表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1060/1391

第1,060話 「息抜き⑥」

愛読者の皆様!

特報です!


『魔法女子学園の助っ人教師』第5巻の発売が決定致しました!


皆様の多大なる応援のお陰です!

本当に、本当にありがとうございます!

発売日等、詳細は未定です。


既刊第1巻~4巻好評発売中!

※既刊が店頭にない場合は、恐縮ですが書店様にお問合せ下さいませ。

皆様の応援で、更に次へ進む事が出来ます。

何卒宜しくお願い致します。

 ルウと話した週末の土曜日……

 結局、『男子会』はその次の週の、土曜日昼となった。


 ジョナサンと話した数日後に……

 ジョルジュの住む魔法男子学園学生寮の机上には、ルウからの手紙が置いてあったのだ。


 その手紙には……

 『男子会』の概要が、ほぼ決まったと、記してあった。


 実施日時、そして参加人数、更に英雄亭の予約が取れた事。

 しかし、それ以外、詳しい事は記されていなかった。


 ジョルジュは、すぐ使いの者へ手紙を託し、問い合わせをした。

 翌日、ルウから、すぐ返事は来たのだが……

 詳細は、遂に教えては貰えなかった。


 ただ、当初の話通り、

 「ジョナサンと一緒に、一週前の土曜日午前8時に、英雄亭店主のダレン・バッカスを訪ね、段取りを組みに行け」

 とだけ言われたのである。


 気になったジョルジュは、最早、親友となったジョナサンにも会って、話を聞いたが……

 そのジョナサンも、ルウからは、全く同じ事しか、言われていなかった。


 仕方なく、ジョルジュは今日、早起きし、ジョナサンと待ち合わせをした。

 ランチオープン前、午前8時の英雄亭へ来たのである。


「おう、ジョナサン! 相変わらず元気そうだな? エミリーとは仲良くやってるか?」


「はい! ばっちりです」


 大きな声で、ジョナサンへ話し掛けたのは、英雄亭の店主ダレン・バッカスである。

 ランチの仕込み作業を、スタッフに任せ、厨房から出て来てくれたのだ。


 そしてダレンは、ジョルジュへ視線を移し、にっこり笑う。


「おう、そっちはジョルジュだな?」


 呼び捨てにされても、ジョルジュは怒らなかった。

 かつて大伯父エドモンの冒険者仲間であり、ルウや姉にも同じ口調で話すのを聞いていたからだ。


「は、はい……よ、宜しく……」


「ふむ……」


 ダレンは、意味ありげにジョルジュを、じっと見つめた。

 目が少し、遠くなっている。

 ジョルジュには、見つめられる意味が分からない。


「???」


 ポカンとする、ジョルジュへ、ダレンは唐突に言う。

 遠くなっていた視線が、改めてジョルジュを見据えている。

 いかつい顔が、似合わないと言っていいほど、ほころんでいた。


「ジョルジュ、お前の姉さんは、凄い美人だな」


「は?」


 いきなりフランの話をされ、ジョルジュは戸惑った。

 しかし、ダレンはおかまいなく話を続けて行く。


「昔、俺の好きだった女に……良く似ている」


「…………」


「あの子は俺と別れ、……遥か、遠い国へいっちまった……まだ、生きていれば、今頃は、どうしているのやら……」


 どうやらダレンは、姉フランが昔の恋人に似ていると言いたいらしい。

 しかし、ジョルジュには全く関係のない話だ。

 どう、言葉を返して良いのか、分からない。


「…………」


「まあ、ルウなら、お前の姉さんを、必ず幸せに出来る。……良かったな」


「…………」


「た、確かに! ルウさんなら、そうですよねっ!」


 無言になってしまったジョルジュを、何とかフォローしようと……

 ジョナサンが、間に入って、話を繋いでくれた。


 実のところ、ジョルジュは……

 騎士同様、このような冒険者も苦手であった。

 もし、話す必要がないのなら、敢えて自分から話し掛けたりしなかった。


 ふと、ジョルジュが見やれば、ダレンは再び、ジョナサンと話している。

 

 ふたりは、とても親しそうだ。

 ジョナサンがエミリーと婚約し、親戚になったという理由は、確かにあるのかもしれない。

 しかし……ただ、それだけではないとも感じる。


 そして、今更ながら、ジョルジュは気が付いた。

 

 ドゥメール伯爵家跡取りの身分を捨て、ブシェ商会の『跡取り』となり、商人になると決意した事を。

 やはり自分は、根本的に変わらなければならないと、ジョルジュは考える。


「商人になれば、今とは、全てが変わる」そう、アンナの父アルマンは言った。

生活習慣は勿論、言動も全てがと。


 言動……

 そう、今のような貴族家の子弟のする、上から目線の物言いや、居丈高な振る舞いは出来なくなる。


 ジョルジュは、さすがに……

 ルウと出会った頃のような、高慢な態度ではなくなっていた。

 でも、まだまだ、『話す相手』を選んでいたのだ。


 将来、商人になれば……

 「相手が騎士だから、話せない」とか、「荒くれた冒険者は苦手です」

 などと、言ってはいられない。

 そう、思い直したのだ。


 ジョルジュは、ダレンと話すジョナサンを改めて見た。

 確か、以前はジョナサンも……

 自分同様に、平民を見下していたと、聞いた。

 昼飯を食べた際、ジョナサン自身の口から、黒歴史の告白という形で。


 しかし今、身内とはいえ、ジョナサンはダレンと親し気に話している。

 

 どうして?

 何故、ジョナサンは変わる事が出来たのだろうかと。

 

 それよりも……とジョルジュは思う。

 ジョナサンと組み、何故、『男子会』の幹事をしろと、ルウは命じたのだろう?


 その理由が分かれば……

 愛するアンナの夫として、一人前の商人を目指すべく、自分が変わる為のヒントになるかもしれない。


 ジョルジュは、談笑するジョナサンを見ながら、じっくり考え始めたのである。

東導 号作品、愛読者の皆様へ!

別作品も宜しくお願い致します。


☆『隠れ勇者と押しかけエルフ』


https://ncode.syosetu.com/n2876dv/


怖ろしい悪魔王に父と一族全員を殺されたダークエルフの姫エリン。穢されそうになったエリンを圧倒的な力で助けたのは謎の魔法使いダン。異世界から召喚された隠れ勇者と呪われたダークエルフ美少女の恋物語が始まる。


☆『縁結び男だって、幸せになりたい! 異世界転生した俺は、宿命の恋に落ちる!』


合コンで他人の世話ばっかりして、自分自身は彼女がずっと居ない。

挙句の果てに異世界へ飛ばされ、その異世界でも合コンして、最後はやっと幸せになる、ハッピーエンドな男子の話です。※今回の更新が最終回です。


https://ncode.syosetu.com/n2344fb/


本日10月29日、両作品とも更新しております。

ぜひお楽しみ下さい。

応援宜しくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ