第1,093話 「ブレヴァル家の平穏⑬」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
『第5巻』は無事、1月25日に発売されました。
こうして続刊出来たのは、読者の皆様の多大なる応援のお陰です!
本当に、本当にありがとうございます!
ご購入された方は、
または事前にご予約済みでお手にされた方は、
小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへ
ご一報頂ければ、東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
『コミカライズ』連載開始しております。
株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌月刊「Gファンタジー」にて、
1月18日発売2月号(既に発売中)より連載が始まっています。
※来週月曜日、2月18日発売3月号にて『第2話』が掲載となります!
第1話を未読の方は、お早めにチェックを!
その第1話は何と!
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書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。
既刊第1巻~4巻も好評発売中です。
店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に5巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
皆様の応援が、次の『第6巻』以降の『続刊』につながります。
ぜひ「ぐいっ!」と後押しして下さい。
何卒宜しくお願い致します。
「ははははは」
「うふふ……」
楽園に来た当初とは違う。
また、普段のやや陰気な様子とも全く違う。
晴れ晴れした表情のマティアスが明るく笑い、モーラルも微笑む。
モーラルの優しい労りを聞き、マティアスは心を解放した。
思い切り、素直に……
マティアスは記憶を手繰る。
こんなに泣いたのは数十年ぶりだろうかと……
まだ幼い頃……
魔法の修行が上手く行かず、父に隠れ泣いた事がある……
30分ほど……
思う存分泣いた事で……
マティアスは憑き物が落ちたように、晴れやかな笑顔を見せていた。
完全に落ち着きを取り戻したマティアスへ……
モーラルは、悪魔アミーの魔手から救出してくれた経緯を、簡単に説明してくれた……
「そうか……モーラル。君とルウ殿が、あの怖ろしい悪魔から、私を助けてくれたのだな?」
「ええ、そうよ」
親友エクトル以外にも……
自分を気にかけ、救いの手を差し伸べてくれた者達が居た。
孤独な魂が、深き闇へ堕ちようとした絶体絶命の危機を……助けてくれた。
深い感謝の念により……
マティアスの、モーラルやルウへの呼び方や態度は自然と変わっていた。
「ありがとう! 助かった!」
大きな声で礼を言う、マティアス。
対して、モーラルの表情が僅かに曇る。
そして歯切れが悪そうに……否定する。
「……でも」
「でも?」
「すぐに……助けなくてごめんなさい」
意外ともいえるモーラルの謝罪。
訝し気な顔付きでマティアスは尋ねる。
「え? こうして助けてくれたのに……何故、謝る?」
「……貴方には、とても怖い思いをさせてしまったから……」
「…………」
「申し訳なかったわ」
「…………」
「だけど、もう大丈夫、安心してください」
「…………」
モーラルからの労りの言葉を、マティアスは黙って聞いていた。
彼女は……モーラルはとても優しい……
この優しさが、気遣いが……
自分の家族に少しでもあればと……マティアスはつい苦笑した。
そんなマティアスを見ながら、モーラルは話を続ける。
「実は……貴方の身に危険が迫っているのは分かっていたの……旦那様が、闇の波動を感じていた」
「…………」
「貴方の心に溜まっていた負の感情が……あの悪魔アミーを呼び寄せたわ……」
「…………」
自分の持っていた不満、苛立ちが悪魔を呼んだ……
そう思うと、マティアスは複雑な気分になった。
「マティアス様、……禍を転じて福と為すと言うわ」
「禍を?」
「ええ、毒を以て毒を制すと言う事かも」
「毒を以て毒を制す?」
「ええ、実は旦那様の指示で、アミーを上手く使う計画だったの」
「あの、悪魔アミーを? ルウ殿の指示で上手く使う?」
「そう、だから私は、貴方に本当の危険が及ぶまで見張っていたわ……」
ルウとモーラルの意図は分かった。
危機一髪で助けられたというのは、ルウの策でもあった。
しかしマティアスにまだ話の全貌は見えない。
「私を、見張っていたのか……本当の危険が及ぶまで……」
「ええ、そうよ……マティアス様は憶えているかしら、アミ―の指先に灯った妖しい炎を……」
「ああ……かすかにだが……憶えている……吸い込まれそうな輝きの炎だった……」
モーラルに言われ、マティアスはあの時の記憶を手繰った。
身も心も……悪魔に囚われそうになった事を……
助かった筈なのに、また身体が震えてしまう……
「あの炎は……人間の持つあらゆる負の感情を吸収して、糧とし、燃え盛る魔炎なのよ」
「ま、魔炎!? 魔法の炎……そ、そう……だったのか。で、では!」
「そう……貴方の持っていた負の感情は……全て、あいつの炎に吸収された」
「…………」
「……だから、貴方はこれほどまでに、気持ちが軽くなっているの……この楽園に居るからだけじゃない……」
「…………」
マティアスはようやく納得した。
ルウの取った策はまさに『荒療治』ともいえるものだったから。
そして、驚き苦笑してしまう。
防御と治癒の魔法を得手とするマティアスにはけして思い浮かばない、邪道ともいえる作戦だ。
更に……マティアスはこうも考える。
あの怖ろしい悪魔アミーを自分に引き合わせ、いろいろ話をさせる事で……
ルウは自分に何かを認識させようと、学ばせようとしたのではないかと……
絶対、意味があるのだと。
さすがにアンドレの息子である。
マティアスはいろいろな可能性を想像し、見極めようとしたのだ。
「この楽園に居る、今は良いけれど……このままでは、現世へ、家に戻られたら……マティアス様、貴方の心には、また大きな負担がかかる……」
「ああ……確かに……そうかもしれない……」
「ええ、再び辛い感情が溜まってしまうわ……繰り返しとなってしまう」
「…………」
「今回、貴方の魂は、結構なダメージを受けた……とりあえず、この異界で心身を休めて下さいね」
とりあえず、この異界で……
と、モーラルから言われ、マティアスはハッとした。
『全て』を放り投げ、自分はこの楽園に居ると、改めて気付いたからである。
「だ、だが……私は父や家族の下へ帰らねば……エクトルだって、待っている筈……」
しかしモーラルは、ゆっくり首を横に振る。
「心配は要りません。旦那様が上手くやっています。今頃、貴方のお父様には全て伝えている筈」
「ち、父上に……す、全てを!?」
「大丈夫、ご安心を。悪魔に魂を囚われそうになった貴方は、一方的な被害者……責められたりしない……お父様とはまた元の関係に戻れます」
「も、元の……」
「ええ、幼き頃の貴方とお父様の、ね。その為に、旦那様が考えた作戦を実行しましょう」
「ルウ殿の作戦? またあんな荒療治をするのか?」
不安になり、思わず聞き返すマティアスに対し……
モーラルは慈愛をこめた眼差しを向けた。
「ええ、きっとまた上手く行きます。私を信じてください」
「わ、分かった! モーラル、君を信じるよ……」
「ありがとうございます……先ほども言いましたが、暫し、ここで休みましょう」
モーラルの美しいピンクの瞳を見たマティアスは、ホッとした。
そして、全てを解放するが如く、四肢を思い切り伸ばしたのである。
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