表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1055/1391

第1,055話 「息抜き①」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』第1~4巻が発売中です!


7月21日発売の、最新第4巻はルウとモーラルの表紙です。

第1巻~3巻の既刊共々、お見かけになったら、ぜひお手に取って下さい。


皆様が応援して下されば、更にまた『次』へと進む事が出来ます。

※新刊、既刊、共に店頭にない場合は、恐縮ですが書店様にお問合せ下さいませ。

 フランの弟、ジョルジュは普段、魔法男子学園の学生寮で生活している。


 当初は……

 母と姉という、たぐいまれな魔法使いに囲まれる、息苦しい実家から逃れる為、ひとり暮らしを始めたのである。


 肉親全てが素晴らしい才能を持ち、自分だけが、ただの凡才なのはとても苦しい。

 とてつもない劣等感の、塊となってしまう。


 ジョルジュも、例外ではなかった。

 意地で、魔法使いへの道を選んだ結果……

 極度のネガティブ状態となり、生活は荒れに荒れた。

 挙句の果てに、素行不良を咎められ、学園から注意される事はしょっちゅうだった。

 

 そんな時、いつも、かばってくれたのは母アデライドであった。

 だが、その代わり……

 激怒した母には、いつも尻叩きを喰らったが……

 

 しかし!

 そのような心配を、もうアデライドへかける事はない。

 自分の、才能に絶望していたジョルジュは、運命の出会いをしたのだ。

 

 出会いとは、想い人のアンナ・ブシェ?

 確かにそうだろう。

 婚約したアンナとは、これからの人生を、ずっと共に歩いて行くのだから。


 だが、その出会いの前にジョルジュは運命の出会いを遂げていた。

 恋人ではない、魔法の師といえる人物に。


 それが、義兄のルウである。


 最初、ジョルジュはルウが大嫌いだった。

 身分の差から来る嫌悪感を、散々、ぶつけていた。


 しかし、暴漢から助けられ、母に諭され、思い切って歩み寄ると……

 まるでルウは、実の兄のように、ジョルジュを温かく受け入れてくれた。


 そしてジョルジュは……今迄持っていたコンプレックスもルウに解消して貰った。

 彼の中に隠されていた鑑定魔法の才能を、ルウに見出して貰ったのだ。

 

 更にルウは、ジョルジュの想い人アンナの危機も救ってくれた。

 それも、彼の顔を最大限立てるように。


 今や、ジョルジュは……

 ルウが大好きであった。

 まさに理想の兄貴なのだから。


 付き合いだして、ジョルジュはルウの様々な面を知った。


 気さくで、誰にでも優しい。

 深謀遠慮の塊であり、面白い冗談は言うけれど……

 人を傷つける嘘をつかない。

 

 加えて、とんでもない物知りで魔法の達人。

 ……お約束ながら凄く強い。

 困ったら、恥ずかしい事も含め、何でも気軽に相談に乗ってくれる。


 ときたま……

 一緒に馬鹿な事にも付き合ってくれる。

 そんな面倒見の良い、男の先輩且つ友達みたいな兄貴。


 だけど神様みたいに完璧かというと、そうでもなくて……

 とっても不器用な、人間臭い面もある。


 もしも、自分が女性だったら……と、思う。

 考えると、姉フランがルウに惚れ込むのも、良く分かるというものだ。


 ……最近、ジョルジュは多忙になった。

 鑑定魔法を本格的に学び出してから、魔法の習得は勿論、膨大な種類の商品知識を学ばねばならない。

 

 友人達には、付き合いが悪くなったと責められたが、ひたすら謝るしかない。

 学園の授業をまじめに受けるようになったのは勿論、寮での勉強、バルバトスの店での研修……

 当然、婚約者となったアンナと、毎週デートもしていた。

 結果、スケジュールが……毎日ぎっしりなのである。


 以前は、ルウの下へ、毎週のように、魔法を学びに行っていたが……

 その頻度も、著しく減った。


 アンナの実家にも、良く遊びに行く。

 彼女の両親からは、大いに気に入られ……

 「週末は、ブシェ家へ遊びに来い」と、言われるようになったからだ。


 暫くして、その「遊びに来い」は、「ただ遊ぶだけ」に留まらなくなった。

 いろいろアンナの両親と話すうち、世界を股にかける商売に対し、大いに興味が湧いて来たのだ。


 そして、ジョルジュは悩んだ挙句……決めた。

 つまり……B級以上となる魔法鑑定士の資格を取得した上で、アンナの実家、ブシェ商会を、自分が継ごうという決意だ。


 もし自分が、婿へ入ったら? 

 という話を、ジョルジュがしたら……

 

 アンナの両親は、大いに驚き、且つ喜んでくれた。

 その日以来……アンナの父親からは、『商人の心得』について、指導を受けるようになったのである。


 だが、ジョルジュは、その決意をまだ母へ告げてはいない……

 それには、理由があった。

 まずは、ルウへ相談しようと考えていたのだ。

 ある、提案をする為に。


 さてさて……

 どうやら、最近は、ルウも忙しいらしい。

 お互いの都合が、合わない事も多くなった。

 

 今日は久々に、調整が付き、ジョルジュはブランデル邸へ、訪問していた。

 勿論、鑑定魔法を学ぶ為である。

 修行が終わった後は、隣接する実家へ訪問の予定だ。

 こちらも久々に、母アデライドへ顔を見せ、近況を報告。

 そのまま、宿泊する事となっている。


 いつも、ルウから貰う時間は、約2時間……

 そのうち、魔法の教授と、実地訓練に1時間30分かける。


 残りの30分は……とりとめのない話をする。

 姉フランの事や、ルウの他の妻の事。

 王都の噂話や、最近流行っている遊びや食べ物。


 その一見、無駄のように思える時間が、ジョルジュは好きであった。

 疲れた気持ちが、リフレッシュされるから。


 しかし今日は、その30分の時間の中で、大事な話をしなければならない。

 いつものように、暫し、歓談した後……

 ジョルジュは、軽く息を吐いて、話を切り出した。


「兄上」


「ん?」


「単刀直入に言います。俺の代わりに、ドゥメール伯爵家を継いでください」


「ああ、分かるよ」


 やはり!

 と、ジョルジュは思う。

 もうこの兄には、お見通しだと。


「兄上、俺がそう決めた理由が……分かりますか?」


「ああ、お前、アンナの両親に、とても可愛がられているのだろう?」


「そ、そうです!」


「分かった、お前の決意が固いのなら、引き受けよう」


「ありがとうございます。兄上が継いでくれるのなら、母上も凄く喜びます」


 話した言葉は短い。

 でも予想通り、ルウは快諾してくれた。


 ジョルジュは、今日の最大の用件が済み、安堵した。

 

 だが、まだ終わりではない。

 ルウは更に、こまやかな気配りもしてくれたのだ。


「但し、条件があるぞ、ジョルジュ」


「じょ、条件?」


「そう、アデライド母さんにはな、ジョルジュ、お前から話すんだ。前向きに、お前とアンナの将来の夢と共に、熱い気持ちを籠めて、誠実に……真摯に」


「…………」


「良いか、ジョルジュ。俺とフランにはまだ……『その件』を話していない事にしておけ。アデライド母さんから、事前に了解を貰い、母さんとお前で、俺とフランを説得する。そして俺が謹んで受ける形にした方が良い。それで、母さんとフランの面目も立つ」


「あ、兄上……」


 ルウはちょっと話を聞いただけで、先まで、見越していた。

 ジョルジュは、心の底から嬉しくなり……

 穏やかに微笑む兄を、熱く見つめていたのである。

いつもお読み頂きありがとうございます!


東導 号の別作品も、ぜひご愛読お願い致します。


☆『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』


https://ncode.syosetu.com/n4411ea/


謎の死を遂げた青年ケンは、異世界の辺境村へ少年として転生。数奇な運命に翻弄され、苦難の末に幸せをつかんだケンは、愛する家族を守ろうと奮闘する。

『奇跡の再会、奇跡の邂逅編』を連載中です。


☆『縁結び男だって、幸せになりたい! 異世界転生した俺は、宿命の恋に落ちる!』


ブラック企業勤務の、大門寺トオルは25歳独身。

トオルが飲み会に参加すると、何故かカップル成立率が高まるのと、

彼自身、恋愛世話好きな為に、周囲からは引く手数多。

しかしトオルは決意した。そろそろ自分の幸せを追い求めようと! 

そんなある日、記念すべき通算100回目の飲み会でトオルは理想の女性、相坂リンに出会い、運よくデートの約束を取り付ける。

初デートを無事クリアし、次回のデートの約束も取り付けたトオルであったが……

翌日、起きたトオルが目にしたものは……見覚えのない部屋に洋服等。

そう、トオルは何の前触れもなしに、異世界で別人格の、魔法使いになっていたのだ。

哀れ、『幸せリセット状態』になったトオルは、再び幸せを掴むことが出来るのか?


https://ncode.syosetu.com/n2344fb/


本日10月12日更新しております。

ぜひお楽しみ下さい。

応援宜しくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ