第1,071話 「息抜き⑰」
愛読者の皆様!
特報です!
『魔法女子学園の助っ人教師』
『第5巻』の発売が決定致しました!
皆様の多大なる応援のお陰です!
本当に、本当にありがとうございます!
発売日等、詳細は未定です。
◎そして!
この度『コミカライズ』が決定致しました。
宜しければ、11月12日付けの活動報告をご覧下さいませ。
既刊第1巻~4巻が発売中です。
店頭でぜひ、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に4巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
皆様の応援が、次の第6巻以降の『続刊』につながります。
何卒宜しくお願い致します。
……鋼商会の会頭リベルトは、ルウと出会った際のいきさつを話すと大きく息を吐いた。
一方的に懲らしめられたリベルトにとっては、超が付く黒歴史の筈なのだが……
最早、完全に吹っ切れているらしい。
浮かない表情どころか、ルウとの出会いを喜ぶ晴れやかな笑顔であった。
「そ、そんな事があったのですね?」
「凄いや、ルウさん……相変わらずだ」
先ほどより、もう少しだけ詳しく……
ルウとのかかわりを話したリベルトの『告白』を聞き……
ジョルジュはとても驚き、ジョナサンは大いに感嘆していた。
向かうところ敵なしだった愚連隊、リベルトが率いる鉄刃団を、ルウはたったひとりで一蹴したという。
また現在は、ドゥメール伯爵邸で使用人をしているマルグリット・アルトナーとの件はとんでもない悪行だと思うが……彼女自身は、もうすっかり元気になり、リベルト達の罪を快く許してくれたという。
しかし、今でもリベルトは自らの行いを深く反省しているようだ。
「はい……お恥ずかしい限りですが……」
ジョルジュ達の反応を見て聞いて、頬をやや紅潮させたリベルトは苦笑し、更に言う。
「あの頃の俺は……馬鹿だった。拳で全て、カタをつける……なんて……変にいきがって、強がって……今、考えると、もう赤面ものですね、ははは。すげ~ダサくて……もしここに穴があれば、今すぐ入って隠れたいくらいです」
「…………」
「…………」
「でも、そんな思い上がった俺の鼻っ柱を、ルウ様には容赦なくへし折られました」
「…………」
「…………」
「マルグリットさんを騙して高利の借金をさせ、心労から病に追い込み……彼女はもう少しで死ぬところだった……普通なら、俺達全員ぶっ殺されても不思議じゃない……分かるでしょう? ルウ様にはそれをやっておかしくない凄みがありますぜ」
「…………」
「…………」
「だけど……ルウ様は全て許してくれた……俺達の気持ちが良く分かると仰って」
「…………」
「…………」
「あの人は強いだけじゃない。とても面倒見が良い。ホント、良過ぎるくらい良いのです」
「…………」
「…………」
「ルーレット勝負に勝った金をあっさり返してくれただけじゃなく、鋼商会を作る算段……いえ、全てのおぜん立てをしてくれたんです。一から十まで……その上、すげぇ、相談役までつけてくれた」
「…………」
「…………」
「結果……鋼商会が出来て、俺達は変わった! 心身ともに変わる事が出来たんです!」
「…………」
「…………」
「愚連隊、鉄刃団の頃は恨み恨まれ、他人には蛇蝎の如く嫌われる人生でしたが……」
「…………」
「…………」
「今や、道行く人が大きな声で、子供から年寄りまで笑顔で俺達へ挨拶してくれる。いつもありがとうって喜んでくれる! それがたまらなく嬉しいんです」
「…………」
「…………」
「……俺達の未来は輝いてる……それに今度、新しい仕事を請け負うんですよ! またも大きな道が開けて行く!」
「…………」
「…………」
「人生の先が! すげぇ楽しみなんです! 仲間も一緒に幸せにすることが出来て、孤児の俺を拾ってくれた鉄刃団先代の恩にも報いる事が出来たと思ってます」
「…………」
「…………」
完全にカミングアウトした、リベルトの表情は歓喜に溢れていた。
ずっと黙って聞いていたジョルジュとジョナサンであったが、もう我慢出来なかった。
何故ならば、リベルトに自分を重ね、大きな共感を持ったから。
リベルトとケースは違うが、ジョルジュ達も根幹は同じなのだ。
運もなかった。
自身も努力せず、至らなかった。
やる気も出ず、変に拗ねて……閉塞感しかなかった人生を、陥った危機を……
ルウの思い遣りのあるサポートによって、跳ね返し、打ち砕く事が出来た。
……今や、新たな道が開け……
将来に対する不安はありながらも、それ以上の期待と希望、意気込みがあるのだから。
「リベルトさん、俺達もですよ!」
「そう! ジョルジュの言う通り、僕達リベルトさんと一緒です!」
ジョルジュとジョナサンは、口々に叫ぶと……
改めて、ルウと自分とのかかわり、起こった出来事を語ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ジョルジュとジョナサンの話を聞いたリベルトは……
笑顔でごつい手を伸ばして来た。
「ぜひ! ジョルジュ達と握手をしたい!」という気持ちなのだとすぐ分かった。
拒む理由などない。
ジョルジュ達も手を差し出した。
がっちり握手する。
握手に応えてくれて嬉しいのだろう。
リベルトは満面の笑みを浮かべていた。
「こう言うのは凄く畏れ多いですが……ジョルジュ様、ジョナサン様、俺達はもう同志でさぁ!」
リベルトの言葉を聞き、ジョルジュ達の心も踊る。
「同志!」
「良い響きですね!」
同志とは……
「心に同じ志を持ち、手を取り合い、歩むものだ」
と、リベルトは言うのだ。
「何かあったら、お互いに助け合って行きましょう! 色々な出会いをして来た俺には分かります。おふたりとは俺と同じ気持ちを、強い絆を感じます。これからずっと長きに亘る人生の大事な仲間になるってね」
リベルトは握手以外に、鋼商会で良く行うという『儀式』を教えてくれた。
「ジョルジュ様、ジョナサン様、拳を交わしましょうや」
「え? 拳を交わす?」
「もしや! な、殴り合うのですか? お互いに分かり合う為とか? どこかの小説のように?」
一瞬驚いたジョルジュ達であったが……
リベルトは首を振り、見本を見せてくれた。
「いえいえ、違いますよ」
こつん……
言われた通りに突き出したジョルジュの拳に、ジョナサンの拳に……
ゆっくり突き出されたリベルトの拳が、それぞれ軽く合わされた。
リベルトの拳から一瞬、僅かな温もりが自分の拳に伝わり……
ジョルジュ達は、何故か心も温まった。
行われた『儀式』の説明をリベルトはしてくれる。
「これはフィストバンプという挨拶ですよ。凄くシンプルですけど……お互いの心が通う……俺はそう思ってます」
「フィストバンプ」
「気持ちが通う……」
呟いたジョルジュとジョナサンは……
顔を見合わせると、今度は自分達から拳をゆっくりと突き出した。
こうして、3人の拳が交差された……
ジョナサンとリベルトの拳から伝わってくる温かさを感じながら……
ジョルジュは新たに得た『出会い』に、大きく心を震わせていたのであった。
東導 号作品、愛読者の皆様へ!
別作品も宜しくお願い致します。
☆『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』
https://ncode.syosetu.com/n4411ea/
謎の死を遂げた青年ケンは、異世界の辺境村へ少年として転生。数奇な運命に翻弄され、苦難の末に幸せをつかんだケンは、愛する家族を守ろうと奮闘する。
『亡国の王女編』連載開始しました。
※12月5日第6話更新しております。
※第7話は12月9日更新予定です。
☆『隠れ勇者と押しかけエルフ』
https://ncode.syosetu.com/n2876dv/
怖ろしい悪魔王に父と一族全員を殺されたダークエルフの姫エリン。穢されそうになったエリンを圧倒的な力で助けたのは謎の魔法使いダン。異世界から召喚された隠れ勇者と呪われたダークエルフ美少女の恋物語が始まる。
※12月6日第164話更新しております。
※第164話は12月9日更新予定です。
各作品を、ぜひぜひお楽しみ下さい。
応援宜しくお願い致します!




