第1,086話「書籍版第5巻発売記念特別閑話 果たされた約束」
今回の話は、書籍版第5巻発売記念の特別閑話です。
WEB版では、第214話前後の時間軸となる話になります……
愛読者の皆様!
特報です!
『魔法女子学園の助っ人教師』
『第5巻』は無事、1月25日に発売されました。
こうして続刊出来たのは、読者の皆様の多大なる応援のお陰です!
本当に、本当にありがとうございます!
ご購入された方は、
または事前にご予約済みでお手にされた方は、
小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへ
ご一報頂ければ、東導は感謝感激状態となります。
何卒宜しくお願い致します。
今回、『第5巻発売』を記念して、明日26日、明後日27日は特別閑話をお送り致します。
つまり昨日1月25日から、本編次回更新の1月28日月曜日まで『4日連続更新』となります。
ぜひぜひ、お楽しみ下さい!
そして!
『コミカライズ』が連載開始しております。
株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌月刊「Gファンタジー」にて、
1月18日発売2月号(既に発売中)より連載が始まっています。
第1話は何と!
カラー1Pを含め、60ページを超える特大ボリューム!
「Gファンタジー」様公式HPで試し読みが出来ますので、ぜひご覧になってください。
そして素敵な誌上企画もご用意しております。
書籍版と共に、存分にお楽しみくださいませ。
既刊第1巻~4巻も好評発売中です。
店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に5巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
皆様の応援が、次の『第6巻』以降の『続刊』につながります。
ぜひ「ぐいっ!」と後押しして下さい。
何卒宜しくお願い致します。
ロドニアの王都ロフスキを出発して、約2週間……
ヴァレンタイン王国王都セントヘレナを目的地とした、王女リーリャ護衛の旅は終わった。
両国の国境において、ロドニア対ヴァレンタインの『特別な勝負』が行われた以外は、さしたる事件もなく……リーリャは無事到着した。
ロドニア騎士達が守るべき可憐な主は……
ヴァレンタイン王国が借り切った、この王国ではナンバーワンのホテルだという、セントヘレナの特別スイートルームへと入ったのである。
『特別な勝負』の兼ね合いで……
セントヘレナに到着したロドニア王国の一行は、これまたヴァレンタイン王国側の指示でバラバラとなった。
騎士団の副団長で一行の隊長格マリアナ・ドレジェルは、主リーリャの宿泊するホテル・セントヘレナへすぐに移動させられてしまった。
ラウラ・ハンゼルカ達女性魔法使いは、また別のホテルへの宿泊を命じられた。
残ったロドニア騎士の男性陣は、とある大型の宿泊施設に留め置かれていた。
荷馬車で同行した作業員達も一緒である。
連れて来たヴァレンタインの騎士に聞けば、ここは軍訓練用の大型宿泊施設だという。
軍用だと言われ、誰もが納得した。
リーリャが泊る華やかなホテルとは全く違い、雰囲気がとても殺風景だと思ったのだ。
またロドニア王国人より若干小柄な、ヴァレンタイン王国人に合わせて造られた建築物であり、内装である。
全員大柄なロドニア騎士達から見れば、狭い部屋、狭いベッド、狭い風呂、挙句の果てにトイレまでがこじんまりしていた。
誰もが、窮屈だと愚痴をこぼした。
大きな食堂も調理人や給仕人が不在で寒々としている。
こちらも基本、王国軍内の調理人が宿泊する際のみ来るという……
異国の地で故国ロドニア料理が出て来るなどまるで期待出来ないし、ロドニア騎士達の不満は溜まって行った。
だが、セントヘレナへ入ってすぐの事。
意外にも180度の方針転換ともいえるロドニア王ボリスの命令書が届いた。
ヴァレンタイン王国側からの指示があり次第、騎士団は帰国せよと。
結果、せいぜい長くて1週間くらいの滞在に過ぎないから我慢しようという事になったが……やはりロドニア騎士達のストレスがたまる事はほぼ確実であった。
そんなこんなで、宿舎に入って数日後……
ロドニア騎士のひとりボフミル・デイエクは、与えられた個室の狭いベッドに寝そべっていた。
騎士団でも有数の、2m以上を誇る体躯ゆえ、両手両足は完全にベッドからはみ出している。
仰向けになったボフミルは、とりとめなく天井を眺めながら、ふと『ある約束』を思い出した。
それは彼が一生忘れないであろう、『特別な勝負』の際にした約束だ。
ロドニアとヴァレンタインの国境を示す橋上で、ボフミルが戦った相手は、ヴァレンタイン王都騎士隊食客バルバという謎めいた男……
今迄見た事もない、とんでもなく強い、人間離れした男であった。
目を閉じ、記憶を手繰ると……
ボフミルの心には相手バルバの言葉が甦る。
「ははは、ボフミルとやら。たとえ全てを分かりあえなくとも、些細な事がきっかけで、親しい友には、なれるものだ」
思い出したバルバの言葉に、ボフミルはつい頷く。
そしてふたりが交わした約束とは……
セントヘレナに着いたら、美味い酒を飲もうというものだった。
「納得したか? 戦いが終わったら、互いの健闘を称え合い、俺が美味いエールでも奢ってやろう」
「分かった! 喜んで、馳走になろう」
良くある、ありふれた『飲む約束』である。
勝負には、完璧に負けたボフミルだったが……
堂々としたバルバの物言いや態度には、筋を通す男の爽やかな清涼感を覚えていたのだ。
その後、セントヘレナまでの道中……
バルバと交わした言葉は極端に少なかったが、自分と同じく、騎士の真っすぐな精神が伝わって来たのも、心地良かった。
しかし……と、ボフミルは苦笑し、首を横に振った。
あのような一時の約束は、流されて反故になるのが常。
良くある、一種の社交辞令だと。
こうして軟禁状態になっている自分を連れ出し、王都の街中へ、勝手に飲みに行くなど、あのバルバだとて出来る筈もない。
と、その時。
急に部屋の外が騒がしくなった。
扉があちこちで開く音がした。
ボフミル同様、泊っているロドニア騎士達の走る足音が廊下に大きく響いている。
「一体、何事だ?」
起き上がったボフミルも部屋を出て、急いで外へ向かった。
すると、ロドニアの物とは違う型の荷馬車が数台、停まっていた。
どうやらヴァレンタイン王国の荷馬車らしい。
その荷馬車の荷台には、大量の食料がうず高く積まれていた。
また誰が見てもすぐ分かる、エールやワインの入った大きな樽がいくつもあった。
吃驚したボフミル達、ロドニア騎士が見やれば……
一台の荷馬車の御者席に座った、彼等が見覚えのある逞しい男が大きく手を挙げていた。
「お、おお! バ、バルバぁ!!!」
ボフミルは感極まって大声で叫んだ。
真に誠実な男は……
どんな小さな決め事も約束も、けして流さず反故にはせず、しっかりと守る……
橋上で交わされた、戦士ふたりのありふれた約束は、今、間違いなく果たされたのであった。
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