第1,068話 「息抜き⑭」
愛読者の皆様!
特報です!
『魔法女子学園の助っ人教師』
『第5巻』の発売が決定致しました!
皆様の多大なる応援のお陰です!
本当に、本当にありがとうございます!
発売日等、詳細は未定です。
◎そして!
この度『コミカライズ』が決定致しました。
宜しければ、11月12日付けの活動報告をご覧下さいませ。
既刊第1巻~4巻が発売中です。
店頭でぜひ、お手に取ってくだされば嬉しいです。
既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
この機会に4巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。
皆様の応援が、次の『続刊』につながります。
何卒宜しくお願い致します。
大好きな楓村の素朴な雰囲気を壊さず、いかにして経済的に発展させるか?
という命題に対し、いろいろなアイディアが出ては消え、また出て来る……
ジョナサンとケヴィンふたりの話は、ますます白熱していた。
先ほど、ケヴィンが告げた言葉。
限られた時間内でいくつか話をする際、彼が決めている方針。
それは話す内容の優先順位をつける事。
つまり一番大事な案件を効率的にクリア、続いて優先順に話をし、最後に雑談レベルのとりとめのない話をする。
だが、そんな宣言はもうとっくに、遥か遠くどこかへ飛んで行ってしまったらしい。
と、その時。
「ケヴィン様」
と声を掛けたのはルウであった。
「おう、何だい、ルウ君」
ルウの呼びかけを聞いたケヴィンは、打てば響くように返事をし、すぐ不満そうな顔付きをする。
「というか、君にも以前から、様は要らないと言っているだろう?」
だがルウは、ケヴィンの不満など華麗にスルー。
しれっと、申し入れをする。
「実はですね、この前見つけた、ガルドルド帝国の遺跡の件でご相談が……」
「おお! それはぜひ聞きたい」
ルウからの頼みに対し、案の定というか、ケヴィンの喰い付きはものすごい。
今迄話していたジョナサンに一礼し、すぐルウに向き直った。
たちまち、ルウとケヴィンは考古学談義に花が咲く。
……元々ケヴィンはルウと『こういった話』がしたかった。
その為に故郷バートランドを出て、王都へ引っ越して来たから無理もない。
まるで少年のように、目を輝かせながら話すケヴィンを見て……
ジョルジュとジョナサンは呆気にとられていた。
そのジョルジュがふと気が付けば……
何故か、ルウがケヴィンと話したまま……
こちらへ顔を向けず手だけを振っている。
以前のジョルジュならいざ知らず、今ならルウの指示がすぐ分かる。
そう、ルウはふたりをケヴィンから『解放』してくれたのだ。
そしてルウの指先は、ある方向を向いていた。
指さした先には…マルコとリカルドの姿がある。
改めてジョルジュは認識した。
男子会の時間は限られている。
だからルウは「次にマルコ達と話せ」そう、告げていると。
ルウの意図を理解すれば、ジョルジュの行動は早い。
「ケヴィン兄、失礼します」
「ケヴィンさん、失礼します」
「おお、また後でな」
振りむいたケヴィンはにっこり笑った。
ジョルジュ達が外すと分かっても、機嫌はすこぶる良いらしい。
こうして、ジョルジュとジョナサンはその場を問題なく離れる事が出来たのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「改めまして、マルコ・フォンティです」
「同じくリベルト・アルディーニです」
「ジョルジュ・ドゥメールです」
「ジョナサン・ライアンです」
会場準備の際、お互い紹介し軽く話したが、再び4人はお互いに名乗った。
但し、ドゥメール伯爵家の息子ジョルジュは、マルコとは旧知の仲である。
ドゥメール本家、つまりエドモンと懇意にしていた事から、キングスレー商会王都支部はドゥメール伯爵家の御用達だった。
子供の頃から最近まで、ジョルジュはわがままで高慢だった。
マルコも散々振り回された記憶がある。
しかしジョルジュは完全に変わったと感じる。
ルウに出会ってからは。
実際、現在のジョルジュは、誰にでも礼儀正しい。
身分をかさに威張ったりしない。
そしてマルコが見る限り、ジョナサンも好青年だ。
礼儀正しく、言葉遣いも丁寧である。
しかしルウからは、ジョナサンもジョルジュと同じような振る舞いが多かったと聞いていた。
もしそうであれば、目の前のふたりは本当に変わった。
心底そう思う。
一方、ジョルジュとジョナサンから見て、マルコとリカルドは大変仲が良い。
単なる仕事上の付き合いから始まって、日がまだ浅いというが……
「ええっと……おふたりはどうしてそこまで?」
「凄く仲が良いですよね?」
不思議に感じた、ジョルジュとジョナサンが思わず聞けば、マルコとリカルドは顔を見合わせて笑った。
「はい! ルウ様に助けて頂いた不器用者同士、気が合いまして」
「ええ、マルコさんの仰る通りですね」
不器用?
このふたりが?
「不器用同士?」
「ルウさんに助けて貰ったって、どういう事ですか?」
またジョルジュ達は、つい聞いてしまった。
何故ならば、不可解だから。
マルコは説明が不要なくらい、王国でも指折りの一流商会で活躍するバリバリの商人。
リカルドだって、警備を中心とした鋼商会の仕事振りは、王都市民の深い信頼を得ている。
現に、ジョルジュやジョナサンも鋼商会の噂は耳にする。
大抵が喧嘩の仲裁を上手く取りまとめて仲直りさせたとか、具合が悪くなった病人を創世神教会へ運んだとか、女子が不埒者に絡まれたのを助けたという、素敵な噂ばかりであった。
それにルウがふたりを助けた?
もしや、自分達と同じ?
しかしマルコは笑顔ながらも、ジョルジュ達の質問には答えてくれなかった。
「まあ、それはおいおいと。それよりジョルジュ様、敢えて申し上げておきます」
「敢えてって? な、何でしょうか? マルコさん」
何か、マルコから話がある?
心当たりはない……
一体何だろうと、ジョルジュは緊張した。
「実は、先ほどのケヴィン様のお話が聞こえまして……」
「???」
ケヴィンの話?
ますます、ジョルジュには分からない……
「念の為に申し上げますと……当商会が、ドゥメール伯爵家様と深い取り引きがあるからなのは勿論ですが……」
「…………」
「ここは素直に、正直に心の内を申し上げます! 私は、ジョルジュ様を応援致します。本当に私個人としての気持ちです」
「お、応援? マルコさん個人の?」
「はい! 私個人として!」
「…………」
マルコが、個人的にもジョルジュを応援してくれる?
一体、何故?
ジョルジュが悩む中、マルコの話は進んで行く……
「将来へ大きな夢を持って、ひたむきに邁進されるジョルジュ様は素晴らしいと、マルコは思います」
「え?」
「だから、当商会へは遠慮などせず、どんどんいらして下さい。ケヴィン様のご都合の悪い時は、当商会で魔法鑑定士の訓練を思う存分なさって下さいね」
「…………」
先ほどの話をマルコは聞いていた。
……キングスレー商会の事情に気兼ねせず、どんどん来て欲しい。
そう言ってくれたのだ。
ジョルジュは嬉しくて胸が「じん!」とする。
しかし!
更にジョルジュが吃驚する事を、マルコは言う。
「それに、ブシェ商会のアルマン会頭様からも……頭を下げられております」
「え!?」
「息子を、ジョルジュを頼む! まだ未定だが、もし商人になったら……存分に鍛えてくれとお願いされておりますよ」
「…………」
もう駄目だ……言葉が出ない。
ジョルジュは嬉し過ぎて、大声で泣きたい気分であった。
「他人の私がこう申し上げるのは、誠に失礼かもしれませんが……アルマン会頭は本当に良きお父様ですね」
「…………あ、あ、あ、ありがとうございますっ!」
マルコは、ジョルジュの気持ちを分かってくれた。
感動して言葉が出ない自分に代わり、父の素晴らしさを告げてくれた。
大きく息を吐いた後……
絞り出すような声で、ジョルジュは何とか礼を言う事が出来たのであった。
東導 号作品、愛読者の皆様へ!
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