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第1,039話 「後を託して⑨」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』第4巻が発売中です!


【7月21日】に発売されたばかりの、ほやほやです。

ルウとモーラルの、涼し気な表紙をお見かけになったら、ぜひお手に取って下さい。


第1巻~3巻既刊も好評発売中!

皆様が応援して下されば、更にまた『次』へと進む事が出来ます。

※新刊、既刊、共に店頭にない場合は、恐縮ですが書店様にお問合せ下さいませ。

 暫し考えた末に……

 フランは、ひとつの提案をする事にした。

 だが、いきなり具体的な話はしない。


 魂から放つ波動で分かるが……

 ジゼルとシモーヌのふたりには、まだ良いアイディアが浮かばないらしい。


 誰もが……

 子供の頃の悲しい記憶を思い出し、感傷的になった後は……

 とても人恋しくなるものだ。

 

 フランも、愛するルウが旅へ出て不在だから、尚更である。

 ストレートに真面目な話をする前に、目の前のジゼル、シモーヌと、つい「遊びたく」なった。


「ねぇ、シモーヌ。ジーモンはね、ジゼルと似ているのよ」


 ブランデルの屋敷で何回も過ごし、学園でもフランと良く話すようになったシモーヌ。

 

 フランが学園でシモーヌを呼ぶときは『さん付け』、

 対してシモーヌも当然敬語を使い、校長と呼ぶ。

 しかしプライべートで呼ぶ時は、ジゼル同様に妹ノリで、ファーストネームの呼び捨て、シモーヌも愛称に『さん付け』で、『フランさん』と呼ぶのである。


「え? ジゼルがジーモン殿に?」


「ええ、そうなの」


 一方のシモーヌも、先程ジゼルをいじった余韻が残っていたのか、すぐにボケをかます。


「ふむふむ……それはジゼルのいかつい顔? それとも逞しい身体ですか? うんうん、どちらも大いに納得ですね」


 ジゼルとジーモンの共通項。

 いかつい顔に、逞しい身体。

 意外にもと言ったら失礼だが、普段は超真面目なシモーヌの、ノリが良い言葉を聞き、フランが面白そうに笑う。


「うふふ、両方よね、私も激しく同意」


「はぁ!? ふたりとも一体何を言っている! フラン姉、悪い冗談はやめてくれ」


 遊びは……これくらいで良いだろう。

 ふと見ればシモーヌがウインクしている。

 これ以上やると、「ジゼルが湯気を出して怒る」というアイコンタクトらしい。


 その為、フランは少しジゼルをフォロー。

 当然、言う事は真実なのだが、


「うふ、ジゼル、了解! なら真面目な話に戻るわね。敢えていえばジゼルだけでなく、シモーヌにも似てるのよ、ジーモンは」


「私にも?」


 矛先が自分へも向き、目を丸くするシモーヌ。

 ここでフランは、「ふたりがジーモンに似ている」という理由を説明する。


「ええ、ジーモンはね、強さの求道者なの。自分と同じか、より強い者に挑みたくなる……いわゆる強者病ね」


 フランが指摘した強者病。

 ……反論はない。

 何故ならば、ジゼルが自ら認めているから。


「う……強者病か、ならば確かに反論出来ない……」


 そしてシモーヌも、


「そ、そうだな。納得します……私とジゼルにとっては強さこそが憧れですから」


 と歯切れが悪いながら、認めた。

 となれば、話が早い。

 ジーモンと自分達を置き換えれば、すぐに未知の家令の性格が理解出来るに違いない。


「強者病なら、ジーモンの攻略は簡単。ウチに仕えるようになって、戦う機会が大幅に減っているから。ルウ先生、つまり旦那様と戦ったのもそのせいなのよ」


「うむ、ジーモン殿の気持ちはよ~く分かる。私も旦那様と思い切り戦いたいっ!」


「わ、私もジェローム様と。い、いえ! だ、だ、旦那様と戦いたい!」


 フランの指摘した通り……

 ジゼルとシモーヌはやはり強者病である。

 ジゼルは勿論、シモーヌも愛する婚約者ジェロームと戦うのが最高の幸せらしい。

 目をキラキラさせていた。


 可愛い妹分ふたりの初々しさに、フランはくすりと笑い、


「だから、ジーモンより強い人にお願いして、生徒の指導の前か後にエキシビションマッチを組むの。所詮は模擬試合だけど、生徒の実技、メンタル、いろいろな面でプラスになると思う」


 フランの『提案』が見えて来た。


 ジゼルもシモーヌは当然納得である。

 出来れば、自分がその『強者』と、戦いたいみたいな顔付きだ。


「ああ、な、成る程! その条件なら、私でも生徒への指導を文句なくOKする」

「強者との対戦を引き換えに、魔法武道部の特別臨時指導を頼むのですね」


「ええ、その通り。相手には……心当たりがあるからバッチリよ」


 ジーモンの対戦相手まで、想定済み。

 ジゼルとシモーヌの表情が安堵と喜びに満ちる。


「よし! さすがフラン姉、心強い」

「素晴らしいです!」


 だが、ジゼルがさっと手を挙げ、


「フラン姉、アデライド母さんの、否! 理事長の説得は?」


 そう……

 問題は最後の砦ともいえる、理事長アデライド。

 ジーモンがOKでも、あるじが強硬に反対すれば戦いの許可は下りないだろう。


 シモーヌも少し心配そうである。


「フランさん、気になります。もしかして説得の難易度は、ジーモン殿より理事長の方が高いのではないですか?」


 しかし、フランは胸を張る。

 ジーモン以上に母の気性はバッチリ把握しているから。

 実は作戦も、同時に立案済みなのである


「当然! そっちも大丈夫。理事長の説得は私が何とかするから」


 良く言えば、全てフランへ一任。

 悪く言えば、丸投げ。


 さすがにジゼルとシモーヌは、ばつが悪そうである。


「でも……フラン姉に頼ってばかりで、私は心苦しい」

「全くです。フランさん、申し訳ありません」


 しかしフランは首を振る。


「いいえ、段取りは任せて。その代わり当日の進行とか実務はお願い。それと私も見学しますから」


 現場での進行の委託、そして立ち合いの希望は必須条件として、フランから提示された。

 しかし一番難しいのが交渉を含めた段取りなので、ジゼル達も快諾する。


「「了解!」」


 妹分の元気な返事を聞き、フランはますますやる気になる。


「後はスケジュールの調整だけね。なるべく早く、場所は魔法女子学園の屋内闘技場が良いわ」


 着々とフランの中で進む計画案……


 ジゼルとシモーヌは、改めて感謝を籠め、フランへ深々と頭を下げたのであった。

いつもお読み頂きありがとうございます!


東導 号の別作品もお願い致します。


『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』


https://ncode.syosetu.com/n4411ea/


『子供達と旅に出よう編』


そして新作です。

『最強魔族の私を……あなたの愛で人間にしてくれますか?』


https://ncode.syosetu.com/n9802ex/


人外であるが故に、人間の両親から森に捨てられた幼い夢魔の美少女ツェツィリア。

雪の日に孤児院に捨てられ…地味で不器用ながら、…懸命に冒険者として生きて来た魔法使いの少年アルセーヌ。

縁もゆかりもなかった筈の、傷ついたふたつの魂は邂逅し、触れ合い、慈しみ……結ばれる。

「貴方が愛してくれれば……私は……変われるかもしれない……」

ツェツィリアの謎めいた言葉を胸に秘め、アルセーヌは前を向いて生きる事を決めた。


というお話です。

両作品とも、本日8月17日に更新しております。

ぜひお楽しみ下さい。

応援宜しくお願い致します!

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