第1,070話 「息抜き⑯」
愛読者の皆様!
特報です!
『魔法女子学園の助っ人教師』
『第5巻』の発売が決定致しました!
皆様の多大なる応援のお陰です!
本当に、本当にありがとうございます!
発売日等、詳細は未定です。
◎そして!
この度『コミカライズ』が決定致しました。
宜しければ、11月12日付けの活動報告をご覧下さいませ。
既刊第1巻~4巻が発売中です。
店頭でぜひ、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に4巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
皆様の応援が、次の第6巻以降の『続刊』につながります。
何卒宜しくお願い致します。
「お~い、マルコ! ちょっと良いか? 相談があるんだ」
「ああ、ぜひお前の知恵を借りたい!」
ジョルジュが声のした方を見やれば、逞しい騎士ふたりがマルコを呼んでいた。
英雄亭名物である冒険者料理を、先ほどまでガンガン食べていたジェロームとフェルナンである。
ジェロームのカルパンティエ家も、フェルナンのカントルーヴ家も、キングスレー商会にとっては新規の顧客となる。
取り引きを始めてから、まだ日が浅い筈だ。
しかしマルコの気さくな人柄故、一気に親しくなったのだろう。
その証拠に、ジェロームもフェルナンふたりとも屈託のない笑顔で、手招きをしていたのである。
当然、マルコも同じく笑顔となり、大きな声で返事をし……
「ちょっと行って来ます」
今迄話していたジョルジュ達の方へ手を挙げ、暫し外す事を告げると、ジェローム達の方へ歩いて行った。
その場に残ったのは、鋼商会会頭のリベルトである。
ジョルジュは、マルコ同様、リベルトともじっくり話したかった。
ちらっと見やれば、ジョナサンもリベルトには興味がありそうだ。
そもそもジョルジュ達が、リベルトと話したいのは、普段接点がなく話し難いというだけではない。
また彼の『前職』を聞いたからでもない。
他に理由があった。
最近……
王都の治安がとても良くなり、犯罪が減ったという事をジョルジュは良く聞く。
そして、他人にはほぼ無関心だった王都市民が……
特に年配者や女性、子供が街中で難儀した時、手助けをしてくれる者が増えたとも感じる。
一体、何故なのか?
それはリベルト率いる鋼商会の影響だという噂が、王都市民の間で立っていたのだ。
彼等が率先して行う年配者、女性、子供への親切は勿論、他にも街の自主警備、清掃、喧嘩の仲裁など……
『他者への思いやり』を見て、心なごんだ市民が「自分もやろう!」と刺激されるらしい。
そんな鋼商会の噂を聞き、ジョルジュは大いに興味を持ったのだ。
事前にルウから、リベルトの出自と経歴は聞いていた。
かつては、凶悪な愚連隊の頭だったと。
しかし、目の前のリベルトは顔付きこそいかついものの、穏やかな表情である。
マルコと話していた時も、ずっと笑顔であった。
ジョルジュは思い切って、話し掛けた。
「リベルトさん」
「何でしょう、ジョルジュ様」
「ええっと……俺とジョナサン両名、貴方とは少しお話がしたいのですが」
「はい、俺で宜しければ……」
相変わらず笑顔で答えるリベルトへ、ジョルジュはルウから命じられた通りに伝える。
「兄上からも、ぜひリベルトさんと良く話しておけと言われました」
「え? 兄上って、ルウ様から? 俺と良く話しておけ? ははは、何だか後が怖いですね……」
苦笑するリベルトへ、ジョルジュは一番気になっていた事を聞く。
ケヴィンを見習い、単刀直入に。
「あの……リベルトさんは、兄上とはどのようなきっかけで知り合ったのですか?」
「ああ、ジョルジュ様が聞いていらっしゃらないという事は……俺から話せという、ルウ様のお考えですね」
頷いたリベルトは納得し、ゆっくりと話し始めた。
ジョルジュとジョナサンが聞けば、最初から吃驚した。
何と!
……リベルトは孤児。
それも捨て子であった。
育った孤児院をトラブルを起こして飛び出た後……
ひとりきりで生きて来た事。
生きる為には、犯罪すれすれの生活だった事。
愚連隊鉄刃団の先代に拾われた事。
その先代が殺され、跡を継いでいた事をかいつまんで話したのだ。
「…………」
「…………」
ジョルジュとジョナサンは、リベルトの送って来た凄絶な人生に大きな衝撃を受けた。
そして自分達が愛する両親の庇護を受け、貴族として、いかに幸せに暮らして来たか実感したのである。
「ルウ様と出会う前は……他の愚連隊と縄張りを争い、切った張ったの日々でした。まあ殺しとヤクはやりませんでしたがね」
「…………」
「…………」
「かといって、強きを挫き弱きを助けるという真っ当な男でもなかった。……まあ、ルウ様に出会わなければ、今頃は先代みたいに殺されていたかもしれません」
「…………」
「…………」
「そういえば……ルウ様からお聞きしました」
「兄上から?」
「はい! マルグリット・アルトナーさんは今、ジョルジュ様のお宅にいらっしゃると」
どうして?
リベルトはいきなり、ドゥメール伯爵家の使用人の事など聞くのだろう?
ジョルジュは不思議に思ったが、リベルトの質問に答えてやった。
「は、はい! 兄上の使用人をしていましたけど……俺の母が気に入ったらしく、現在はウチで仕事をしてくれています」
「そうですか……マルグリットさん……幸せに暮らしていらっしゃいますかね?」
「ええ、母とは意気投合して、魔法使い同士仲良く魔法談義をしています。俺がたまに帰ると、とても優しくしてくれて、まるで実の祖母のようですよ。時たまバルバさんの魔道具屋でも働いていますし、凄く元気です」
「良かった!」
リベルトは破顔し、大きく息を吐いた。
「ジョルジュ様はご存知かもしれませんが……俺はあの方を破滅に追い込もうとしたのです」
「え? 本当に?」
あの優しいマルグリットを?
この優しそうなリベルトが破滅に追い込む?
ジョルジュには到底信じられなかった。
ドゥメール邸へ遊びに行き、マルグリットと会ったジョナサンも同じく?マークを飛ばしている。
「そのおふたりのご様子だと……本当に、ルウ様は何もお話しされていないみたいだ。分かりました……ルウ様と俺の出会いをもう少し詳しくお話ししましょう」
リベルトはもう一回大きく息を吐くと、遠い目をして、再び語り始めたのであった。
東導 号作品、愛読者の皆様へ!
別作品も宜しくお願い致します。
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