第1,059話 「息抜き⑤」
愛読者の皆様!
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『魔法女子学園の助っ人教師』第5巻の発売が決定致しました!
皆様の多大なる応援のお陰です!
本当に、本当にありがとうございます!
発売日等、詳細は未定です。
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ルウと話した2日後に……
ジョルジュは、魔法男子学園の授業終了後、ライアン邸へ、ジョナサンを訪ねていた。
昨日、ルウから、男子魔法学園の学生寮へ、『連絡』を貰ったからだ。
いつもの事ながら……
ルウの対応は、素早かった。
ジョルジュがルウと話した翌日の夕方には、もうジョナサンの机の上に、『手紙』が届いていたという。
多分……何らかの魔法か、使い魔に届けさせたのだろう。
嬉しそうなジョナサンの表情から、ジョルジュには予想が出来たが……
ジョナサンの返事も、ジョルジュが期待したものであった。
男子会には「当然参加する!」
幹事役もジョルジュと共に「ぜひ、やりたい!」とも言う。
安堵と共に、ジョルジュの気持ちには、楽しいイベントへの期待が満ちて来る。
どうやら、ジョナサンも同じ気持ちのようだ。
「ジョルジュ、僕、楽しみなんだ、男子会。ルウさんの友達って、一体、どんな人達が来るのかなって」
「お、おお、俺もそうさ」
同意したジョルジュへ、ジョナサンは言う。
しみじみと……
「でも、ジョルジュ、僕……本当に良かったよ」
「ん?」
「改めて、君と分かり合えて、こうして親しくなれてさ」
「ああ、ジョナサン、俺だってそうさ」
ジョルジュは、ジョナサンの晴れやかな顔を見ながら思う。
ルウの引き合わせがなければ……
こうして、ジョナサンとは親しくなっていないと。
ジョナサンは更に言う。
「ジョルジュ、お互い、人生最初の危機を乗り越えたから……結構、いろいろとあったよね?」
「ああ、ジョナサン、いろいろあった。お互い、大変だったよな。でも、とりあえず大丈夫さ」
「ああ、とりあえずは大丈夫だな……でも良い経験になった。また今度辛い事があっても前向きになれる、乗り越えようという気持ちになれる」
「そうだな! でもそんな気持ちになれるのは、兄上の尽力があったからだ」
「全くだよ、ルウさんのお陰さ」
ふたりの目が遠くなる。
ジョルジュは、魔法使いとして才能の無さを感じ……
どん底ともいえる、閉塞感の只中にあった。
もう自暴自棄になる、寸前だった。
偉大な母と姉に、圧し潰される寸前だった。
醜いコンプレックスの塊だった。
それがルウにより……
街中で、暴漢に絡まれ、大けがをするのを救われ、隠されていた才能を掘り出して貰った。
想い人のアンナと知り合えたのは、全くの偶然だが……
何故か、ルウの力を感じてならない。
そして、アンナが破滅する、最大の危機に直面した時も……
ルウが、自分に花を持たせてくれた。
『愛する女を救う素敵な男』として……
ジョルジュが誠意と矜持を、アデライドとアンナの両親へ、はっきり示す形で助けてくれた。
片や、ジョナサンも……記憶を手繰る……
もしルウが、母シンディの悩みを聞き、親身になって、対応してくれなかったら……
あのモーラルを、寄越してくれなかったら……
広い世間と、愚かな自分自身を知る事が出来なかった……
間違いなく、あの魔物どもに喰われ、死んでいた……
愛する想い人エミリーも、可愛い弟カミーユも一緒に……
あの、犠牲になった商人のように……
無残な屍を、野にさらしていたに違いない。
それが、ルウのお陰で、命が助かったばかりか、激しい戦いを経験し……
怖ろしい脅威から楓村を救い……
騎士として、男として、確かな自信を持つ事が出来た。
一生愛し愛され、支え支え合う、素晴らしい想い人、そして新たな生きがいも、 しっかり見つける事が出来たから……
ジョルジュは、つらつら考え込むジョナサンへ言う。
「ジョナサン、今回の男子会は俺の為になると、兄上から言われた。一緒に幹事をやる事で、お前と、もっと親しくなれるって……意味だと思うけど」
「ああ、それは確かにある。だけどルウさんの事だ。男子会には、もっと違う意味も、意義もあると思う」
ジョナサンの言う事は尤もだ。
ルウが単に、欲求不満の息抜きで、男子会を催すわけがない。
「確かにそうだ。あの兄上が……そんなに浅い筈がない」
と、ジョルジュが納得して言えば、ジョナサンは嬉しそうに笑う。
「あはは、そうだね。ルウさんは、底知れないって言うか、まるで凄い先まで読み切る、チェスの達人みたいだ」
「おお、巧い事言うね、ジョナサンは」
「うん、それに……お互いの将来もあるからね」
「将来か、そうだよな」
ジョルジュもジョナサンも、お互いに将来の事を話していた。
街で会い、昼飯を食べた時に。
まだあまり表に出せない、内々の話として。
それだけ、ふたりの仲は急接近したといえる。
ジョルジュは、貴族の身分を捨て、いずれ商人になる事を。
片やジョナサンも、王都暮らしから抜け、再来年は楓村で守護者となる事を。
ふたりとも、未知の世界へ足を踏み入れる事になる。
しかしジョナサンの目は、不安よりも期待に輝いていた。
「ジョルジュ、僕達ってまるで、大海原へ乗り出す船に乗る、血気盛んな商人みたいだ。君はさ、その商人になるのだから、尚更だね」
言われた、ジョルジュの目にも不安はない。
少しはあるかもしれないが、大きな期待が、小さな不安を打ち消している。
「あはは、ジョナサンは、本当に巧い事言うな。それ、今の俺達にぴったりの表現だよ」
「ジョルジュ! これからも、お互い、切磋琢磨し合おう。僕はただの守護者になるわけじゃない。父上が管理官だから、その息子として、楓村の発展にも尽くして行かなくてはならない」
「おお、ジョナサン、その発展にはぜひ! 我がブシェ商会も寄与したいよ」
「ああ、ジョルジュ! こちらこそ! ぜひぜひお願いしたい。暫くしたら僕達は離れてしまうけど……楓村と王都ならすぐ近くだ」
「ははは、全くだな」
ジョルジュとジョナサンは未来への夢を語り、同意して、笑い合った。
だが、ふとジョナサンが部屋の魔導掛け時計を見れば!
「ああ!? ジョルジュ! は、話が弾んだら、もうこんな時間だ。急いで、男子会の内容を相談しておかないと」
「おお、そうだ! やばい、やばいぞっ」
焦ったふたりは、顔を見合わせ、苦笑し……
改めて、男子会の相談を始めたのであった。
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本日10月26日、両作品とも更新しております。
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