第1,030話 「特別閑話 ジュルジュの贈り物」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』第4巻が本日【7月21日】発売です!
ルウとモーラルの、青い涼し気な表紙をお見かけになったら、ぜひお手に取って下さい。
皆様が応援して下されば、更にまた『次』へと進む事が出来ます。
※店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さいませ。
書籍版第4巻の発売を記念して、特別閑話をアップしました。
ぜひお楽しみ下さいませ。
アンナが止める間もなく……
親友ルイーズ・ベルチェはあっという間に、中央広場の雑踏に紛れてしまった。
ルイーズが、あんなに素早く反応したのは、はっきりしていた。
そう……
気を利かせてくれたのだ。
さすがにジョルジュも、ルイーズの『思い遣り』に気が付いていた。
しかし、以前のジョルジュならともかく……
「待ってましたぁ!」というような、ずうずうしい態度は出来ない。
それよりも……
大喧嘩をしたというふたりの仲は……
どうやら完全に、修復出来たようである。
ジョルジュには、アンナが友情を回復したのが殊の外嬉しかった。
「アンナ、折角、ルイーズ君とふたりで会っていたのに、悪い事しちゃったな」
だがアンナは首を振った。
彼女ももう、「親友との仲は大丈夫だ」という表情をしている
「いいえ、構わない! ルイーズにはまた月曜日に学園で会えるもの。それよりジョルジュはこの後、予定はどうなっているの?」
「俺? ああ、特に用事はないよ……」
用事はないと聞き、アンナの表情が輝いた。
ジョルジュへ、話したい事がたくさんあるのだから。
「ね、ねぇ! じゃあ、ふたりで、お昼ごはん食べない?」
アンナが言った瞬間、彼女の脳裏には父アルマンの言葉が頭をよぎった。
『得体の知れぬ男と会うなど許さん! ブシェ商会の跡取り娘であるお前は、私の目に叶った婿を取って、3代続いた我が家を継ぐのだからな』
しかしアンナは軽く首を振り、父の言葉を振り切った。
そんなアンナを見たジョルジュは、少し心配そうである。
「だ、大丈夫? アンナ、具合でも悪いの?」
「い、いいえ! 何でもないの。それよりごはんが美味しいお店へ連れて行って」
何と!
アンナはそう言うと、大胆にもジョルジュの手をパッと取り、「ぐいっ」と引っ張って歩き出したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ジョルジュが連れて行ってくれた店は……
女子が好むようなお洒落な店であった。
当然食事も美味しい。
客はカップルが殆どで、皆仲良さそうに話し込んでいた。
以前ジョルジュと会った際、何者かに見られ、父へ告げ口された為……
アンナは店のスタッフに案内された時、注意深く周囲を見回したが、幸い見知った者は居なかった。
やがて食事が済み……
ふたりは、香りの良い紅茶を楽しんでいた。
楽しそうな表情を見せるアンナから出る主な話題は、やはりルイーズとの仲が元通りになった、否、以前よりも深くなった件である。
雨降って地固まる……
良い結果を聞いて、ジョルジュも喜んだ。
アンナは感謝の気持ちを一杯込め、ジョルジュへ礼を言う。
「ジョルジュのお陰で、ルイーズと仲直り出来たし、授業も面白くなって来たの……ありがとう」
「いやいや、俺、何もしてないよ。身の上を話して、アンナの話を聞いただけだから」
そんなジョルジュへ、アンナは熱い眼差しを送って来る。
「ううん……私、ジョルジュに会いたかった……ねぇ、あれからジョルジュはどうしていたの? 良かったら聞かせて」
「ええっと……俺は」
ジョルジュは、ルウに将来の事を相談し、魔法鑑定士になりたいと伝え、励まして貰った事。
才能があると認めて貰った事。
早速、懇意にしている商会で訓練をして来た事を告げたのである。
ジョルジュの前向きな姿勢と行動力の良さに、アンナは自分の事のように嬉しくなる。
「偉いわ! 頑張ってね、ジョルジュ」
「ええっと……アンナ」
褒められたジョルジュは、何故か「もじもじ」し、口籠った。
何とか、勇気を振り絞ったという雰囲気だ。
「???」
不思議そうに首を傾げたアンナは、すぐハッとした。
ジョルジュが、包装された小さな箱を、テーブルの上へ置いたからである。
「俺さ、君のお陰で勇気と張り合いが出た。だから……お礼をしたいんだ」
「え? お礼?」
「ああ、これ、俺が鑑定魔法の訓練で初めて価値を見た品物なんだ。……君に贈りたい」
「え? そんな大事な物を私に?」
「うん! アンナにぜひ! プレゼントしたい!」
ジョルジュの力強い言葉を聞き、アンナの心は歓びに満ちる。
「う、嬉しい! あ、開けて良いの?」
「どうぞ!」
アンナが慎重に包み紙を外し、箱の蓋を開けると……
中身はお洒落な菫青石のアミュレットであった。
「わぁ、素敵! つけてみても良い?」
アミュレットは、ペンダント型である。
早速、アンナは首から提げてみる。
青みを帯びた小ぶりの菫青石は、アンナの白い肌に良く映えた。
「に、似合う?」
「あ、ああ、とても似合う!」
「あ、ありがとう!」
「アンナ、ええっと」
ジョルジュは、また口籠った。
「…………」
アンナももう、首を傾げたりはしない。
貴金属のプレゼント……
この流れで、次に男性がとる行動は……ほぼ予測出来る。
そして案の定、
「君は……お、俺には勿体ない女性だけど……か、彼女になってくれないか」
ジョルジュの顔は、凄く赤い。
アンナには良く分かる。
彼はとても真剣だと。
愛を告げられたアンナは、とても嬉しくなり、
「こちらこそ! 喜んで!」
と、大きな声で返事をしていたのであった。
いつもお読み頂きありがとうございます!
明日22日も特別閑話をお送り致します。
なお、本日21日も
『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』
https://ncode.syosetu.com/n4411ea/
『子供達と旅に出よう編』を更新しております。
こちらもぜひお楽しみ下さい!
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