!!!
発売日等、詳細は未定です。
書籍版は既刊第1巻~5巻も好評発売中です。
店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に5巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
ぜひ当作品を「ぐいっ!」と後押しして下さい。
何卒宜しくお願い致します。
既刊をご購入された方は、
小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへご一報をください!
東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
『コミカライズ』連載開始しております。
株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌、
月刊「Gファンタジー」にて、
1月18日発売2月号(既に発売中)より連載が始まっています。
※2月18日発売の3月号にて『第2話』が掲載されております!
藤本桜先生の筆致で描かれる華麗な魔法世界を体感してください。
書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。
※特報! 来週月曜日3月18日発売4月号掲載の第3話は、
またもセンターカラー掲載の予定です。お楽しみに!
約10年ぶりに仲良く同衾し、お互いぐっすり眠ったマティアスとパトリシアは……
約束した通り、早い時間に起床し、料理長達と共に厨房に立った。
そして夫婦ふたりで息の合った調理作業を行い、鮮やかな黄金色のスクランブルエッグをたっぷりと作ったのである。
スクランブルエッグを盛りつけた皿をテーブルに並べながら、マティアスはついパトリシアの顔を見た。
昨夜同様、起きてからも妻には笑顔が絶えない。
声も弾んでいて、まるで新婚当初のようだ。
その理由が、自分の爽やかな笑顔にあるのをマティアスは全く気が付かなかった。
やがて朝食が始まり……
マティアスは更に驚いていた。
いつもは冷淡なふたりの愛娘、ステファニー、アニエスの態度が豹変していたのである。
父と母の作ったスクランブルエッグを凄い勢いで平らげ、姉妹ふたりはとても嬉しそうに笑い合う。
一時は、あれだけ仲が悪かったのに……
パトリシアが、マティアスの教授により、一緒に作ったと伝えれば、ふたりとも目をきらきらと輝かせた。
「お父様! 昨夜のプレーンオムレツといい、このスクランブルエッグといい、凄い特技をお持ちなのですね」とステファニー。
「全くです! 何故、今迄黙っていらしたのですか?」と、アニエス。
「ま、まあ……自慢するほどの事でもないだろう?」
とマティアスが返せば、
「何という奥ゆかしさ! 素敵です、お父様。ぜひまた作って……いえ! 私、今すぐ習得したいです、お母様同様、教えてくださいませ!」と、アニエスが身を乗り出した。
仰天したのは姉ステファニーである。
「あ~っ! アニエスったらずるい! いっつも抜け駆けするんだから! お、お父様! わ、私もぜひ習います!」
積極的過ぎる妹の言葉を聞き、ステファニーは懸命に懇願した。
平民のルウとの結婚という……
将来の目標が見えているステファニーにとって、自ら行う家事は必須。
特に料理は、究めたいスキルのベスト5に入っている。
今朝の両親のように、ルウと一緒に厨房に立ち、美味しい料理を作りたいという淡い夢も持ち始めている……
一方、アニエスはアニエスで、どんな状況に置かれても、『完璧な女子』になりたいと思っていた。
もしもルウと一緒の時、料理を作る必要に迫られたら……
父から習ったこれらの卵料理を、平然と手際良く調理出来れば、パーフェクトだと確信したのだ。
と、そこへ今度は、アンドレが大きな声で息子を呼ぶ。
大きな感嘆の気持ちを籠めて。
「マティアス! お前の料理はたいしたものだ!」
「え?」
「うむ! ステファニーとアニエスだけではない。儂だって年甲斐もなく、朝からたくさんお代わりしてしまった」
「ち、父上!」
「とても美味いスクランブルエッグだった! ブレヴァル家の長い歴史の中で、ここまで料理上手の者など居なかったぞ」
「お褒め頂き、ありがとうございます。でもパトリシアが……パティが手伝ってくれたからですよ」
妻のお陰だと告げながら……
マティアスは飛びあがりそうになるほど、嬉しい!
辛口の父に褒められた!
子供の頃以来、いつぶりだろう?
昔過ぎて……全く思い出せないが……
今迄は重圧と辛さしかなかった。
……自分は栄えあるブレヴァル家の当主に相応しいか、自信がない。
このまま、無事に家督を継げるかどうかは分からない……
しかし!
始祖ローラン様の重圧を乗り越えた2代目ジルベール様のように……
自分なりに得手を磨き……これからも頑張ろう!
マティアスには……そう思える。
一方、妻を気遣う息子の言葉を聞き、アンドレは晴れやかな笑顔を向ける。
「うむ、夫婦で協力し合うのはとても良い事だ。それとマティアス、お前、今日の昼間は孤児院へ慰問に行くそうだな……」
「はい! こちらもパティが希望しましたので、一緒に行って参ります!」
「おお、マティアス! その志、夫婦共々素晴らしい。本当は儂も行きたいのだが……枢機卿がいきなり行っては先方が恐縮する。申し訳ないが、頼むぞ」
「はい!」
「今夜、お前が帰ったらまた、じっくりと話さないか? 当然パトリシアも入れて3人でな」
「ええ、父上、喜んで!」
孤児院への慰問は、『ルウが考えた事』だと父アンドレも知っているだろう。
今迄のマティアスであれば、他人が決めた事など、絶対に断っていたに違いない。
だが、快諾した上、愛する妻と仲良く出かける息子が好ましい。
父の喜ぶそんな気持ちも、マティアスには伝わって来る……
モーラルは告げた。
マティアスが嫉妬を司る悪魔に囚われそうになった経緯全てを、ルウは、父アンドレへ伝えたと。
そして危ない所で助けられ、保護された事も……
悪魔が現れた原因……
つまりマティアスが父と比較され、少年の頃から長年、深く思い悩んでいた事も……
目の前の父は……
自分の辛かった気持ちを聞き、知ってどう思い、どう考えたのだろう。
世間の父同様、自分を優しく慰めてくれるだろうか?
否!
もしかしたら父の剛毅な性格上……
「ルウから一切を聞いた、大変だったな」という労りの言葉はないかもしれない。
だが、目の前の父が浮かべる晴れやかな笑顔で分かる。
全ての事情を受け止め、呑み込み……
愛する息子の無事な帰還を喜んでくれていると、マティアスには分かるのだ。
但し……
息子のマティアスが『例の研究』を知っている事実を……
ルウはアンドレへは告げていないとも、モーラルからは聞いている。
当然マティアスも、父を非難し問い質すのは勿論、秘密を明かすつもりなどない。
また『その研究』を継ぐつもりもないが……
誇らしい父の思い出と共に、自分も墓場まで持って行くつもりだ……
ルウもモーラルも必ず秘密を守ってくれるに違いない。
そして……
大好きな父と、愛する妻と3人で話す、今夜の話題とは……
これからのブレヴァル家の大きな方針変更について……
加えて、愛娘ふたりの、輝かしい未来に関してだろう。
今の自分ならば多分、前向きで建設的な話が出来る!
そうマティアスは確信していたのである。
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