第1,063話 「息抜き⑨」
愛読者の皆様!
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『魔法女子学園の助っ人教師』
『第5巻』の発売が決定致しました!
皆様の多大なる応援のお陰です!
本当に、本当にありがとうございます!
発売日等、詳細は未定です。
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店頭でぜひお手に取ってくだされば嬉しいです。
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皆様の応援が、次の『続刊』につながります。
何卒宜しくお願い致します。
「ち、父上!」
驚いて、目を瞠るジョルジュへ対し、アルマンは優しく微笑む。
婚約者となった愛娘のアンナを、とても大事にしてくれるのは勿論だが……
既に実父を亡くしたジョルジュが、アンナの父親である自分を、とても慕ってくれる。
心の底から、親としての喜びを感じるから。
アルマンは、自分が『父』と呼ばれる度……
『息子』ジョルジュとの距離がどんどん縮まり、心の絆が固く結ばれる気がするのだ。
そんな喜びを表には出さず、密かに噛み締めながら、アルマンは言う。
「おお、ジョルジュ。頑張っているようだな?」
しかし、ジョルジュはまだ戸惑っている。
英雄亭に突如、アルマンが現れた理由が分からない。
「父上! ど、どうして、ここへ?」
もしかして、父が男子会へ参加?
兄上の計画した『シークレットイベント』って、この事かだろうと、ジョルジュは思った。
そんなジョルジュへ、アルマンは笑顔で答えを戻して来た。
「ああ、ルウさんに声をかけて貰ってな。納品なんだよ」
「の、納品?」
納品?
何だ、納品って?
じゃあ、男子会の参加で、英雄亭へ来たのではない?
「おお、ジョルジュ、喜べ。ルウさんから、ブシェ商会に発注があった。結構な数の商品をお買い上げ頂いたぞ」
「え? しょ、商品って? 何をですか? それって、どうしてそんな事に?」
ジョルジュには、父の言う意味が分からない。
頭の上には、?マークが盛大に飛び交っていた。
混乱するジョルジュへ、アルマンは「しれっ」と笑う。
「ははは、それは全て、後のお楽しみだ。なあマルコさん」
「はい! アルマン会頭。我がキングスレー商会も同じく、ルウ様に商品をお買い上げ頂きました。当然、何なのかは秘密です」
「そうそう、絶対に秘密だな、マルコさん、ははははは」
アルマンとマルコのフレンドリーな掛け合いを聞き、ジョルジュは、更に混乱してしまう。
確か『父』とマルコは、普段は商売上の付き合いもなく、単に顔見知り程度である。
同じ『商人仲間』とはいえ、そんなに、親しくなかった筈だから。
しかしジョルジュの認識に反し、アルマンとマルコはすっかり打ち解けているらしい。
「そういえば、マルコさん。いつもウチの息子が鑑定魔法の訓練では、そちらにはお世話になっているそうで……感謝します。本当にありがとう!」
「いえいえ、こちらこそ。これから会頭には、とてもお世話になるでしょう。どうか宜しくお願い致します」
「いや、マルコさん、それはこちらのセリフですぞ、ははははは!」
ふたりの会話を聞きながら、ジョルジュはハッとした。
これもルウの『仕業』だと理解したのだ。
おそらく、何か『共通の仕事』を発注し、アルマンとマルコの繋がりを作ったのだろう。
そうと分かれば……
ジョルジュは嬉しくなる。
顔が、自然にほころんでしまう。
笑顔のジョルジュへ、アルマンは言う。
「ジョルジュ、いつもお前には言っているが、やはり、人と人の繋がりなんだよ、ひとりでは生きていけないぞ」
「は、はい、父上! 俺も凄く、そう思います!」
「そうか! 分かったようだな。うんうん……」
笑顔で頷くアルマンであったが、一転、表情が真剣になる。
「ところで……ルウさんから、お前の気持ちは改めて聞いた」
「え? 父上!?」
ルウが伝えていた?
ジョルジュが貴族の地位を捨て、ブシェ商会を、継ぐ気持ちがある事を。
「ふふ……私はとても嬉しい! 涙が出るくらいにな……」
「…………」
アルマンの目が潤み、少し赤くなっていた。
どうやら……心の底から喜んでいるようだ。
ジョルジュもアルマンの言葉を聞いて、更に嬉しくなり、涙が出そうになった。
上手く、言葉が戻せない。
そんなジョルジュへ、アルマンは慈愛の眼差しを向けて来る。
「だが、ジョルジュ。私はな、お前の母上の気持ちを大事にしたい」
「え? 母上の?」
「ああ、お前は、ドゥメール伯爵家の大事な跡取り息子だ。私が簡単にOKして良い話ではない」
「父上……」
「我が商会にとっては、大恩あるドゥメール伯爵が……息子のお前を慈しみ、ここまで立派に育て上げた気持ちを……尊重したいのだ」
「…………」
「だから、しっかりお前の意思を、伯爵へ伝えると良い。そして、伯爵がどう受け止めれられたのか、私へ聞かせて欲しい……その上で、お前の気持ちを受けるか決めよう」
「…………」
ジョルジュの身体が、震えている。
彼も、アルマンと心の絆が深まったのを、はっきり感じたのだ。
「さて! 本当は私も、お前の準備した男子会に参加したい。だが、仕事が山積みでな」
「…………」
「だから……今度、妻とアンナには内緒でな……あ、出来ればドゥメール伯爵にも内緒にして欲しい」
「???」
アルマンの妻つまり『母』と、アンナには内緒?
更に母にも内緒?
父は一体、何を言おうとしているのだろう?
ジョルジュは首を傾げたが、アルマンはにっこり笑う。
「私とお前、『男ふたりだけ』で息抜きをしよう。私の知っている、良い店があるのだ」
父とふたりだけで息抜き!?
良い店!?
もしや!
アルマンの話は、全く想定外の『提案』であった。
だが、ジョルジュにはとんでもないイメージが、頭に浮かんで来る。
「え? 父上! い、息抜きって!? ま、まさか!」
しかしアルマンは、苦笑して手を横に振った。
「おいおい! 念の為言っておくが、妻やアンナにばれても、怒られるような店ではない。そこで……美味い飯でも男ふたりで食おう、楽しくな!」
「は、はいっ! 納品を手伝います、父上!」
一瞬、吃驚したが……
『父からの温かい言葉』を聞き、嬉しくなったジョルジュは……
大きな声で返事をすると、思いっきり腕まくりをしたのであった。
東導 号作品、愛読者の皆様へ!
別作品も宜しくお願い致します。
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本日11月9日、更新しております。
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