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第1,087話「書籍版第5巻発売記念特別閑話 真実の口」

書籍版第5巻発売の特別閑話です。

WEB版では、第218話の真ん中くらいの時間軸の話となります……


愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』


『第5巻』は無事、1月25日に発売されました。

こうして続刊出来たのは、読者の皆様の多大なる応援のお陰です!

本当に、本当にありがとうございます!


ご購入された方は、

または事前にご予約済みでお手にされた方は、

小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへ

ご一報頂ければ、東導は感謝感激状態となります。

何卒宜しくお願い致します。


今回、『第5巻発売』を記念して、昨日26日、本日27日は特別閑話をお送り致しました。

明日1月28日更新分から本編に戻ります。

 

そして!

『コミカライズ』連載開始しております。

株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌月刊「Gファンタジー」にて、

1月18日発売2月号(既に発売中)より連載が始まっています。


第1話は何と!

カラー1Pを含め、60ページを超える特大ボリューム!

「Gファンタジー」様公式HPで試し読みが出来ますので、ぜひご覧になってください。

そして素敵な誌上企画もご用意しております。

書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。


既刊第1巻~4巻も好評発売中です。

店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。


既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。

この機会に5巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。

皆様の応援が、次の『第6巻』以降の『続刊』につながります。

ぜひ「ぐいっ!」と後押しして下さい。

何卒宜しくお願い致します。

 ルウによる魔法女子学園の案内は終わった。

 リーリャはまだまだルウとふたりきりで居たい。

 だが約束した午後3時までに、アデライドの待つ理事長室に戻らなくてはならない。

 

 仕方なく歩き出したリーリャがふと見やれば、行く手に小さな教会がある。

  

 ルウに聞けば……

 この教会は、学園の生徒及び職員が創世神へ祈りをささげる場所として、キャンパス内に設けられてるという。

 通常の教会とは違い、司祭や司教は居らず無人らしい……

 

 教会を見ていて、リーリャはある事を思いついた。

 それは大好きなルウと共に、ぜひ行いたい『イベント』である。


「ルウ先生!」


「おう!」


「理事長室へ戻る前、少しだけ……時間をください。創世神様へ感謝の祈りをささげたいのです」


「ああ、構わない、少しだけなら」


「はい! 5分だけ……先生も……私と一緒にお祈りしてくれますか?」


「OKだ!」


「あ、ありがとうございます」


 ルウに快諾して貰い、リーリャは嬉しかった。

 繋いでいる手に、きゅっと力を入れた。


 こうして……

 ルウとリーリャのふたりは、教会へ入って行った。


 教会の中には、建物に比例してこじんまりした礼拝堂が設けられており、祭壇が設置されている。

 礼拝堂は誰も居らず、無人だった。


 ホッとしたリーリャは祭壇の前にゆっくりと跪き、目を閉じて祈りをささげる。

 ルウに告げた通り、自分と家族、そしてロドニアが救われた事に対する感謝の祈りである。

 そしてルウに出会えた事も……


 リーリャがそっと目を開けて見れば、傍らでルウも跪き、目を閉じて祈りをささげていた。


 ……リーリャは改めて、異界での出来事を思い出す。

 彼女を助ける為、闇の魔法使いグレゴーリィ・アッシュと凶悪な悪魔共を退けたルウの特別な姿も……


 あの時、黒髪の悪魔に擬態したルウは神々しかった。

 彼の背に巨大な翼が生えたのだから。

 まるで創世神に仕える、天の使徒のように。


 しかしリーリャは……

 「何故? あのような翼が?」と、ルウ本人へ聞いてはいない。

 

 どうして? かといえば……

 絶対に聞いてはいけない気がしたから。

 もしも口にしたら、翼の記憶が失われる!

 そんな確かな予感がしたのである。


 ルウの妻モーラルが、完全な翼ペルフェクトゥスアーラと呼んだ黄金色に輝く翼。

 自分が救われた思い出と共に、けして忘れてはならない……

 そう強く強く、リーリャは感じたのだ。


 感謝の祈りが終わり……

 礼拝堂を出ようとしたふたりの目に、壁に造られた大きな彫刻が止まった。

 リーリャが見覚えのない、北か南の古き神か、使徒らしき顔が彫られている。

 

 彫刻の顔は無表情で、口が大きくぽっかりと開いている……


「ルウ先生、あれって……」


「ああ、真実の口だ」


「真実の口?」


「うん、懺悔をする為に、大昔この王国のある司教が始めたっていう話だ」


「懺悔……」


 真実の口……懺悔をする為の彫刻……

 リーリャが初めて聞く話である。


 不思議に思い、ルウにせがんで、詳しく聞いたところ……

 懺悔をする者が、この彫像の口に手を入れると……

 虚言を弄する、真実を偽る者は、手を抜く際、犯した罪に応じて、相応の罰を受けるという。


「相応の罰?」


「ああ、あくまでも言い伝えだが……彫像の口が手首を噛み切るか、入れた手が抜けなくなるという話らしいぞ」


「えええっ! こ、怖いっ!」


「やってみるか?」


「わ、私は……」


 リーリャはつい口籠った。

 悪魔に擬態したルウを……彼の翼を……

 真実を知るのに、口をつぐむ自分は罰せられないかと、危惧したからだ。

 

 そんなリーリャの心配を見透かすかのように、ルウは笑顔で応えてくれた。


「ははっ、じゃあ俺がやろう」


「え? ル、ルウ先生が! や、やめた方が!」


「大丈夫!」


 ルウはそう言うと、彫像の口に手を突っ込んだ。

 そして、


「うわあああっ!」


 と、大きな声をあげた。


「せ、先生ぇぇ! ル、ルウ先生ぇ~~!!!」


 叫ぶルウの声を聞き、リーリャは大声で悲鳴を上げた。


 ルウの手が、彫像に噛み千切られた!?

 それって、私を助ける為、怖ろしい悪魔に化けてくれたから!?

 駄目! 駄目! そんなの絶対に駄目ぇ!!!


 誰も居ない事もあり、大きな不安が襲ったリーリャは、思い切りルウに抱きついた。

 しかし……そんな心配は杞憂だった。


「な~んてな、大丈夫だ」


 ルウはあっさりと手を引き抜いた。

 

 ハッとしたリーリャが見やれば……

 彼の手は無事であった。

 傷ひとつなく、当然何ともなってはいない……


「ああ、もう! ルウ先生ったら! 意地悪っ! 意地悪っ!」


 リーリャは安堵したと同時に、確信した。

 やはり……ルウと再び出会えたのは運命なんだと。

 

 悪魔に化ける大罪を犯す事もいとわず……

 絶望の淵に堕ちかけた自分を助け出してくれた。

 そして『大切な宝物』全てを、救ってくれた…… 

  

「さあ、ルウ先生、理事長室へ参りましょう」


 嬉しくなって微笑んだリーリャは……

 「つないで欲しい!」とばかりに、元気よく自分の手を差し出したのであった。

いつもご愛読頂きありがとうございます!


東導 号作品、愛読者の皆様へ!

別作品も宜しくお願い致します。


☆『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』


https://ncode.syosetu.com/n4411ea/


謎の死を遂げた青年ケンは、異世界の辺境村へ少年として転生。数奇な運命に翻弄され、苦難の末に幸せをつかんだケンは、愛する家族を守ろうと奮闘する。

『亡国の王女編』連載中です。

※本日1月27日最新話更新しております。

※次回更新はパート最終話、明日1月27日の予定です。


☆『隠れ勇者と押しかけエルフ』


https://ncode.syosetu.com/n2876dv/


怖ろしい悪魔王に父と一族全員を殺されたダークエルフの姫エリン。穢されそうになったエリンを圧倒的な力で助けたのは謎の魔法使いダン。異世界から召喚された隠れ勇者と呪われたダークエルフ美少女の恋物語が始まる。

※本日、最新話更新しております。

ラスト話となり、完結致しました。

長らくのご愛読、ありがとうございました。


東導 号の各作品を、ぜひぜひお楽しみ下さい。

応援宜しくお願い致します!

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