第1,094話 「ブレヴァル家の平穏⑭」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
『第5巻』は無事、1月25日に発売されました。
こうして続刊出来たのは、読者の皆様の多大なる応援のお陰です!
本当に、本当にありがとうございます!
ご購入された方は、
または事前にご予約済みでお手にされた方は、
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ご一報頂ければ、東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
『コミカライズ』連載開始しております。
株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌月刊「Gファンタジー」にて、
1月18日発売2月号(既に発売中)より連載が始まっています。
※本日2月18日発売の3月号にて『第2話』が掲載となります!
藤本桜先生の筆致で描かれる華麗な魔法世界を体感してください。
書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。
その書籍版は、既刊第1巻~4巻も好評発売中です。
店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に5巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
皆様の応援が、次の『第6巻』以降の『続刊』につながります。
ぜひ「ぐいっ!」と後押しして下さい。
何卒宜しくお願い致します。
モーラルの提案を受け入れ……
マティアスは、ダメージを受けた魂を癒す為……
ルウの創った第3界を模した異界、楽園に留まっている。
ステファニー、アニエスという年頃の娘のふたりの父親マティアスは、もう40代半ばの中年ではあるが……
この不思議な異界では、元気な少年の頃のように走り回ったり、跳んだりする事が出来た。
思いっ切り、身体を動かした後……
ふたりは緑鮮やかな草原に座った。
マティアスは久々に語った。
幼い子供の頃の話……
そして少年になって修道僧となり、進んで何でも雑用をし、懸命に修行した話など……
これまで生きて来た人生の記憶を、思い出と共に語った。
モーラルは、じっくり聞いてくれた。
優しい笑顔で、他愛ない話でも真剣に聞いてくれた。
いろいろと話すうち……
マティアスは、実の娘達以上にモーラルを気に入っていた。
目の前のモーラルは、見た目より、ずっと大人びていて……
静かに話す口調に落ち着く。
話の節々に理知的な深みを感じる。
かといえば、大衆的且つ雑学的な事も良く知っている。
洒落や冗談にも上手く合わせてくれる。
パッと見、とても冷たい印象はあるのだが……
けしてわざとらしくない、彼女のさりげない心配りが嬉しい。
マティアスは、幼い頃ほのかな想いを抱いた、初恋の女の子を思い出す……
もしくは……
優しかった亡き母のようだとも感じる……
闇の魔手から助けられ、結構な時間が経ったと思うが……
マティアス、モーラルふたりが居る異界の風景は、全く変わらない。
相変わらず、真っ青な大空が広がり、大草原に大小の森が点在する。
爽やかな風も、肌に心地良く感じる……
マティアスは改めて周囲を見回し、感嘆する。
「ここは……本当に楽園のようだ。とても人間の手で創られたものとは思えない」
そう言うと、モーラルはにっこり笑った。
「ええ、素敵でしょ?」
「ああ! 素晴らしい」
「うふふ……旦那様の創ったレプリカとはいえ……誰もが懐かしい故郷にいるように心を癒され、身体は大空をたゆたう雲のように軽くなる。まさに無限の境地……なの」
「うん! 全くだ!」
楽園に対する、モーラルの形容を聞き、思わずマティアスは頷いた。
彼は詩人が呟くような、このように知的な会話が、好きなのに……
父や妻、愛娘ふたりとは、した事もない……
しかし、モーラルはいきなり悪戯っぽく笑う。
「だけどマティアス様、現世に戻ったら無茶しては駄目よ、うふふ」
「ははは、無茶って?」
「マティアス様は、もう完全におじさん。その上、運動不足だから……すぐ息が切れるし、身体の節々も痛くなってしまうわよ」
モーラルの笑顔に引き込まれ、マティアスも自然に思いっきり笑う。
「ははははは! 君から見れば、確かに私は運動不足のおじさんだな! でもここでは、身体が若い頃のように動くんだ! 気持ちだってはつらつとしているぞ!」
「でしょう? 私もよ! 気持ち良くて、現世に帰りたくないわ」
「だな! ああ、大気が清々しい! 本当に気持ちが良い! これがルウ殿の、魔法の力なのか……」
「ええ、魔法には無限の可能性がある。こうして人を守り、癒し、救う事だって出来る」
「…………」
魔法には無限の可能性がある……か……
確かに今、自分が居る異界が魔法によって創られたものならば、桁違いの力だ……
そして怖ろしい悪魔によって、闇に堕ちる寸前の自分は救われた……
気持ちもこうして前向きとなった。
全てが、ルウとモーラルによって行使された魔法の力だと実感出来る……
つらつらと考えるマティアスへ、モーラルは意外な事を告げる。
「貴方のご先祖……ブレヴァル家の始祖、ローラン様が目指した魔法の神髄とは、まさにそれじゃないかしら?」
「ローラン様が……ブレヴァル家の目指した魔法の神髄……人を癒し、守り、救う事か……」
「ええ、貴方が信じた家訓のように、防御魔法、治癒魔法だけが、人を守り、救うのではないわ」
「……た、確かにそうだ、その通りだ!」
モーラルの言葉に納得したマティアスは、改めて楽園を見回し、大きく頷いていた。
マティアスは実感する。
いかに自分の視野が狭かったと。
改めて、父や愛娘の言う事が理解出来るのだ。
「貴方自身が、今まさに体感しているから……良く分かるでしょう?」
「ああ……良く分かるよ」
「ええ、最終的に貴方を治癒し、立ち直らせたのは……この楽園を創った空間魔法だもの……」
「…………」
素直に納得し、頷くマティアスへ、モーラルは微笑む。
「うふふ、マティアス様、魔法使いの基本を思い出して」
「魔法使いの基本?」
「ええ、魔法使いの基本は想像力、そして好奇心もしくは探求心……そうお父様から、しっかり習ったでしょう?」
「ああ、しっかり習ったよ……そうだったな、ふふふ」
マティアスはまた遠い目をした。
記憶を再び手繰った。
魔法を学び始めた幼き頃を……
師匠は当然、父アンドレ。
厳しくも、頼もしく優しかった……
「ねぇ、マティアス様」
「何だ?」
「だから、想像するのよ……遥か昔、ブレヴァル家始祖、ローラン様の跡をお継ぎになった2代目の方は……どう考えていらしたのでしょうね?」
「え? 2代目のジルベール様が? どう考えていらした……って」
モーラルの問いかけに、マティアスは戸惑った。
しかしモーラルは、すぐにフォローしてくれる。
「ローラン様が……あまりにも抜きんでた才能をお持ちの方だったから……ご自分はどうしても、偉大な父の陰に隠れてしまう」
「ああ、絶対にそうだっただろう……ジルベール様は、父ローラン様の跡を立派に継がれ、更にブレヴァル家を盛り立てた、としか記録には残っていない……」
「ならば、あくまで私の想像だけど……そのジルベール様も……悩み苦しんだ……そう思わない?」
「え? ジルベール様も? 悩み苦しんだって?」
想定外の、モーラルの意外な問いかけに……
マティアスは、虚を衝かれたように目を見開いてしまったのである。
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