第1,057話 「息抜き③」
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ジョルジュは、兄ルウと過ごすと、いつも話が弾み、時間があっという間に経ってしまう。
今日も、やはり例外ではなかった。
残念ながら、もうあまり時間がない。
あと少しで、隣にある、実家ドゥメール邸へ移動しなければならないから。
書斎の壁に掛かった、趣きのある魔導時計を見て……
ジョルジュは、とても名残惜しそうな表情をし、ルウへ尋ねる。
「じゃあ、兄上の企画を教えて下さい」
「ああ、男子会さ」
聞かれたルウは、あっさり答えた。
しかし、ジョルジュには、全然ピンと来ない。
「男子会?」
男子会?
何それ?
女子会は知っているけど。
ジョルジュは、不可解だと首を傾げた。
悩むジョルジュへ、ルウが、補足説明をしてくれた。
「おお、世間には、女子会ってのがあるだろう。それの対極、男だけの会さ」
ルウの、シンプル過ぎる『補足説明』を聞いても、やはりジョルジュには分からない。
さすがに、ジョルジュも女子会だけは分かる。
女子会とは……
シンプルに言えば、女子だけで行う食事会だ。
趣味、遊び等の共通項で集まる事が多いらしい。
仕事仲間という場合もある。
どの場合も、男子は参加禁止。
女子だけという、いかにも、華やかで、楽しそうな会なのだが……
反面、遠慮のない女子の本音は怖い気がする。
正直、あまり聞きたくないとも、思ってしまう。
しかし!
その男性版?
男だけの飲み会。
とても気楽そうだが……果たして、どうなのだろうか?
果たして、楽しいのか?
と、ジョルジュは思ってしまう。
なので、ルウにはっきり言ってしまった。
「兄上……気を使わないのは良いですが、野郎同士では、……す、凄く……むさい気がします」
「まあな」
「あの、まあなって……男だけで飯を食うのって、息抜きになりますか? 兄上だって、あんなにリア充状態で、毎日食事していますよ」
ジョルジュは、ブランデル邸での食事を思い浮かべた。
ルウと、家令のアルフレッド以外は、全て美しい女性である。
美女に囲まれ、とても華やかで、楽園に居るような……
心が浮足立ってくるような食事なのである。
だが、これから行う食事会は、男子だけ?
考えただけで、気が重くなる。
ルウは、その差をしっかり認識しているのだろうか?
ジョルジュは、疑わしそうな目を、ルウへ向ける。
究極のジト目攻撃を受けたルウは苦笑し、ジョルジュをなだめた。
「お前の気持ち、そして言う事は良く分かる。少々長くなるが、最後まで俺の話を聞け」
「は、はい……」
話を聞けと言われたら、ジョルジュは素直に受けるしかない。
これまで、兄のやる事に間違いはないし、まずは話を聞いた方が良い。
今回も、ルウはじっくり考えてくれていて、いろいろな意味があるのに違いないだろう。
と、ジョルジュが、考えていたら……
まるで心の中を見抜くように、ルウは言う。
「これから、商家の主になろうとするお前には、ぴったりの企画なのさ」
「…………」
まるで、ピンと来ないが……
ルウは、ジョルジュの将来にも関係すると言う。
気乗りがしない。
やる気が出ない。
でもジョルジュには、他に息抜きのアイディアがない。
しかし息抜きは、必ずしたい……
このままでは、埒が明かない。
前進出来ない。
停滞する。
葛藤が、ジョルジュを襲う。
だから、ここは……
ルウの言う通りに、しなければいけない。
ジョルジュは黙って、「つらつら」と考えた。
と、その時。
ルウはいきなり、話題を変えて来た。
「そういえば、お前……ジョナサンと、仲良くなったよな」
ジョルジュは、ハッとした。
またも過ちを犯す所だったから。
以前、ジョルジュは……
ルウに、暴漢から助けて貰いながら、礼にも行かず、放置した過去がある。
その時は、きつく、アデライドから叱られた。
「は、はい! そうだ! お礼を言うのを忘れていました。兄上、ありがとうございました、わざわざ俺とアンナを呼んで頂いて」
先日……
キャルヴィン・ライアン伯爵の一子ジョナサン・ライアンと、楓村のエミリー・バッカス、ふたりの婚約披露パーティが英雄亭で行われた。
このパーティに、ルウは、当初参加する予定のなかった、ジョルジュとアンナを呼んでくれた。
ジョナサン本人とエミリーには勿論、キャルヴィンとシンディにも了解を得て。
その時、意外な事が起こったのだ。
ジョルジュが、ジョナサンと、親しい友人になった事である。
何故、意外なのか?
そもそもジョルジュは、ジョナサンとは、単に、顔見知り程度の仲。
年一回、王宮で開かれる、王家主催の晩さん会で、挨拶をするくらいであった。
ドゥメール家とライアン家が、家族ぐるみの付き合いをしていてもだ。
実は……ジョルジュは、『騎士』が苦手であった。
なので、ジョナサンを含めたライアン家に対し、深い付き合いを求めず、ドゥメール家の中で、唯一、一歩引いていたのだ。
それが……
ルウに言われ、アンナを伴って、仕方なく、英雄亭へ出向いたところ……
パーティを存分に楽しむ事が出来た。
加えて、意外にも!
ジョルジュは、ジョナサンと少し話してみた所……
何故か、とても気が合い、ふたりは、じっくりと話し込んでしまったのである。
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