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第1,091話 「ブレヴァル家の平穏⑪」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』


『第5巻』は無事、1月25日に発売されました。

こうして続刊出来たのは、読者の皆様の多大なる応援のお陰です!

本当に、本当にありがとうございます!


ご購入された方は、

または事前にご予約済みでお手にされた方は、

小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへ

ご一報頂ければ、東導は感謝感激状態となります。

何卒宜しくお願い致します。


そして!

『コミカライズ』連載開始しております。

株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌月刊「Gファンタジー」にて、

1月18日発売2月号(既に発売中)より連載が始まっています。

※あと10日少しで、2月18日発売3月号にて『第2話』が掲載となります!

 第1話を未読の方は、お早めにチェックを!


その第1話は何と!

カラー1Pを含め、60ページを超える特大ボリューム!

「Gファンタジー」様公式HPで試し読みが出来ますので、ぜひご覧になってください。

そして素敵な誌上企画もご用意しております。

書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。


既刊第1巻~4巻も好評発売中です。

店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。


既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。

この機会に5巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。

皆様の応援が、次の『第6巻』以降の『続刊』につながります。

ぜひ「ぐいっ!」と後押しして下さい。

何卒宜しくお願い致します。

 古ぼけた小さな居酒屋ビストロの扉が、ゆっくりと開き……

 主君マティアス・ブレヴァルが出て来たのを見て……

 店の傍で待機していたテンプル騎士団団長エクトル・ブルダリアスは安堵し、「ほう」と息を吐いた。


 あるじでありながら、幼馴染で親友でもあるマティアスに対し、エクトルは実の兄弟のような絆を感じていた。


 マティアスの苦悩は良く理解出来る。

 エクトル自身、優れた騎士であった父から受ける重圧プレッシャーに、長年苦しんで来たからだ。


「マティアス様……え!?」


 いつものように帰還を促そうとしたエクトルは……

 思わず、続く言葉を呑み込んだ。

 

 予想に反して!

 目の前のマティアスは、まるで長年に亘る憑き物が取れたように、晴れ晴れとした表情だった。


 戸惑うエクトルに対し、マティアスはにっこり笑う。


「おう、エクトル!」


 やはり、『いつものマティアス』とは違う。

 エクトルを呼ぶ声も活き活きして、張りがあった。

 手まで挙げて、左右に勢い良く振っている。


 いつもと180度違う主の様子を見て、マティアスは再び驚いてしまう。


「え? マティアス様?」


「どうした? そんなに吃驚びっくりした顔をして」


「は、はい……」


 エクトルが口籠ったのには理由がある。


 この居酒屋でストレス解消をした直後でも……

 マティアスの表情はいつもさえなかったのだ。


 たとえ笑顔を見せたとしても……

 このように、屈託のない明るい笑顔ではない。

 せいぜい苦笑するのが、関の山であったから。


「さあ、もう時間だ。エクトル、帰ろう!」


 やはり、マティアスはいつもと違う。

 帰還を促す声にも張りがある。


 だが……

 エクトルは軽く首を振り、思い直した。

 

 もっと落ち込んでいるのならともかく……

 主が明るく振る舞っているなら、臣下が必要以上に気に病む事はない。

 居酒屋でのリフレッシュが上手く行ったに違いない。

 後で、機会があれば、さりげなく理由を聞けば良い。


「はい! かしこまりましたっ!」


 主に釣られ、エクトルも同様に、元気な声で返事を戻したのである。


 その約20分後……


 エクトルが受けた『衝撃』は、ブレヴァル家の者全員も同様に受ける事となった。

 自宅に戻ったしたマティアスは、やはり晴れやかな表情で帰還を告げたのである。


 いくら冷たく扱われているからといって、マティアスは次期当主、出迎えぐらいはして貰っている。

 父アンドレや子供達は私室に居たが……

 マティアスの妻パトリシアが玄関でスタンバイしていた。


「ただいま! 今、戻ったぞ!」


「…………」


「どうした、パトリシア」


 ステファニー&アニエスの母でもあるパトリシアは、ついポカンとしてしまった。

 結婚して以来、夫が見せた事のない明るい表情をしていたからだ。

 驚きのあまり、言葉が出て来ない。


「…………」


「ははっ、パトリシア、今日もしっかり家を守ってくれてありがとう」


「え?」


 何と!

 夫が自分を労わってくれた!?

 結婚した時以来、二十数年ぶりだろうか……


 目を見開き、固まってしまったパトリシアを見て、マティアスは屈託なく笑う。


「おいおい、どうした? そんなに驚いて」


「い、いいえ! な、何でもありません」


 パトリシアの心が、じんわりと温かくなった。

 同時に、夫に対して自分がとっていた冷たい態度が、とても申し訳ない気持ちにもなって来る。


 そんなパトリシアへ、マティアスは笑顔のまま告げる。


「とても腹が空いた、夕食が楽しみだ」


「え、ええ! 貴方のお好きな卵料理を、たくさん作らせますよ」


「おお、さすが我が妻だ、ありがとう!」


「うふふっ」


 目の前のマティアスは、まるで新婚当時の優しく思い遣りのある夫に戻ったようだ。

 パトリシアも思わず、とびきりの笑顔を返していたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 その夜、ブレヴァル家の夕食はいつもとは雰囲気がまるで変っていた。

 明るくにぎやかなのである。 

 

 原因は、はっきりしていた。

 マティアスがいつもより良く喋るのだ。

 特にパトリシアと、ステファニー&アニエスに対して。


 いつもとは違う父の様子に、最初は戸惑っていた娘ふたりも……

 母であるパトリシアがマティアスを大いにフォローした為、徐々に話すようになり……

 食後のお茶の時間には自分達から、話し掛けるまでになっていた。


 その様子を不可解に感じながら、アンドレはそっと見守っていた。


 息子が変わった理由は分からない。

 しかし前向きに考えていた。

 昨夜父と息子が、お互い思い切り心の内をさらけ出し、気分を一新したのだと。


 なので同様に、「ふたりきりで話をしたい」とマティアスが申し入れて来たのに 対し、アンドレは即座に快諾したのである。


 30分後……

 場面は変わり、アンドレの書斎……


「マティアス、今日は何かあったのか?」


 このように素っ気ない聞き方でも、アンドレとしては息子に最大限の愛情を示しているつもりだ。


 父に尋ねられ、マティアスは相変わらず笑顔で、あっさり認める。


「はい、ありましたよ、父上」


「ふむ、何があった」


 と続いて聞いたアンドレへ、マティアスは何故か深く頭を下げた。

 ここまで普段と言動が違うと、アンドレはこう尋ねざるをえない。


「どうした? マティアス、先ほどから、普段と全然様子が違うぞ」


 アンドレの問いに対し、俯いたまま、口を開いたマティアスであったが、ぽつりと呟いた。


「枢機卿、申し訳ない」


「な、枢機卿?」


 息子マティアスは、公の場ならいざ知らず、自宅で父アンドレを枢機卿と呼ぶ事はない。


 目の前に居るのは……息子ではない。

 な、何者!?

 まさか!

 人外!?


 驚いたアンドレは思わず立ち上がり、身構えたが、見覚えのある顔を見て絶句した。


「き、き、き、君はぁっ!?」


「はい、ルウ・ブランデルです」


「なな、な!? 何故ぇ!」


「枢機卿、ある事件が起こりました。しかし息子さんは、俺が安全な場所へお預かりしていて無事です、ご安心を」


 やはり、顔を上げたのは……マティアス本人ではなかった。

 魔法で取り寄せた同じ柄の、マティアスの予備の法衣をまとい、擬態していたルウだったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます!


東導 号作品、愛読者の皆様へ!

別作品も宜しくお願い致します。


☆『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』


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遥か遠き心のふるさとで初恋の人と巡り会いたい!

都会に疲れ帰郷目前の青年が、突如異世界の田舎村に少年として転生。

失われた心の絆を取り戻そうと奮闘する!

『亡国の王女編』※1月28日、パート最終話更新しております。

今回のパートも、ご愛読ありがとうございました。

次回パートへ向け、只今プロット考案中。


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※1月27日更新分で、無事完結致しました。

長らくのご愛読、ありがとうございました。


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※本日2月8日最新話更新しております。


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人間の両親から森に捨てられた夢魔の少女ツェツィリア。

孤児院へ捨てられ、懸命に生きて来た魔法使いの少年アルセーヌ。 傷ついたふたつの魂は邂逅、触れ合い結ばれる。

※2月4日最新話更新しております。

次回更新は2月10日予定です。


東導 号の各作品を、ぜひぜひお楽しみ下さい。

応援宜しくお願い致します!

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