第1,024話 「叶わぬ恋に落ちて⑯」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』第4巻の発売日が、
7月21日予定となりました!
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※店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
ラミアは、吃驚した。
何故、ニンフ達が泣いているのかと?
訝し気な表情をするラミアへ、ルウは言う。
『悪いが……』
『???』
ルウは何故、いきなり謝るのだろう?
ラミアは益々、不可解となる。
その理由は……
『ラミア……お前の心を、直接覗かせて貰った。俺達3人で全て見せて貰ったんだ』
心を……全て!
の、覗かれた!?
何て事をするの!
喜びも、悲しみも、心地良さも、そして苦痛も……
自分の全てが!?
他人に……知られてしまった!
だから、ニンフ達は泣いていたのだ。
呪われた自分の境遇を知って、哀れんで……
思わず、ラミアの気持ちが昂る。
『な!?』
『これまでの経緯と事情は良く分かった。俺は今迄、間接的にしか聞いていなかったからな』
淡々と話すルウへ、ラミアは叫ぶ。
『ひ、酷い! 勝手に私の心を盗み見るなんて!』
『……済まない』
ルウが頭を下げるが、ラミアは益々激高する。
『済まないって、そんな! 何の関係もないあなた達が、私の心に、理由もなく踏み込むなど! あ、謝っても許せませんっ!』
怒鳴りながら、ラミアは不思議であった。
先ほども、今も、ついむきになって、ルウへ思い切り怒鳴ってしまった……
何故、こんなに怒りが湧くのだろうと。
もう、私には絶望しかない……
何も残っていない。
そう言い切った筈だ。
思いながら、ラミアは再びルウの穏やかな顔を見る。
エレナ、リゼッタの涙にまみれる顔を見る。
3人は、じっと怒鳴るラミアを見つめていた……
ラミアは、再び考える。
何故、自分に構うのだろうと。
そして己自身の矛盾も感じる……
自分が全てを失い、もしも絶望しかないのであれば……
全てにおいて、無関心な筈だ。
助けると言われても、無視して聞き流せば良い。
心を覗かれても、逆にさらけ出せば良い。
だが、こんなにむきになり、怒りに任せて叫んでしまうなんて。
何故?
何故なのだろう?
『…………』
自問自答したラミアは、己の矛盾に気付き、黙り込んでしまった。
そんなラミアへ、ルウは尋ねる。
『ラミア、何故このふたりが泣いているのか、分かるか?』
『…………』
ルウの質問に対し、ラミアは答えなかった。
黙って、唇を噛み締めている。
『そして何故、俺達がここに、こうして居るのか? 考えてみてくれ』
『…………』
そうだ!
言われてみて、ラミアは改めて思う。
何故ルウが、自分の目の前に居る?
考えてみれば、不思議だ。
良く、ここまで来れたと思う。
残滓とはいえ、女神の魂を容易く退けたから、ルウはとんでもない力を持つとは思う。
だが……
いくつもの怖ろしい罠があった筈。
ヒュドラを始めとした、死を呼ぶ脅威も。
……それらを突破して、命の危険を冒してまで、自分の下へやって来たのは何故?
少し考えたら……ラミアには何となく分かった。
『…………』
しかし、ラミアには答えられない。
また、答えたくもなかった。
そんなラミアの気持ちも、ルウにはお見通しのようである。
『ラミア、お前は俺の魔法で、エレナとリゼッタの過去を見ただろう……』
『…………』
『エレナ達は……お前と全く同じだ。さしたる理由もなく、あの女神に虐げられ、貶められ……』
『…………』
『ニンフのふたりには、ラミア、お前の気持ちが良く分かるから』
『…………』
確かにそうだ。
ラミアにだって、ニンフ達の気持ちが良く分かる。
不思議な事に、先ほどまで無関心だった心には、彼女達への同情の念が起こっていた。
つらつらと考えるラミアへ、ルウは淡々と語って行く。
『俺は……異界へ幽閉された自分のように、虐げられた者達を救いたい、というエレナの気持ちに賛同し、ここまで来た。そして、来て良かったという気持ちを、より一層強くした』
『…………』
『何故ならば……』
『…………』
『スフィンクスの呪いから解き放たれた、リゼッタの嬉しそうな笑顔を見たからだ』
『…………』
『俺とエレナに救われたリゼッタはもう囚われの身ではない。……新たな人生を歩む。やり直せる』
『…………』
やり直せる?
ずっと無言で……
ルウの話を聞いていたラミアは、大きく息を吐き……
首を横に振った。
確かにニンフ達は……やり直せるだろう。
もう彼女達を縛るものは、何もないのだから。
しかし自分は?
大神との、叶わぬ恋へ落ちたばかりに……
我が子を殺した自分は?
多くの子供達を喰い殺した自分は?
……無理だ。
とりかえしがつかない。
やり直す事など、到底出来ない……
本当は……天国に居るであろう、我が子の後を追いたい!
それが許されぬなら……
こんな自分など、世界から塵も残さず、消えて居なくなれば良い。
どうせ、罪深き私など忘れ去られた存在なのだから。
幽閉されてから、常にそう思っていた。
だが、女神の呪いにより、ラミアには自死さえも許されていない……
永久に葛藤と……時間だけがある。
と、その時!
助けて!
ママぁ!
助けてぇ!
『ええっ!!!』
突如、ラミアの心の中へ、幼い子供の泣き叫ぶ声が聞こえて来た。
ラミアは大きく目を見開く。
慌てて周囲を見渡したが……子供など居ない。
しかし!
またも、
た、助けてぇ!
怖いよぉ!
ママぁ、助けてぇ!
ラミアの心には、再び子供の声が、大きく大きく響いたのであった。
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※活動報告に『魔法女子学園の助っ人教師』第4巻の
カバーイラストをアップ致しました。
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