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第1,047話 「後を託して⑰」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』第1~4巻が発売中です!


7月21日発売の、最新第4巻はルウとモーラルの表紙です。

第1巻~3巻の既刊共々、お見かけになったら、ぜひお手に取って下さい。


皆様が応援して下されば、更にまた『次』へと進む事が出来ます。

※新刊、既刊、共に店頭にない場合は、恐縮ですが書店様にお問合せ下さいませ。

 ジーモンとアモンの模擬試合が終わり、ふたりは指定された控え場所へ引き下がった。

 無言で、用意された椅子に座る。

 だがふたりは、敢えて語り合ったりはしない。

 いくら気持ちが通じ合っても、べらべらと喋らないのは、性格的に当然ともいえる。


 一方……

 進行内容を、具体的に知らされていない、魔法武道部の部員達は半信半疑だ。

 この後は一体、どうなるのかと。

 

 とりあえず、エキシビションマッチは終わった。

 誰もが文句なく、息を呑むような、凄い内容だった。

 確かに闘技場のように、互いの命を懸けた、血みどろの殺し合いではない。

 だが、とんでもない迫力だった。

 

 不思議と怖くはなかった。

 部員全員が、ジーモンとアモンの戦いに刺激されて、気持ちが高揚していた。

 相手が男性では、少し怖い気もするが……戦える。

 真剣に、気合を籠めて。

 

 ならば、すぐ自分達の訓練に入るのか、それとも……

 と、部員達が考えた、その時。

 ジゼルとシモーヌが前に出て来て、さっと手を挙げた。

 

 主審役のジゼルが言う。


「さて、みんな、聞いてくれ。……今の試合でまだ興奮冷めやらぬだろうが……エキシビションマッチは、もうひと試合ある」


 エキシビションマッチが、もうひと試合?

 一体、どういう組み合わせ?


 部員達の視線は、一斉にジーモン達3人へと注がれた。


 今回呼ばれた、特別講師ゲストは3名だ。

 そのうち男性ふたり、ジーモンとアーモンこと悪魔アモンの試合は終わった。

 残る講師は……女性戦士のマルガリータこと悪魔マルコシアスである。


 マルガリータの相手はジーモン? それともアモンなのか……

 男性であっても、これだけ激しい戦いをして、ろくに休みも取らずで、万全の状態で戦えるのか? 

 ……という、部員達の心配は杞憂に終わった。


 ジゼルは大きな声で呼びかける。

 戦う者のひとりは、部員達の予想通りだ。


「宜しく! マルガリータ殿!」


「おう!」


 マルガリータは「すっすっ」と音も立てず、しなやかに歩いて行く。

 まるで、猫科の猛獣が獲物へ忍び寄るように。

 

 生徒達は、またもやシーンとなった。

 いかに半人前とはいえ、マルガリータがただ者ではない事が、ひと目で見て取れたからだ。

 

 マルガリータは先ほど、アモンが立っていた場所へ立ち、腕組みをした。


 では!

 彼女の対戦相手は!?

 生徒達の視線は一旦ジーモン達へ向けられたが……


 意外にも、ジゼルの声は全く違う名を呼んだのである。


「では! シンディ先生! お願いしたい!」


「はいっ!」


 呼び出すジゼルの声に応え……

 凛々しい声で返事をしたのは、何と!

 部の顧問シンディ・ライアンである。


 え?

 シンディ先生!?


「「「「「「おおおおおおおっ!」」」」」」


 驚いた部員達は、思わずどよめいた。

 いきなりシンディが出るとは、誰も考えていなかった。

 特別講師のジーモンとアモンでなければ、コーチのカサンドラかも?

 もしくは、部長ジゼルと副部長シモーヌのどちらかが、マルガリータの相手をすると予想していたのだ。

 

 椅子から立ち上がり、ゆっくりと前へ歩むシンディを見て、生徒達は更に驚いた。

 彼女が、いつものように、穏やかな優しい表情をしていなかった。

 眼光は鋭く、口は「きゅっ」と引き締められている。


 マルガリータの対面……

 ジーモンが立っていた場所まで、シンディは歩いて行った。

 

 やがて到着し、大きく息を吐くと、マルガリータに向かって、深々と礼をしたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 時間は、少しさかのぼる……

 3日前の事である。

 魔法女子学園校長室で、ふたりの女性が向き合っていた。

 フランとシンディである。

 お互いに真剣な表情であった。


 先にOKを貰った『特別指導』の概要を、フランが関係者に対し、簡単に説明した後……

 シンディひとりだけ、部屋に残って貰ったのだ。

 

 理由は、シンディの気持ちと立場を汲んだ事……

 これからする話は、他者の前ではしない方が良いというフランの気配り。


「校長代理。先ほどの説明では、私がマルガリータさんと戦うという事ですか?」


 と、シンディが尋ねると、フランは笑顔で頷く。


「はい、そうです。私が決めました、頑張って下さいねっ」


フランの笑顔と柔らかい言葉遣いに釣られ、シンディの口調も砕けて行く。


「そんな特別なエキシビションマッチに私が出るの? ……もしルウ先生が居ればねぇ……他にあてはなかったの?」


「……他に、あてですか?」


「そうよ! 例えば……ほら! 冒険者ギルド繋がりで、ミンミさんとか、どうかしら」


 マルガリータの対戦相手は、『炎の飛燕』と称されるS級ランカーのミンミが良い。

 

 シンディは遠回しに断る言い方をした。

 どうやら参戦に、乗り気ではないらしい。

 その理由を……フランは知っているようだ。

 きっぱりと言い放つ。


「いいえ、シンディ先生が戦うから良いのです」


「でも……私なんかで……「いけません!」……」


「え?」


 いかにも自信がなさそうなシンディの声を、ぴしりと!

 フランは、厳しくさえぎったのであった。

いつもお読み頂きありがとうございます!


東導 号の別作品も、ぜひご愛読お願い致します。


『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』


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『奇跡の再会、奇跡の邂逅編』を連載開始致しました。

申し訳ありませんが、今回は週数回ペースで、不定期更新の予定です。


そして、

約2か月半ぶりに、


『隠れ勇者と押しかけエルフ』


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本日9月14日、両作品を更新しております。

ぜひお楽しみ下さい。

応援宜しくお願い致します!

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