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第1,099話 「ブレヴァル家の平穏⑲」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』

(HJノベルス様刊)

特報!

1月25日に発売された第5巻に続き……

早くも! 『第6巻』の発売が決定しました!

本当にありがとうございます。応援してくださる皆様へ特大感謝です!!!

発売日等、詳細は未定です。


書籍版は既刊第1巻~5巻も好評発売中です。

店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。


既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。

この機会に5巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。

ぜひ当作品を「ぐいっ!」と後押しして下さい。

何卒宜しくお願い致します。


既刊をご購入された方は、

小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへご一報をください!

東導は感謝感激状態となります。

何卒宜しくお願い致します。


そして!

『コミカライズ』連載開始しております。

株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌、

月刊「Gファンタジー」にて、

1月18日発売2月号(既に発売中)より連載が始まっています。

※2月18日発売の3月号にて『第2話』が掲載されております!

藤本桜先生の筆致で描かれる華麗な魔法世界を体感してください。

書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。

※特報! 次回3月18日発売4月号掲載の第3話は、

センターカラー掲載の予定です。お楽しみに!

 モーラルの辛い過去を聞き、号泣していたマティアスは……

 ハッとした。

 

 何か、変だ?

 いつのまにか爽やかな風が止んでいた。

 かぐわしい草の香もしなくなっていた。 


 気が付けば……

 周囲の景色が変わっていた。


 真っ青な空、緑濃き草原、広大な自然が満ち溢れる風景から……

 新旧の本が差し込まれた書架が立ち並ぶ部屋の一室に居たのである。

 よくある確認方法だが……頬をつねってみた。

 何度も何度も、つねってみた。

 やはり夢ではない。

 つねった頬は、確実に鈍い痛みを伝えて来たから……


「ああ……」


 無事帰還出来た安堵なのか、それとも心休まる楽園への心残りがあったのか……

 思わず言葉にならない声が出た。

 そして「我が家へ帰って来たのだ」と口の中で呟いていた。


 自分はどうなっているかといえば、寝間着を着て愛用の重厚な事務机に向かっていた。

 使い慣れた椅子に深く腰掛けていたのである。


 ハッとして、窓を見やれば……

 外は真っ暗だった。

 慌てて時計を見れば、もう真夜中。

 あと少しで日付けが変わるところだ。


 マティアスは首を傾げた。

 今迄の事は……やはり夢だったのか? と思う。


 楽園では、のんびり数日間過ごしたような感覚なのに、まだ半日も経っていないから。


 しかし、思い起こせば……

 あまりにもリアルな楽園の風景が浮かんで来る。

 優しく自分を励ましてくれたモーラルの笑顔とやや低い声、前向きとなる言葉も……

 そして彼女のあまりにも悲しい生い立ちが……はっきりと。

 何度思い出しても、目の奥が熱くなり、大声で泣き叫びたくなってしまう……


 やはり……

 仮初かりそめ楽園エデンで過ごした時間は現実だった。

 一生忘れられない思い出となるに違いない……


 そして他人には勿論、父といえど、妻といえど、愛娘達といえど……

 一切口外してはいけない……

 

 自分の胸の中にだけ仕舞っておく大切な想い出……

 そんな確信があった。


 書斎にたったひとり……

 いつもの孤独な光景だが……

 マティアスはとても気持ちが穏やかだった。


 朝出掛けた時とは全く違う……

 まるで少年の頃の、若さを感じられるような、はつらつとした気持ちにもなっていた。

 楽園に居た気分がそのまま持ち越されているのだと、気付いた……


 ルウが創り出したという、素晴らしい楽園。

 無限ともいえる、凄まじい魔法の力。

 あのような魔法こそブレヴァル家始祖ローランが目指した人々を癒し、救う力だと思う……

 但し、自分にはあのような桁違いの魔法を行使するのは絶対に無理だろう。

 

 しかし……

 今ある自分の力を、得手を徹底的に磨きたいと前向きに感じる……

 そして家族を含め、多くの人々の役に立ちたい……そう、思う。


 と、その時。


 とんとんとん!


 聞き慣れたノックの音が、締め切られた扉からした。

 誰だ?

 しかし、この叩き方は分かる。

 妻だ。


「はい!」


 と、大きな声で返事を戻せば、


「貴方、パトリシアです。入って宜しいですか?」


 聞き覚えのあり過ぎる声が……

 やはり妻であった。


 だがどこか違う。

 いつもの妻より声がずっと柔らかい。

 そして響きも優しい。


 入室を許可すると、すぐ扉が開き、入って来たパトリシアは微笑んでいる。

 やはり……いつもの妻と雰囲気が違う。


「貴方、まだお休みにはなりませんか?」


「あ、ああ……そうだな、そろそろ寝るか?」


 マティアスが一瞬口籠ったのは、パトリシアの対応がやはりいつもと違うから。

 今迄は彼が書斎へ籠って、夜遅くまで調べ物をしていても、放置される事が殆どだった。

 目の前に居る妻は、いつも日付けが変わるまでにさっさと寝てしまうのが常だったのに……


「明日は早いですし、またご自身で卵料理を作るとお約束されましたから」


「おお……や、約束か? ん……そうだったな」


 約束?

 マティアスは思わず「ルウめ! やってくれた」と苦笑した。

 顔には、極力出さないようにして。


「先ほどお作りになったのはプレーンオムレツでした。だから、明日の朝は趣向を変え、朝らしくスクランブルエッグだぞと仰いました」


「う、う、うん! そうだな、スクランブルエッグは朝食べると、とても美味い」


「ええ、貴方は昔、修行僧時代には卵料理を良く作っていたと懐かしそうに仰られて……料理長が止めるのを振り切り、厨房へ強引に入られました」


「う、うむ……」


  ……ルウの奴め。

  逆に私の事情も、ばっちり調べていたのか……

  

  と、マティアスはまたも苦笑した。

  だが……妻の機嫌はすこぶる良い。

 

「どうなるのかと思いましたが……貴方は信じられないくらいに手際が良く、お作りになったオムレツは見栄みばえも実に素晴らしく、お味も料理長に負けないくらい結構でございました」


「あ、ああ、実は、お前達に言っていなかったが……卵料理は食べるだけでなく、作るのも大の得意だったんだ」


「うふふ……明日のスクランブルエッグも楽しみですね。ステファニー達もあっという間に完食していましたし」


「お、おお!」


 身代わりのルウが作ったとはいえ……

 父の作ったオムレツを……愛娘達が食べた?

 それもあっという間に完食とは……


 魔法使いの基本は想像力……

 モーラルの言葉が思い起こされ、マティアスは愛娘達がオムレツを美味しそうに平らげる様をイメージした。

 心が……じんわりと温かくなって来る……


「はい! それに明日は朝食をお摂りになったら、創世神教会運営の孤児院へ慰問に行かれると仰いましたね」


「…………」


「明日のようなお休みの日は、治癒士の数が全然足りないとか……だから手伝うと仰って」


「…………」


 再びモーラルの言葉が甦る。

 

 マティアス様、もっと、いろいろな人に会いましょう……

 この世界のどこかに……

 ご家族とご親友以外にも、マティアス様を必要としている人が、待っている人が必ず居ます……


 ピンと来た。

 創世神教会が経営する孤児院の慰問なら、勝手が分かっている。

 変に緊張する事もない。

 

 ルウとモーラルは、マティアスが接する世界を広げる為の第一歩として……

 細やかな気配りをしてくれたのだ。


 と、ここで……

 パトリシアが意外な事を言い出す。


「貴方……宜しければ明日、私もお供したいのですが」


「え? お供?」


「はい! 一生懸命お手伝いを致します。お許しを頂けますか?」


「パトリシア、お、お前が一緒に?」


「はい! 私、元々子供は大好きですし、良い機会かと思いまして……」


 良い機会……

 確かにそうかもしれない。

 

 孤児院の子供達だけではなく、改めて妻とも触れ合える良い機会だ。

 それに彼女自身がこんなにも積極的になっている。

 マティアスが断る理由などない。


「良い機会か……分かった! パトリシア、いや、パティ! 大歓迎だ! 一緒に行こう!」


 思わずマティアスは、妻を愛称で呼んだ。

 これも二十年ぶりである……


 パトリシアはよほど嬉しかったのであろう。

 にっこり笑うと、マティアスに促す。


「はいっ! では貴方、もう遅いから休みましょう……一緒にね」


「わ、分かった、一緒に寝よう、パティ」


 こうして……

 マティアス、パトリシア夫婦は久しぶりに同衾したのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます!


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長らくのご愛読、ありがとうございました。


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