第1,097話 「ブレヴァル家の平穏⑰」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
(HJノベルス様刊)
特報!
1月25日に発売された第5巻に続き……
早くも! 『第6巻』の発売が決定しました!
本当にありがとうございます。応援してくださる皆様へ特大感謝です!!!
発売日等、詳細は未定です。
書籍版は既刊第1巻~5巻も好評発売中です。
店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に5巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
ぜひ当作品を「ぐいっ!」と後押しして下さい。
何卒宜しくお願い致します。
既刊をご購入された方は、
小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへご一報をください!
東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
『コミカライズ』連載開始しております。
株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌、
月刊「Gファンタジー」にて、
1月18日発売2月号(既に発売中)より連載が始まっています。
※2月18日発売の3月号にて『第2話』が掲載されております!
藤本桜先生の筆致で描かれる華麗な魔法世界を体感してください。
書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。
※特報! 次回3月18日発売4月号掲載の第3話は、センターカラー掲載の予定です。
お楽しみに!
マティアスの慈しみの視線を受け、モーラルは言う。
「そもそも人の子とは……元は命などない、単なる土くれ……」
「…………」
「……創世神様がついきまぐれになったのか、どこにでもある土くれを使い、自分そっくりに似せて造った者……」
「…………」
「でも……生きる力を与えられ、素養は限りなく創世神様に近しくなった人の子が、どこまでの可能性を持つのか、果たして個々の限界を超えられるのか……」
「…………」
「無知であった人の子自身へ……気付かせる為に……考えさせる為に……」
「…………」
「頭の中で考えるだけではなく、現実として具体的に実行させ、己が生きる意味を持たせる為に……」
「…………」
「自身で人生の目標を立て、邁進させる為に……限りある短い生を燃やし尽くし、昇華させる為に……」
「…………」
「このまま……無知であってはならない、生まれ持つ可能性を潰してはならない」
「…………」
「その為に、楽園にあった禁断の果実を食べさせたのが、あの元天使長だとしたら……」
「…………」
マティアスはずっと無言である。
黙って、考えていた。
モーラルの言う事を、すぐ肯定は出来ないと。
あまりにも、創世神教会の教えや考え方とは違う。
今迄に学んで来た常識とは、かけ離れている……
そんなマティアスの思いを見通すかのように、モーラルは言う。
「ねぇ、マティアス様。そもそも……今、伝えられている教えとは正しいのかしら?」
「な? 今の教えが正しいか? とは、どういう意味だ?」
「意味も何も……創世神様のお考えが下りてから、とてつもなく膨大な時間が経っているじゃない?」
「…………」
「その間、教えを受け継いだ者が……真理を曲解したり、勝手に解釈を変えるのは良くある事」
「…………」
「例えれば、先ほどお話した、ブレヴァル家3代目様のように……ね」
「むう……」
マティアスは思わず唸った。
モーラルに例えられた話が納得出来るものだったから……
「歪曲が偶然であれ、意図的であれ……もしかしたら真実は違うかもしれない」
「…………」
「だから……枢機卿である貴方のお父様は、創世神教会の教えをうのみにせず、自身の手で真実を知りたい、確かめたい、すなわち真理を究めたい……そうお考えになって研究を続けていらっしゃるわ」
「…………」
「そして貴方のお父様は、ある仮説を立てたの……」
「…………」
「創世神様に反抗したのは……伝えられている、天をも恐れぬ傲慢さなどではない……あの元天使長は人の子へ、様々な可能性を見い出して貰う為、己の限界に挑んで貰う為……創世神様にも匹敵する高貴な地位を捨てた上、自らの命を懸け、犠牲になったのかもと……ね」
「…………」
「もし真実がそうであれば……怖ろしい、忌まわしい悪魔だと、一方的に蔑まれ……地の底深く堕ちた者を……自分ひとりだけでも、逆に称えてやりたい……そう思われたのよ……」
「…………」
「でも、真実を究明する為には、とても困難な場合がある。お父様の研究はその最たるもの……もし露見したら、背徳者として烙印を押され、お父様は勿論、ブレヴァル家もお終いになるのは必定……」
「…………」
「だから貴方にも家族にも、誰にも言わず、貴方のお父様は、研究内容を自分の胸だけに仕舞っていらっしゃるの……多分一生他言せず、自分の死と共にお墓へと持って行く……」
「…………」
「どう? そんなお父様を愚か者だと、とんでもない狂気の異端者だと……思われますか? マティアス様」
モーラルの話を聞いたが、マティアスはまだ完全に受け止めきる事が出来なかった。
事実をようやく認識し、じっとモーラルを見つめるだけである。
困惑したマティアスの視線を受け、モーラルは優しく微笑む。
「マティアス様、人は変われる……と、私は思うけど……困難な場合もあるわ」
「…………」
「長い時間をかけ、ゆっくり真実を理解する必要も生じるし……」
「…………」
「……私は自分の考えを強制はしない……貴方の送る人生にも、責任は持てない……」
「…………」
「ただ、貴方が困ったから、ほんの少し手助けをした。それぐらいしか、出来ない……」
「私が困ったから……ほんの少し……手助けを……」
「ええ、単なる手助けよ……」
単なる手助け?
マティアスは「違う!」と首を振った。
自分を、あの怖ろしい悪魔から救い出してくれた。
傷ついた心を癒し、生きる事に前向きにさせてくれた。
手助けなど、そんなに軽々しいものではない。
だから聞かずにはいられない。
「どうして?」
「…………」
「今更だが、モーラル! 君とルウ殿が、何故! あの悪魔から私を助けてくれたんだ! どうして君が、ここまで私を勇気付けてくれる!」
「…………」
「理由を! 理由を、お、教えてくれっ!」
「ええ……良いわ。ルウ様が……旦那様が貴方を助けたのは、貴方の娘さん達を、奥様を、そしてお父様を悲しませたくない為……」
「悲しませたくない……為」
「いろいろな問題はあるけれど、ご家族は皆、貴方を愛している」
「…………」
「貴方が深き闇へ堕ち、存在が失われる事で……ご家族は深い喪失感を覚える……そんな事は絶対にさせられないわ」
「…………」
「旦那様と、貴方のご家族は縁あって心の絆を結んでいる仲間。だから、……貴方を助けたの」
「仲間……」
「そして私が、貴方を助けたのは……旦那様に命じられたからよ」
「ルウ殿に命じられた……から」
「ええ、そうよ。だけど……」
「だけど?」
「貴方と……ここまで深くお話したのは……私には、貴方の心の痛みが、少しだけ分かるからなの……」
モーラルの言葉を聞き、マティアスの記憶がリフレインする。
確か、先ほども聞いたと……
「さ、さっきもそう言ったぞ! モーラル! き、君の! その言葉の意味を! お、教えてくれ!」
意味ありげな、モーラルの言葉の持つ意味を……知りたい!
それは……マティアスが親友エクトルに感じるものと同じ……
であれば!
今度は自分が少しでも、モーラルの持つ心の痛みを癒したい。
と、マティアスは思ったのだ。
モーラルは、マティアスの『思い』を感じたらしい。
にっこり笑った。
「分かったわ、お話しします。だけど、覚悟をして聞いてね」
「覚悟? わ、分かった!」
多分……
モーラルの話は、自分の常識を大きく覆すに違いない。
そんな確信が……あった。
マティアスは「ごくり」と唾を呑み込み、モーラルの話を待ったのである。
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