第1,090話 「ブレヴァル家の平穏⑩」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』
『第5巻』は無事、1月25日に発売されました。
こうして続刊出来たのは、読者の皆様の多大なる応援のお陰です!
本当に、本当にありがとうございます!
ご購入された方は、
または事前にご予約済みでお手にされた方は、
小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへ
ご一報頂ければ、東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
そして!
『コミカライズ』連載開始しております。
株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌月刊「Gファンタジー」にて、
1月18日発売2月号(既に発売中)より連載が始まっています。
第1話は何と!
カラー1Pを含め、60ページを超える特大ボリューム!
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書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。
既刊第1巻~4巻も好評発売中です。
店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に5巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
皆様の応援が、次の『第6巻』以降の『続刊』につながります。
ぜひ「ぐいっ!」と後押しして下さい。
何卒宜しくお願い致します。
「ルウ・ブランデル! 貴様が数多の悪魔に勝利して来た事は知っている!」
悪魔アミーは叫ぶように告げた
どうやら……
これまでルウが多くの悪魔達に勝ち、結果的に従えた事を、ちゃんと認識しているらしい。
だが、臆するかといえばそうではなく、逆に自信満々であった。
アミーは「にやり」と嫌らしく笑い、ルウを威嚇する。
「しかぁし! ここは我の創りし世界! 全てが我に味方するぅ!」
対して、ルウも全く動じない。
落ち着き払って、指を左右に振った。
「ははっ、それはどうかな?」
と否定し、傍らのモーラルに視線を移す。
「モーラル!」
「はいっ!」
ルウの呼び掛けに対し、「心得た!」とばかりにモーラルが即座に返事をした。
笑顔で、傍らのマティアスにそっと触れる。
すると、モーラルとマティアスのふたりは、居酒屋の店内から煙のように消え失せた。
どうやら、ルウとモーラルの間には既に『打合せ』が済んでいたようだ。
魂に大きなダメージを受けたマティアスを安全な場所に移し、モーラルが彼を守るという段取りが。
しかしここはアミーの魔法により生み出された異界である。
異界の主たる、上位悪魔の力が絶大である筈の異界なのだ……
なのに他者の……
それも人間の転移魔法があっさり発動し、アミーは仰天した。
「な、何をする! 我の獲物を!? き、貴様ぁ! ど、ど、どこへやったぁ!!!」
戸惑い、混乱するアミーを見て、ルウは「ふっ」と鼻で笑う。
「ふふ、獲物だと? 遂にお前の本音が出たぞ」
「ぐおお!」
「言葉巧みに契約などと抜かして、捕えた彼の魂を貪り、この国に大いなる災いをもたらそうとしたな?」
「うおおおおっ! う、うるさいわっ! 黙れぇ、小童めぇ!」
アミーの魔力が凄まじい怒りで膨れ上がり、店中がみしみしと音を立てた。
と、ここで「さっ」とルウが手を挙げた。
まるで、いきり立つアミーを抑えるかのように。
「おっと、ストップ! ここで暴れて、店を壊したら店主が悲しむ」
これも『予想通り』というように微笑むと、ルウはピンと指を鳴らした。
すると!
一瞬のうちに、周囲は狭い王都の居酒屋から、広大な空間に変わった。
真っ白で何もない無機質な空間……
ルウが創った異界である。
これは……凄まじい魔法である。
アミーの異界を打ち破ったルウは、新たに『自分の異界』を創り出したのだ。
「な、何! こ、これは!?」
驚き、混乱するアミーをスルーし、挑発するかの如く、ルウは指を「くいっ」と手前に動かす。
「さあ、外道、かかって来い」
「ふ、ふざけるなぁ! たかが土くれがぁ!!!」
挑発され気を取り直したアミーは叫び、指先に灯っていた小さな炎を一気に吹き上がらせる。
ごおおおおおおおっ!
すると、アミーの声に応えるが如く、凄まじい音を立てて炎は数十メートルも燃え盛った。
「ほうれぇ! 小童ぁ! 見たかぁ、素晴らしき我が炎を! マティアスの持つ負の感情を全て吸い込み、とてつもない力を持った!」
「ほうほう、確かに結構な魔力を感じるな」
ルウは炎を見ても全く動じない。
相変わらず、笑顔であった。
しかしアミーは、おかまいなく調子に乗っている。
「そうだろう! そうだろう! 奴の負の感情により、我が魔炎の威力は倍増する! 単なる人間の貴様などすぐ塵にしてやるわぁっ!」
「でもなぁ……」
「何? でもなぁとは! 人間め! 何が言いたい!」
「いやぁ、お前の得意技とはいえ……俺に対し、炎で来るとは……」
「何!」
「お前……俺の事を、いろいろ聞いたみたいだが……戦いの様子までは聞いていないようだ」
「う、うるさい! 強がりを言うなぁ!」
「ははは、アミー。強がりかどうか、試してみろ」
「ぐぐぐ、貴様ぁ!」
「お前の最も得意な、嫉妬の炎とやらで俺を存分に焼いてみせろよ」
「ぞ、存分にだとぉ! な、舐めおってぇ!」
アミーは「ぎろり」とルウを睨むと、
「うらぁ~~っっ!!! くそがきぃ! 燃えろ~~っっ!!! 燃えてしまえ~~っっ!!!」
燃え盛る炎を、ルウに向かって激しく噴射した。
紅蓮の炎はルウに凄まじい速さで迫り、一気に彼にまとい、燃え上がる。
「見たか、小童ぁ! 我が嫉妬の炎に焼かれ、瞬時に塵となれぃ!!!」
しかし!
オレンジ色の炎に全身を包まれたルウは、苦痛の表情を浮かべてはいない。
目を大きく見開き、信じられないという波動を出しながら、アミーは叫ぶ。
「小童ぁ!!!」
「ほう、お前の言う通り、そこそこの炎だ」
「ば、馬鹿なぁ! そこそこだとぉ!!! な、何故!? 何故効かぬぅ!!!」
戸惑うアミーの絶叫を、単なる質問として受け取り、ルウはあっさり言い放つ。
「ああ、俺にこんな炎は効かない!」
「う、嘘だぁ!!!」
「いや、まじだ!」
「まじ? あ、ああああああ!!!」
「いつもなら炎は無効化するんだが、これから使う魔法の練習には最適みたいだぞ」
これから使う魔法の練習!?
アミーは思わず脱力してしまう。
魔界の噂で、ルウが悪魔の強敵だと聞いてはいたが……桁が違う。
あまりにもスケールが大きすぎる!
「れ、練習だとぉ!!!」
「ああ、この前、俺が一度も使った事のない魔法を見た。良い機会があれば、試そうと思っていた」
「な、何ぃ!!! お、お前が、一度も使った事のない魔法を試すだとぉ?」
「うん、その魔法は結構な魔力を使うんだ」
「むむむ……」
「お前の炎が持つ魔力は、これから俺が使う魔法の、丁度良い踏み台になる」
「ふ、踏み台だとぉ!? ば、馬鹿なぁ!!! 我が炎がかぁ!?」
アミーは、当然知っている。
ルウの言う意味は理解している。
すなわち、超が付く上級の術者は……
自分より低レベルな他者の魔法をベースにし、更に大きな魔法を使いこなせる事を。
しかし!
アミーのような高位悪魔でさえ、雑魚扱いするこの人間は!?
驚愕するアミーの耳に、いきなり!
独特な節回しの、言霊が聞こえて来る。
「……我が魂より出でし、燃え盛る火よ! 更に猛き炎となれ!」
「な、な、何だぁ~~っ!? そ、その言霊はぁ!!!」
アミーは絶叫するが、ルウは淡々と詠唱を続けて行く……
「聖なる猛き炎よ! ……我に仇なす敵、全てを焼き尽くせ!」
「あ、ああ! お、お、思い出したぞぉぉっ!!! その言霊ぁ!!!」
「……大いなる、復活の為に!」
「ま、まさか! そ、そ、そ、その言霊はぁ!!! ひ、ひ、火界王のぉ!!! 高貴なる火界王パイモンの使う魔法かぁ~~!!!」
そう……
ルウが詠唱する、言霊から発動する魔法とは……
以前、高貴なる4界王のひとりパイモンが行使した超絶な火属性の攻撃魔法……
火を全く寄せ付けないといわれた、不死の魔獣ヒュドラを一瞬で屠った魔法なのだ。
※第1,019話参照
「破壊!」
ルウの魔力レベルが最高に高まったのであろう。
彼の口から、決めの言霊が放たれた。
すると、一瞬にして!
真っ白な異界の四方へ、紅蓮の猛炎が吹き荒ぶ。
先ほどアミーが豪語した火の勢いを遥かにしのぐ数百メートルにも及ぶ猛炎であった。
「ぐぎゃああああああああ~~~っっっ!!!」
ルウ同様、全身を炎に包まれたアミーは、断末魔の叫びをあげると!
あっというまに塵と化した上、跡形もなく消えてしまったのである。
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