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第1,051話 「後を託して㉑」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』第1~4巻が発売中です!


7月21日発売の、最新第4巻はルウとモーラルの表紙です。

第1巻~3巻の既刊共々、お見かけになったら、ぜひお手に取って下さい。


皆様が応援して下されば、更にまた『次』へと進む事が出来ます。

※新刊、既刊、共に店頭にない場合は、恐縮ですが書店様にお問合せ下さいませ。

 冒険者ギルドの女戦士マルガリータこと、悪魔従士マルコシアス……

 彼女の強さと技量を見抜いたシンディは……

 3本取る、『完全勝利』をきっぱりと諦めた。


 この思い切りの良さは、シンディの長所のひとつだ。


 与えられた試合時間の3分間を目一杯使い、1本だけ取って勝つ事!

 を、瞬時に判断し、決めたのである。


 シンディは、ひたすらマルガリータへ、小刻みに剣を振り込む。

 上下左右、様々な角度から。

 戦う相手を、より詳しく知る為に。


 しかし、マルガリータは何故か反撃して来ない。

 シンディの剣先を、巧みに躱すだけである。

 それも最小限の動きしかしない。


 攻撃を続けながら、シンディは思う。

 マルガリータほどの戦士なら、自分の意図を容易く見抜くと。

 本気で攻めていない、偽りの攻撃なのだと。


 間違いない。

 確信出来る。

 マルガリータは、自分の間合いへ、シンディが入って来ない事を認識している。


 だが、この攻撃も無駄ではない。

 シンディは徐々に、マルガリータの戦法が分かって来たからだ。

 そして、殆ど目立たない小さな癖も……


 このようなタイプの剣士、戦士と、シンディは数回戦った事がある。

 相手が強敵だと認めた場合のみ、特殊な戦法をとる。

 一撃必殺を信条とする者達だ。


 シンディは確信した。

 例に漏れず、マルガリータもシンディを一発で仕留めようとしていると。

 相手も間違いなく、シンディを強敵だと認めたといえよう。


 そう……マルガリータは、待っている。

 シンディが、自分の必殺の間合いに入る事を。

 数少ない攻撃機会を、狙っているのが分かる。


 殆どの武道が、攻撃の直後に大きな隙を生む。

 その時こそ、相手を沈める最大のチャンス。

 マルガリータは、カウンターを狙っている。


 こうなると……

 シンディの目的は、手段は決まって来る。


 マルガリータの『間合い』を見切るのだ。


 相手の間合いに入らない、ギリギリの位置から攻撃する。

 いわば肉を斬らせて骨を断つ戦法で行く。


 身体を動かす際の癖を掴む以外に、別の奥の手も使う。

 でも……

 その奥の手を使う為には、まだまだ相手の『情報』が足らない。


 シンディは、更に手数の速さを上げ、回数を増やしたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 シンディVSマルガリータ……

 エキシビションマッチの開始から、2分間が過ぎた。

 魔導懐中時計を見た副審のシモーヌが、大きな声を張り上げる。


「試合時間! 残り! 1分を切りましたぁ!!!」


 相変わらず、攻めるのはシンディのみである。

 対するマルガリータは、防戦一方に見える。


 しかし勝負はまだまだ。

 本当の戦いは、始まってはいない。


 シンディは、今の状況とは全く違う、様々な展開も想定していた。

 ひとつの考えに固執し過ぎると命を落とす。

 戦場は千変万化。

 いろいろな可能性があり、状況は目まぐるしく変わる。


 例えば……

 『本気』で攻め込まないシンディに、痺れを切らしたマルガリータが強引に打ち込んで来るとか……


 しかしその時こそ、シンディが勝つチャンスでもある。

 マルガリータだけではない。

 実はシンディも……

 カウンター攻撃は、大の得意なのである。

 相手の剣速がとんでもない化け物レベルでなければ……勝つ自信はそこそこある。


 しかし冷静沈着というか、我慢強いというか……

 マルガリータは攻めては来ない。


 剣を振りながら、シンディは「ふっ」と笑う。

 こうして真剣に戦うのは……暫くぶりだ。

 気が付けば、戦いに夢中となっている。

 自分を見守る部員達の事さえ、失念していた。


 もてはやされた若い頃とは違う。

 身体を動かすと、少し軋むような気がする。

 練習はしていたのに、こんなになまっていたのかとも思う。


 持久力も落ちた?

 疲れが出て来た気もする。


 しかし、もし誰かが……

 戦うシンディへ「今、楽しい?」と聞いたら、

 間違いなく彼女は、「楽しい!」と断言するであろう。


 ここでまたシモーヌが声を張り上げる。


「試合時間! 残り! 30秒!!!」


 さあ!

 残り時間も僅かだ。

 そろそろ勝負。


 大丈夫!

 もうマルガリータの癖は掴んだ。

 彼女の僅かな身体捌きで、次の動作が見える。

 相手の攻防が予想出来る。


 別の、『奥の手』も……ばっちり使えた。


 少々心配だったが……錆びついてなどいなかった。

 相手は強敵だが、勝機はある!

 僅かな隙を衝き、渾身の力を込め、必殺の剣を叩き込むのだ。


「うおおおおおおおおおおおっ!!!」


 多分、先ほどのジーモンとアモンの戦いに刺激されたのだろう。

 シンディは雄叫びをあげ、剣を振りかざす。


 そして、思い切り大地を蹴ると、マルガリータめがけて突っ込んだのであった。

いつもお読み頂きありがとうございます!


東導 号の別作品も、ぜひご愛読お願い致します。


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