表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1094/1391

第1,094話 「ブレヴァル家の平穏⑭」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』


『第5巻』は無事、1月25日に発売されました。

こうして続刊出来たのは、読者の皆様の多大なる応援のお陰です!

本当に、本当にありがとうございます!


ご購入された方は、

または事前にご予約済みでお手にされた方は、

小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへ

ご一報頂ければ、東導は感謝感激状態となります。

何卒宜しくお願い致します。


そして!

『コミカライズ』連載開始しております。

株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌月刊「Gファンタジー」にて、

1月18日発売2月号(既に発売中)より連載が始まっています。

※本日2月18日発売の3月号にて『第2話』が掲載となります!

藤本桜先生の筆致で描かれる華麗な魔法世界を体感してください。

書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。


その書籍版は、既刊第1巻~4巻も好評発売中です。

店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。


既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。

この機会に5巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。

皆様の応援が、次の『第6巻』以降の『続刊』につながります。

ぜひ「ぐいっ!」と後押しして下さい。

何卒宜しくお願い致します。

 モーラルの提案を受け入れ……

 マティアスは、ダメージを受けた魂を癒す為……

 ルウの創った第3界を模した異界、楽園エデンとどまっている。


 ステファニー、アニエスという年頃の娘のふたりの父親マティアスは、もう40代半ばの中年ではあるが……

 この不思議な異界では、元気な少年の頃のように走り回ったり、跳んだりする事が出来た。


 思いっ切り、身体を動かした後……

 ふたりは緑鮮やかな草原に座った。


 マティアスは久々に語った。

 幼い子供の頃の話……

 そして少年になって修道僧となり、進んで何でも雑用をし、懸命に修行した話など……

 これまで生きて来た人生の記憶を、思い出と共に語った。

 

 モーラルは、じっくり聞いてくれた。

 優しい笑顔で、他愛ない話でも真剣に聞いてくれた。 


 いろいろと話すうち……

 マティアスは、実の娘達以上にモーラルを気に入っていた。

 

 目の前のモーラルは、見た目より、ずっと大人びていて……

 静かに話す口調に落ち着く。

 話の節々に理知的な深みを感じる。

 

 かといえば、大衆的且つ雑学的な事も良く知っている。

 洒落や冗談にも上手く合わせてくれる。


 パッと見、とても冷たい印象はあるのだが……

 けしてわざとらしくない、彼女のさりげない心配りが嬉しい。 

 

 マティアスは、幼い頃ほのかな想いを抱いた、初恋の女の子を思い出す……

 もしくは……

 優しかった亡き母のようだとも感じる……


 闇の魔手から助けられ、結構な時間が経ったと思うが……

 マティアス、モーラルふたりが居る異界の風景は、全く変わらない。

 相変わらず、真っ青な大空が広がり、大草原に大小の森が点在する。

 爽やかな風も、肌に心地良く感じる……


 マティアスは改めて周囲を見回し、感嘆する。


「ここは……本当に楽園エデンのようだ。とても人間の手で創られたものとは思えない」


 そう言うと、モーラルはにっこり笑った。


「ええ、素敵でしょ?」


「ああ! 素晴らしい」


「うふふ……旦那様の創ったレプリカとはいえ……誰もが懐かしい故郷にいるように心を癒され、身体は大空をたゆたう雲のように軽くなる。まさに無限の境地……なの」


「うん! 全くだ!」


 楽園に対する、モーラルの形容を聞き、思わずマティアスは頷いた。

 彼は詩人が呟くような、このように知的な会話が、好きなのに……

 父や妻、愛娘ふたりとは、した事もない……


 しかし、モーラルはいきなり悪戯っぽく笑う。


「だけどマティアス様、現世に戻ったら無茶しては駄目よ、うふふ」


「ははは、無茶って?」


「マティアス様は、もう完全におじさん。その上、運動不足だから……すぐ息が切れるし、身体の節々も痛くなってしまうわよ」


 モーラルの笑顔に引き込まれ、マティアスも自然に思いっきり笑う。


「ははははは! 君から見れば、確かに私は運動不足のおじさんだな! でもここでは、身体が若い頃のように動くんだ! 気持ちだってはつらつとしているぞ!」


「でしょう? 私もよ! 気持ち良くて、現世に帰りたくないわ」


「だな! ああ、大気が清々しい! 本当に気持ちが良い! これがルウ殿の、魔法の力なのか……」


「ええ、魔法には無限の可能性がある。こうして人を守り、癒し、救う事だって出来る」


「…………」


 魔法には無限の可能性がある……か……

 確かに今、自分が居る異界が魔法によって創られたものならば、桁違いの力だ……

 そして怖ろしい悪魔によって、闇に堕ちる寸前の自分は救われた……

 気持ちもこうして前向きとなった。

 全てが、ルウとモーラルによって行使された魔法の力だと実感出来る……


 つらつらと考えるマティアスへ、モーラルは意外な事を告げる。


「貴方のご先祖……ブレヴァル家の始祖、ローラン様が目指した魔法の神髄とは、まさにそれじゃないかしら?」


「ローラン様が……ブレヴァル家の目指した魔法の神髄……人を癒し、守り、救う事か……」


「ええ、貴方が信じた家訓のように、防御魔法、治癒魔法だけが、人を守り、救うのではないわ」


「……た、確かにそうだ、その通りだ!」


 モーラルの言葉に納得したマティアスは、改めて楽園を見回し、大きく頷いていた。


 マティアスは実感する。

 いかに自分の視野が狭かったと。

 改めて、父や愛娘の言う事が理解出来るのだ。


「貴方自身が、今まさに体感しているから……良く分かるでしょう?」


「ああ……良く分かるよ」


「ええ、最終的に貴方を治癒し、立ち直らせたのは……この楽園を創った空間魔法だもの……」


「…………」


 素直に納得し、頷くマティアスへ、モーラルは微笑む。


「うふふ、マティアス様、魔法使いの基本を思い出して」


「魔法使いの基本?」


「ええ、魔法使いの基本は想像力、そして好奇心もしくは探求心……そうお父様から、しっかり習ったでしょう?」


「ああ、しっかり習ったよ……そうだったな、ふふふ」


 マティアスはまた遠い目をした。

 記憶を再び手繰った。


 魔法を学び始めた幼き頃を……

 師匠は当然、父アンドレ。

 厳しくも、頼もしく優しかった……


「ねぇ、マティアス様」


「何だ?」


「だから、想像するのよ……遥か昔、ブレヴァル家始祖、ローラン様の跡をお継ぎになった2代目の方は……どう考えていらしたのでしょうね?」


「え? 2代目のジルベール様が? どう考えていらした……って」


 モーラルの問いかけに、マティアスは戸惑った。

 しかしモーラルは、すぐにフォローしてくれる。


「ローラン様が……あまりにも抜きんでた才能をお持ちの方だったから……ご自分はどうしても、偉大な父の陰に隠れてしまう」


「ああ、絶対にそうだっただろう……ジルベール様は、父ローラン様の跡を立派に継がれ、更にブレヴァル家を盛り立てた、としか記録には残っていない……」


「ならば、あくまで私の想像だけど……そのジルベール様も……悩み苦しんだ……そう思わない?」


「え? ジルベール様も? 悩み苦しんだって?」


 想定外の、モーラルの意外な問いかけに……

 マティアスは、虚を衝かれたように目を見開いてしまったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます!


東導 号作品、愛読者の皆様へ!

別作品も宜しくお願い致します。


☆『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』


https://ncode.syosetu.com/n4411ea/


遥か遠き心のふるさとで初恋の人と巡り会いたい!

都会に疲れ帰郷目前の青年が、突如異世界の田舎村に少年として転生。

失われた心の絆を取り戻そうと奮闘する!

連載再開!新パート『狙われた白鳥編』開始!

本日2月18日、最新話が更新されております。

ぜひお楽しみください。


☆『隠れ勇者と押しかけエルフ』


https://ncode.syosetu.com/n2876dv/


異世界に召喚された人間族の隠れ勇者ダンと、ふたりのエルフ、エリン&ヴィリヤの熱く儚い恋物語。

無双、魔法バトル、地下ダンジョン探索もあり。

※1月27日更新分で、無事完結致しました。

長らくのご愛読、ありがとうございました。


☆『真☆信長に学べ! 俺の異世界生き残りライフ』


https://ncode.syosetu.com/n4165cd/


歴史オタクで、さえない少年雷同太郎は邪神ロキの力により転生、中世西洋風異世界で魔王信長と化す!

※好評連載中です。


☆『最強魔族の私を……あなたの愛で人間にしてくれますか?』


https://ncode.syosetu.com/n9802ex/


人間の両親から森に捨てられた夢魔の少女ツェツィリア。

孤児院へ捨てられ、懸命に生きて来た魔法使いの少年アルセーヌ。 傷ついたふたつの魂は邂逅、触れ合い結ばれる。

※好評連載中です。


東導 号の各作品を、ぜひぜひお楽しみ下さい。

応援宜しくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ