第1,084話 「ブレヴァル家の平穏⑥」
愛読者の皆様へ!
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『魔法女子学園の助っ人教師』
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※12月29日付けの活動報告でカバーイラストも発表しました。
※1月6日の活動報告で、メインヒロインのリーリャ王女、
王女の護衛役マリアナのキャラデザインイラストを公開致しました。
※1月11日の活動報告で第5巻の書影&イラスト2点を公開致しました。
※1月18日の活動報告でイラスト2点を公開致しました。
そして!
『コミカライズ』が遂にスタート致しました。
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1月18日発売2月号より連載が開始されました。
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枢機卿アンドレと、その息子マティアスが激しい口論をした翌日……
その影響で朝からマティアスは、父とは、ひと言も口をきかず……
王国神務省内にある、創世神教会本部へひとり出勤し、司教としての仕事を粛々とこなした。
……マティアスは、幼い頃から常に大きなプレッシャーと戦って来た。
プレッシャーとは、偉大過ぎる父アンドレの存在である。
何かにつけては、父と比較され続けて来たのだ。
アンドレは30代半ばの若さにして、早々と枢機卿になった。
その優れた才はブレヴァル家の始祖ローランにも匹敵すると、巷の人々からは噂された。
アンドレはブレヴァル家伝統の防御・治癒魔法に関して、魔法式を完璧にマスターし、上級魔法を自在に使いこなしたからだ。
またアンドレは身体を鍛える事も大好きで、武技、乗馬などにも長け、まさに古の円卓騎士を彷彿とさせた。
そんなアンドレが司教時代に結婚し、やがて男の子が生まれると……
人々は更に血の系譜に期待した。
円卓騎士の再来と謳われたアンドレならば、どんなに素晴らしい子が生まれたのかと。
マティアスと名付けられたその子は健康で元気に、すくすくと成長していった。
持つ魔力も、さすがにアンドレの幼少時には及ばぬものの、一般の子供に比べればずっと高めで、将来を嘱望されたものだった。
しかし……
マティアスの魔法使いとしての成長は、はかばかしくなかった。
魔力量がほぼ決まる15歳には、彼の将来はほぼ見えてしまっていた。
何とか、上級魔法使いにはなれる……くらいかと。
一般の家であれば、上級魔法使いになれるという素質は大歓迎されただろう。
だが、伝統ある円卓騎士ローランの末裔たる血筋。
加えて、ローランの再来と謳われるアンドレの息子としては、とても『期待外れ』と言われてしまったのだ。
幼い子供ながらに、マティアスはそんな巷の評判に耐えた。
何故ならば……
一番身近な存在である父アンドレが理解を示してくれたからだ。
ひとり息子のマティアスにとって、アンドレは良き父親であると同時に、良き兄でもあった。
悩むマティアスに対し、アンドレも自虐的に笑いながら、慰めてくれたのだ。
「始祖ローランと比べれば、到底及ばぬ器だ」
「風格、品格が全然足りない」
「枢機卿になるのは絶対に無理だ」等々。
子供の頃、自分も散々周囲から蔑まれたものだと。
マティアスはそんな父の優しさに守られ……
何とか前向きになる事が出来た。
魔力量は「そこそこ」で止まったが、魔法の才は地味ながら花開き、『上級魔法使いの端くれ』にはなれたのである。
そんなマティアスを支えてくれたのは、父だけではなかった。
今は亡き母ソレンヌも、いつも優しくマティアスを慰めてくれた。
ソレンヌが手当の甲斐なく病で世を去った時は、父と共に大泣きしたのを今もはっきり憶えている……
先代テンプル騎士団長の息子として生まれた、エクトル・ブルダリアスもマティアスを支えてくれたひとりといえよう。
マティアスとエクトルは同年の生まれで、すぐ仲良くなった。
仲良くなったのは、生まれた境遇も良く似ていたからである。
エクトルの父も史上最強のテンプル騎士と噂される逸材であり、息子は常に比較されていたのだ。
ふたりの少年は同じような境遇を嘆き、良く慰め合ったものだった。
時が過ぎ……
ふたりの少年は成長し、大人となった。
マティアスは父と同じく創世神教会に身を置き、上級幹部へ。
またエクトルも父の跡を継ぎ、テンプル騎士団の団長となったのである。
そんなマティアスとエクトルの友情はなおも続き、より強固なものとなった。
何故なら、枢機卿という職にしては、戦士のように豪放磊落な父アンドレ。
片や、真面目で繊細、どちらかといえば保守的なマティアス。
タイプが対照的な息子は、父から『叱咤激励』される事が多くなり、『忠告』を受け止めきれなくなっていたからだ。
昨夜の口論は、その典型たるものだった。
主とその息子である親友ふたりの人柄を知るエクトルは……
特に親友マティアスの気持ちを慮って、護衛するだけでなく、精神的にも様々な形で支えて来たのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
やや早い夕方……
マティアスは、今日の仕事を終わらせ、創世神教会本部を後にした。
彼が乗る馬車には、エクトルも同乗していた。
エクトルによれば、父は仕事を昼で切り上げ、自宅へ戻ったという。
最近、父アンドレは書斎に籠もる事が多くなった……
そうマティアスは思う。
たまに「そろそろ引退だな」と軽口を叩く事もある。
マティアスには分かる。
父は何か、生涯を懸けた研究をしているのだと。
しかし愛する妻と息子にも、けして内容を明かしてはくれなかった。
つらつら考えるマティアスの耳へ、エクトルの声が飛び込んで来る。
「マティアス様、例の店を用意しておきました」
「おお、そうか」
「はい! マティアス様がお好みの、ワインと簡単なつまみも……1時間、ごゆっくりしてください」
「ありがとう、エクトル」
「お安い御用です。私は店の傍で目立たぬよう見張っております」
『例の店』というのは……
エクトルの提案で手配された店だ。
中央広場のはずれに、テンプル騎士団の騎士が引退してひとりで営む、カウンターだけの小さな居酒屋があった。
その居酒屋の定休日に、決められた1時間だけ貸し切りを頼んだのである。
老齢の店主は冷えたワインを用意し、数種のつまみを作り置きしておく。
その後、店主は店を出て鍵をかけ、無人の状態にする。
そこへ、合鍵を持ったマティアスが開錠して入り、ひとりきりでぼうっとする。
と、いう段取りだ。
大きすぎる父、醒めた目を向ける妻、生意気な娘達、口うるさく蔑む周囲の者達……
ストレスまみれのマティアスにとって、この店での1時間はリフレッシュする貴重なひと時。
エクトルには感謝してもしきれない。
いつものように馬車を目立たぬ場所へ停め……
馬車を降りたマティアスは、店内に入った。
エクトルは、すぐ傍の路地で目立たぬように見張っている筈である。
店内はいつもの通りであった。
好みの銘柄である白ワインのボトルと、大好きな卵料理を含め、いくつかの料理がカウンター上に置いてある。
マティアスは、カウンターに備えられた椅子に座り、グラスにワインをついだ。
そして一気に飲み干すと、大きなため息をついたのであった。
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