第1,072話 「息抜き⑱」
愛読者の皆様!
特報です!
『魔法女子学園の助っ人教師』
『第5巻』の発売が決定致しました!
皆様の多大なる応援のお陰です!
本当に、本当にありがとうございます!
発売日は来月1月25日発売予定となりました。
既に予約が開始されております。
ぜひ皆様、予約をお願い致します。
◎そして!
この度『コミカライズ』が決定致しました。
宜しければ、11月12日付けの活動報告をご覧下さいませ。
既刊第1巻~4巻が発売中です。
店頭でぜひ、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に4巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
皆様の応援が、次の第6巻以降の『続刊』につながります。
何卒宜しくお願い致します。
お互いに心の内を遠慮なく話し合い……
すっかり打ち解けたジョルジュ、ジョナサン、リベルトは年齢差など関係なくいろいろな話に花を咲かせた。
しかし……いきなり、空腹を報せるようにリベルトの腹が鳴った。
今回の参加者の中では、自分が一番気を遣わないといけないと考えていたらしい。
もう男子会が始まって、結構な時間が経つというのに……
リベルトは、男子会の雑務をフォローしてくれていたらしく、食事をろくに摂っていなかったようなのだ。
状況を察し、気を利かせたジョナサンが、「さっ」と手を挙げる。
「リベルトさん! 料理、適当で良いですか? 僕、取って来ます」
若者らしい爽やかな物言いだが、ジョナサンは伯爵の息子である。
貴族が、平民の為に『パシリ』をする……
普段なら……絶対にありえない出来事だ。
むしろ真逆である。
「あ、ああ、ジョナサン様! そんな! 駄目ですよ! 俺なんかに気を遣っては」
恐縮して止めようとするリベルト。
しかしジョナサンは既に、料理を並べたテーブルへと向っていた。
続いて、ジョルジュも大きく手を横に振って、
「構わないですよ、リベルトさん。じゃあ、俺は飲み物を取って来ます。キンキンに冷えたエールとワインを」
間を置かず、ジョルジュとジョナサンは手分けして、料理と飲み物を取って来た。
「さあ、遠慮しないで」
「どんどん食べて下さい」
ジョルジュとジョナサンに促され、目の前に並ぶ料理と飲み物を見て……
リベルトはとても嬉しそうだ。
兄貴と慕う鋼商会の弟分から受けるのとはまた違う……
新たな喜びを感じているに違いない。
「う、美味い! たまらんっ!」
美味そうに料理をパクつくリベルトの脇でジョルジュ達も冷えたエールを喉に流し込む。
ジョルジュは今、とても気分が良い。
ルウの言う通り、まさに『息抜き』なのである。
最近バタバタしていたから、爽快感が半端ない。
この雰囲気なら、『男子会』は大成功だろう。
ジョルジュは改めて感じる。
ルウの発案は素晴らしいと。
会場の雰囲気は和やかで、皆、親しそうに話していた。
ジョルジュ自身、今回の参加メンバーは初対面やそれに近い者ばかりなのに、気兼ねなく話せたから。
と、その時。
「お~い!」
「ジョナサ~ン」
ジョナサンへ向かって声を張り上げているのは……
ジェローム・カルパンティエとフェルナン・カントルーヴである。
傍らにはふたりと話が終わったらしいマルコも居た。
武骨で上から目線の騎士は苦手……
思わずそう感じ、視線をそらすように顔を伏せたジョルジュの肩に、ポンと誰かが手を置いた。
ハッとしたジョルジュが見れば……
手を置いていたのはジョナサンであった。
優しく微笑んでいる。
ジョルジュは自分の『思い』を告げてはいなかったが……
気心が知れた友として、ジョナサンは察してくれたらしい。
「ジョ、ジョナサン……」
思わず親友の名を呼ぶジュルジュヘ、ジョナサンは言う。
「ジョルジュ! 僕に任せろ!」
「あ、あれ? 何、その言い方?」
ジョナサンの物言いは、まるで兄ルウのようである。
つい苦笑するジョルジュの傍らで、ジョナサンは更に大声を張り上げる。
「ジェローム様ぁ! フェルナン様ぁ! マルコさぁん!」
「「「おう!」」
ジョナサンの大声に応え、呼ばれた3人は笑顔で短く返事を戻したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……ジョルジュの心配は全くの杞憂であった。
ジェロームもフェルナンも、とても気さくに接してくれたのだ。
ふたりとも、巷で良く見かける騎士特有の傲慢さが全くない。
屈託のない笑顔を向けられ、ジョルジュの気持ちもどんどん解れていった。
ふたりとは顔馴染である、ジョナサンのアテンドも大きかった。
ジョルジュの事を親友だと言い切ってくれ、ふたりと話しやすいよう、上手く話題を向けてくれたのだ。
感謝したジョルジュは、小声で礼を言う。
「ジョナサン、ありがとう」
「お安い御用さ、任せろって、言っただろう?」
対してジョナサンも胸を軽く叩き、悪戯っぽく笑った。
また新たなサプライズも待っていた。
顔と名前を知るくらいの間柄である、フェルナンが……
ジョルジュへ、いきなり深く頭を下げたのだ。
これには……
その場に居た全員が吃驚してしまった。
「ジョルジュ、君の兄上には本当にお世話になった。良い機会だから君にも礼を言いたい」
「そ、そんな!」
突然ともいえる、フェルナンの謝辞。
ジョルジュはとても恐縮してしまった。
自分が直接、フェルナンに尽くしたわけでもないからだ。
「何から何まで世話になった。こうして俺とタチアナが無事で、双方の実家も含め、全て幸せになれたのはルウのお陰だ」
「…………」
ジョルジュは改めて分かった。
このフェルナンも同じ……
自分やジョナサン、リベルトと同じくルウに人生の危機を救って貰ったのだ。
「おいおい! 俺も少しは協力したよな?」
ここで軽く突っ込みをしたのは、ジェロームであった。
「はい! 寄り親となって頂いたカルパンティエ家のジェローム様には深く感謝しておりますっ!」
「おし! とは言ってもなぁ……俺もルウの指示で動いたから」
苦笑するジェローム。
そしてフェルナンはなおも言う。
「俺が婿養子で入ったカントルーヴ子爵家だが……従来の商会が取り引き停止を申し入れていた。没落寸前の子爵家などに巻き込まれたらたまらんという事だろう。長年の付き合いなのに、冷たい奴らさ」
フェルナンの婿入り先は……
そんな窮地に陥っていたのか……
当然ながら、ジョルジュは全く知らなかった。
「だが……ジェローム様とルウの多大な援助もあり、我がカントルーヴ家は立ち直る。俺も当然頑張る!」
きっぱりと言い放ったフェルナンは、まっすぐジョルジュを見据える。
「これからの……新たな取り引き先として……義理の父、そしてタチアナとも相談し、キングスレー、それとブシェの両商会を新たに決定した」
「え? ブシェ商会も?」
「ああ、そうだ。実は……ここに居るマルコと、ブシェ商会のアルマン会頭にはいろいろ親身に相談に乗って貰った。特にカントルーヴ家の財政面でね」
「そう……だったんですか」
「ああ! ジョルジュ君の身内には俺、世話になりっぱなしなのさ」
「…………」
「ジョルジュ君がもし商人になるのなら、これから俺は大いに世話になる。いや、商人にならなくても……君は、とても気持ちの良い優しい男だとルウから聞いた」
「お、俺がですか!」
ルウが?
自分をそこまで、フェルナンへ推してくれた?
「ああ! これも何かの縁だ! 良かったら俺と……友人になってくれないか! 宜しく頼む!」
驚くジョルジュに、フェルナンは思いっきり手を差し出す。
どうやら、握手を求めているらしい。
多分、了解の答えも欲しいのだろう。
「は、はい! こちらこそ! 喜んで!」
無論、文句なんかない。
ジョルジュはOKし、フェルナンのごつい手を握った。
片や、フェルナンも容赦なくジョルジュの手を握って来る。
とんでもなく強い力で。
だが……
大きな喜びと共に、ルウへの感謝を込め……
ジョルジュも負けじと力を込め、フェルナンの手を握り返したのであった。
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