第1,060話 「息抜き⑥」
愛読者の皆様!
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『魔法女子学園の助っ人教師』第5巻の発売が決定致しました!
皆様の多大なる応援のお陰です!
本当に、本当にありがとうございます!
発売日等、詳細は未定です。
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何卒宜しくお願い致します。
ルウと話した週末の土曜日……
結局、『男子会』はその次の週の、土曜日昼となった。
ジョナサンと話した数日後に……
ジョルジュの住む魔法男子学園学生寮の机上には、ルウからの手紙が置いてあったのだ。
その手紙には……
『男子会』の概要が、ほぼ決まったと、記してあった。
実施日時、そして参加人数、更に英雄亭の予約が取れた事。
しかし、それ以外、詳しい事は記されていなかった。
ジョルジュは、すぐ使いの者へ手紙を託し、問い合わせをした。
翌日、ルウから、すぐ返事は来たのだが……
詳細は、遂に教えては貰えなかった。
ただ、当初の話通り、
「ジョナサンと一緒に、一週前の土曜日午前8時に、英雄亭店主のダレン・バッカスを訪ね、段取りを組みに行け」
とだけ言われたのである。
気になったジョルジュは、最早、親友となったジョナサンにも会って、話を聞いたが……
そのジョナサンも、ルウからは、全く同じ事しか、言われていなかった。
仕方なく、ジョルジュは今日、早起きし、ジョナサンと待ち合わせをした。
ランチオープン前、午前8時の英雄亭へ来たのである。
「おう、ジョナサン! 相変わらず元気そうだな? エミリーとは仲良くやってるか?」
「はい! ばっちりです」
大きな声で、ジョナサンへ話し掛けたのは、英雄亭の店主ダレン・バッカスである。
ランチの仕込み作業を、スタッフに任せ、厨房から出て来てくれたのだ。
そしてダレンは、ジョルジュへ視線を移し、にっこり笑う。
「おう、そっちはジョルジュだな?」
呼び捨てにされても、ジョルジュは怒らなかった。
かつて大伯父エドモンの冒険者仲間であり、ルウや姉にも同じ口調で話すのを聞いていたからだ。
「は、はい……よ、宜しく……」
「ふむ……」
ダレンは、意味ありげにジョルジュを、じっと見つめた。
目が少し、遠くなっている。
ジョルジュには、見つめられる意味が分からない。
「???」
ポカンとする、ジョルジュへ、ダレンは唐突に言う。
遠くなっていた視線が、改めてジョルジュを見据えている。
いかつい顔が、似合わないと言っていいほど、ほころんでいた。
「ジョルジュ、お前の姉さんは、凄い美人だな」
「は?」
いきなりフランの話をされ、ジョルジュは戸惑った。
しかし、ダレンはおかまいなく話を続けて行く。
「昔、俺の好きだった女に……良く似ている」
「…………」
「あの子は俺と別れ、……遥か、遠い国へいっちまった……まだ、生きていれば、今頃は、どうしているのやら……」
どうやらダレンは、姉フランが昔の恋人に似ていると言いたいらしい。
しかし、ジョルジュには全く関係のない話だ。
どう、言葉を返して良いのか、分からない。
「…………」
「まあ、ルウなら、お前の姉さんを、必ず幸せに出来る。……良かったな」
「…………」
「た、確かに! ルウさんなら、そうですよねっ!」
無言になってしまったジョルジュを、何とかフォローしようと……
ジョナサンが、間に入って、話を繋いでくれた。
実のところ、ジョルジュは……
騎士同様、このような冒険者も苦手であった。
もし、話す必要がないのなら、敢えて自分から話し掛けたりしなかった。
ふと、ジョルジュが見やれば、ダレンは再び、ジョナサンと話している。
ふたりは、とても親しそうだ。
ジョナサンがエミリーと婚約し、親戚になったという理由は、確かにあるのかもしれない。
しかし……ただ、それだけではないとも感じる。
そして、今更ながら、ジョルジュは気が付いた。
ドゥメール伯爵家跡取りの身分を捨て、ブシェ商会の『跡取り』となり、商人になると決意した事を。
やはり自分は、根本的に変わらなければならないと、ジョルジュは考える。
「商人になれば、今とは、全てが変わる」そう、アンナの父アルマンは言った。
生活習慣は勿論、言動も全てがと。
言動……
そう、今のような貴族家の子弟のする、上から目線の物言いや、居丈高な振る舞いは出来なくなる。
ジョルジュは、さすがに……
ルウと出会った頃のような、高慢な態度ではなくなっていた。
でも、まだまだ、『話す相手』を選んでいたのだ。
将来、商人になれば……
「相手が騎士だから、話せない」とか、「荒くれた冒険者は苦手です」
などと、言ってはいられない。
そう、思い直したのだ。
ジョルジュは、ダレンと話すジョナサンを改めて見た。
確か、以前はジョナサンも……
自分同様に、平民を見下していたと、聞いた。
昼飯を食べた際、ジョナサン自身の口から、黒歴史の告白という形で。
しかし今、身内とはいえ、ジョナサンはダレンと親し気に話している。
どうして?
何故、ジョナサンは変わる事が出来たのだろうかと。
それよりも……とジョルジュは思う。
ジョナサンと組み、何故、『男子会』の幹事をしろと、ルウは命じたのだろう?
その理由が分かれば……
愛するアンナの夫として、一人前の商人を目指すべく、自分が変わる為のヒントになるかもしれない。
ジョルジュは、談笑するジョナサンを見ながら、じっくり考え始めたのである。
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本日10月29日、両作品とも更新しております。
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