第1,091話 「ブレヴァル家の平穏⑪」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
『第5巻』は無事、1月25日に発売されました。
こうして続刊出来たのは、読者の皆様の多大なる応援のお陰です!
本当に、本当にありがとうございます!
ご購入された方は、
または事前にご予約済みでお手にされた方は、
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ご一報頂ければ、東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
『コミカライズ』連載開始しております。
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1月18日発売2月号(既に発売中)より連載が始まっています。
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この機会に5巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
皆様の応援が、次の『第6巻』以降の『続刊』につながります。
ぜひ「ぐいっ!」と後押しして下さい。
何卒宜しくお願い致します。
古ぼけた小さな居酒屋の扉が、ゆっくりと開き……
主君マティアス・ブレヴァルが出て来たのを見て……
店の傍で待機していたテンプル騎士団団長エクトル・ブルダリアスは安堵し、「ほう」と息を吐いた。
主でありながら、幼馴染で親友でもあるマティアスに対し、エクトルは実の兄弟のような絆を感じていた。
マティアスの苦悩は良く理解出来る。
エクトル自身、優れた騎士であった父から受ける重圧に、長年苦しんで来たからだ。
「マティアス様……え!?」
いつものように帰還を促そうとしたエクトルは……
思わず、続く言葉を呑み込んだ。
予想に反して!
目の前のマティアスは、まるで長年に亘る憑き物が取れたように、晴れ晴れとした表情だった。
戸惑うエクトルに対し、マティアスはにっこり笑う。
「おう、エクトル!」
やはり、『いつものマティアス』とは違う。
エクトルを呼ぶ声も活き活きして、張りがあった。
手まで挙げて、左右に勢い良く振っている。
いつもと180度違う主の様子を見て、マティアスは再び驚いてしまう。
「え? マティアス様?」
「どうした? そんなに吃驚した顔をして」
「は、はい……」
エクトルが口籠ったのには理由がある。
この居酒屋でストレス解消をした直後でも……
マティアスの表情はいつもさえなかったのだ。
たとえ笑顔を見せたとしても……
このように、屈託のない明るい笑顔ではない。
せいぜい苦笑するのが、関の山であったから。
「さあ、もう時間だ。エクトル、帰ろう!」
やはり、マティアスはいつもと違う。
帰還を促す声にも張りがある。
だが……
エクトルは軽く首を振り、思い直した。
もっと落ち込んでいるのならともかく……
主が明るく振る舞っているなら、臣下が必要以上に気に病む事はない。
居酒屋でのリフレッシュが上手く行ったに違いない。
後で、機会があれば、さりげなく理由を聞けば良い。
「はい! かしこまりましたっ!」
主に釣られ、エクトルも同様に、元気な声で返事を戻したのである。
その約20分後……
エクトルが受けた『衝撃』は、ブレヴァル家の者全員も同様に受ける事となった。
自宅に戻ったしたマティアスは、やはり晴れやかな表情で帰還を告げたのである。
いくら冷たく扱われているからといって、マティアスは次期当主、出迎えぐらいはして貰っている。
父アンドレや子供達は私室に居たが……
マティアスの妻パトリシアが玄関でスタンバイしていた。
「ただいま! 今、戻ったぞ!」
「…………」
「どうした、パトリシア」
ステファニー&アニエスの母でもあるパトリシアは、ついポカンとしてしまった。
結婚して以来、夫が見せた事のない明るい表情をしていたからだ。
驚きのあまり、言葉が出て来ない。
「…………」
「ははっ、パトリシア、今日もしっかり家を守ってくれてありがとう」
「え?」
何と!
夫が自分を労わってくれた!?
結婚した時以来、二十数年ぶりだろうか……
目を見開き、固まってしまったパトリシアを見て、マティアスは屈託なく笑う。
「おいおい、どうした? そんなに驚いて」
「い、いいえ! な、何でもありません」
パトリシアの心が、じんわりと温かくなった。
同時に、夫に対して自分がとっていた冷たい態度が、とても申し訳ない気持ちにもなって来る。
そんなパトリシアへ、マティアスは笑顔のまま告げる。
「とても腹が空いた、夕食が楽しみだ」
「え、ええ! 貴方のお好きな卵料理を、たくさん作らせますよ」
「おお、さすが我が妻だ、ありがとう!」
「うふふっ」
目の前のマティアスは、まるで新婚当時の優しく思い遣りのある夫に戻ったようだ。
パトリシアも思わず、とびきりの笑顔を返していたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その夜、ブレヴァル家の夕食はいつもとは雰囲気がまるで変っていた。
明るくにぎやかなのである。
原因は、はっきりしていた。
マティアスがいつもより良く喋るのだ。
特にパトリシアと、ステファニー&アニエスに対して。
いつもとは違う父の様子に、最初は戸惑っていた娘ふたりも……
母であるパトリシアがマティアスを大いにフォローした為、徐々に話すようになり……
食後のお茶の時間には自分達から、話し掛けるまでになっていた。
その様子を不可解に感じながら、アンドレはそっと見守っていた。
息子が変わった理由は分からない。
しかし前向きに考えていた。
昨夜父と息子が、お互い思い切り心の内をさらけ出し、気分を一新したのだと。
なので同様に、「ふたりきりで話をしたい」とマティアスが申し入れて来たのに 対し、アンドレは即座に快諾したのである。
30分後……
場面は変わり、アンドレの書斎……
「マティアス、今日は何かあったのか?」
このように素っ気ない聞き方でも、アンドレとしては息子に最大限の愛情を示しているつもりだ。
父に尋ねられ、マティアスは相変わらず笑顔で、あっさり認める。
「はい、ありましたよ、父上」
「ふむ、何があった」
と続いて聞いたアンドレへ、マティアスは何故か深く頭を下げた。
ここまで普段と言動が違うと、アンドレはこう尋ねざるをえない。
「どうした? マティアス、先ほどから、普段と全然様子が違うぞ」
アンドレの問いに対し、俯いたまま、口を開いたマティアスであったが、ぽつりと呟いた。
「枢機卿、申し訳ない」
「な、枢機卿?」
息子マティアスは、公の場ならいざ知らず、自宅で父アンドレを枢機卿と呼ぶ事はない。
目の前に居るのは……息子ではない。
な、何者!?
まさか!
人外!?
驚いたアンドレは思わず立ち上がり、身構えたが、見覚えのある顔を見て絶句した。
「き、き、き、君はぁっ!?」
「はい、ルウ・ブランデルです」
「なな、な!? 何故ぇ!」
「枢機卿、ある事件が起こりました。しかし息子さんは、俺が安全な場所へお預かりしていて無事です、ご安心を」
やはり、顔を上げたのは……マティアス本人ではなかった。
魔法で取り寄せた同じ柄の、マティアスの予備の法衣をまとい、擬態していたルウだったのである。
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