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第1,016話 「叶わぬ恋に落ちて⑧」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』第4巻の発売が決定致しました!

詳細は決まり次第お報せ致します。


書籍版をまだお読みではない方は、第1巻~3巻を宜しくお願い致します。

皆様が応援して下されば、更にまた『次』へと進む事が出来ます。

※店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。

 『肉声』で、大声をあげたエレナを見て、ルウが微笑む。

 そして『念話』で返事を戻して来る。


『エレナが俺を好き? ああ、俺も大好きだ』


 ルウが、エレナの事を大好き!?

 想定外の、『衝撃発言』を聞き、エレナが先ほど以上に大声で叫ぶ。

 さすがに今度は……念話だ。


『え、えええ~っ!?』


 だが、すぐ次に続いたルウの言葉は、エレナにとっては無情だった。


『当然さ! エレナは、もはやウチには欠かせない、大事な家族だから』


 家族!?

 家族……か……

 それって……単なる? 身内よね……


『は?』


 真っ白に、燃え尽きそうになったエレナを見て……

 慌てたリゼッタが、手を振り上げて抗議する。


『か、か、家族ってぇ!? そ、それは、ちょっと違うんじゃないですかぁ? ルウ様ぁ!』


『お、おお……』


 身を乗り出して向かって来た、リゼッタの鬼気迫る抗議。

 戸惑うルウを見たエレナが、今度は、


『い、いえ! 私は家族ですっ! ルウ様の仰る通り、家族なんですっ!』


 と、これまた大声でルウに同意した。


『え?』

 

 リゼッタは首を傾げた。

 元々、リゼッタは勘が鋭い。

 

 というか、エレナを見ただけですぐに分かる。

 ルウに対する態度で、誰にでも分かる。

 だからエレナが、自分は家族で良いと同意したのを聞き、怪訝な表情になる。


『エレナ? どうして?』


 リゼッタの不思議そうな眼差しには、「何故はっきり意思表示しないの?」という問いかけがはっきり表れていた。


 しかし、エレナは首を振る。


『私は、ルウ様の大事な家族! そう仰って頂いただけで凄く幸せです』


 きっぱり明言したエレナの言葉を聞き、ルウは優しく微笑む。


『エレナ、ありがとう!』


『は、はいっ!』 


『よし、じゃあ、ここで俺からふたりに相談だ』


 とりあえず……この件はここで終わりのようだ。

 ルウは、他に話があるらしい。


『相談?』


 と、エレナが言えば、リゼッタは首を傾げる。


『何でしょう? ルウ様』


 話しを聞く態勢に入ったふたりへルウは言う。


『先ほどのリゼッタの話で考えた。俺はこれから守護者ヒュドラと対峙するが、お前達に万が一の事があってはいけない』


 このまま行けば、ヒュドラとの戦いに巻き込まれるであろう、ふたりの妖精の身を心配するルウの心遣い。

 エレナとリゼッタは素直に喜びを感じる。


『あ、ありがとうございます』

『感謝致します、ルウ様』


『でだ。これからの事も考えた。エレナは家族として、これからもブランデルの屋敷で一緒に暮らすから良いとして……』


『…………』

『…………』


 エレナは家族。

 嬉しそうにルウを見つめるエレナの傍らで、リゼッタは何を言われるのかと、真剣な表情となった。


『うん! リゼッタには、とりあえずアヴァロンへ行って貰おうと思う。一旦、俺の屋敷に行って貰い、そこからな』


『アヴァロン!』

『アヴァロンって……?』


『以前、エレナを解放した時にも説明したが……南の神々が滅んでから……創世神は世界の妖精の統括を妖精王《オベロン》に命じた。その妖精王が治める国がアヴァロンなんだ』


 アヴァロンとは妖精の国……『リンゴの島』という意味である。

 何故妖精王が、自国をアヴァロンと名付けたのか、定かではない。

 

 だがルウは真相を知っていた。

 リンゴは『知恵の果実』という事にあやかったというのが、表向きの理由だが……

 ……本当は、妖精王が無類のリンゴ好きなのである。


 暇さえあれば、熟した紅いリンゴを頬張る妖精王の姿を想像したルウは僅かに微笑む。


『幸い俺は妖精王と面識があるし、嫁のひとりが、アリスといい、水の妖精(グウレイグ)だ。アリスに口利きをして貰えば、リゼッタを預ける事に支障はないと思う』


『…………』

『…………』


 エレナとリゼッタ、ふたりの南の国の妖精(ニンフ)、それぞれの表情は違う。

 相変わらずエレナは嬉しそうで、片やリゼッタは微妙な顔付きである。


 エレナの方は問題なしと判断したのであろう。

 ルウはリゼッタへ補足して、説明する。


『リゼッタ、お前は異形に変えられ、異界のこの神殿で永い時を過ごした。まだまだ心身共に傷ついている』


『…………』

『…………』


『まずはアヴァロンで静養する事を勧めるよ。どれくらいかかるかは分からないが、全ての傷が癒えた時、改めて身の振り方を考えれば良い』


『…………』

『私の…………身の振り方……』


『ああ、俺はまだ行った事がないから無責任な言い方で悪いが、アヴァロンの環境は抜群だとアリスからは聞いた』


『…………』

『…………』


『ふたりと同じ南の国の妖精(ニンフ)もたくさん暮らしているというし……寂しいという事はないと思う。今迄みたいに王から大変な仕事も課せられないだろう』


『…………』

『あ、ありがとうございます…………』


 今迄みたいに、とは……

 南の国の妖精(ニンフ)達は、上席にあたる神々の都合で、殺されたり、呪いを掛けられたりした……

 そんな束縛は一切なし、勝手な意思や都合で振り回されず、自由に生き生きと暮らせるという意味だ。


『……あの、ルウ様』


『何だい?』


『素晴らしいお話ですし、お言葉に甘えて、私はぜひアヴァロンへ行きたいと思います』


 リゼッタは……アヴァロン移住という、ルウの申し入れを受けるようだ。

 提案を快諾して貰ったルウも、優しく微笑む。


『おお、それは良かった。じゃあ、すぐエレナと一緒に屋敷へ戻ってくれるか』


『え? 今何と仰いました、ルウ様!』


 ここから、リゼッタと一緒に屋敷へ戻る!?

 

 思いがけないルウの言葉……

 自身の命を懸け、ルウの盾になるとまで、気持ちを固めていたエレナは混乱する。


『ああ、この広間までなら、結界が解けたから俺の転移魔法が使える。エレナはリゼッタを連れて王都の屋敷へ戻ってくれ』


『ええっ? ルウ様! 私は! そんなぁ!』


『お前の気持ちは凄く嬉しい。だが、ここまで来てくれただけで、充分だ』


『う、うう……』


 エレナの想いが強く強く噴き出している。

 だが、ルウの優しさは、逆にエレナの想いを跳ね返しているのだ。

 既に、エレナの目には、大粒の涙があふれていた。


 ルウは少し辛そうな表情になる。


『泣かないで聞いてくれ、エレナ。ヒュドラは危険だ。倒して、ラミアを解放したら戻るから、リゼッタと一緒に屋敷で待っていてくれ』


『…………』


リゼッタは、無言で嗚咽するエレナを見ていた。

と、いきなり手を挙げる。


『ルウ様! ちょっと宜しいですか?』


『ああ、何だい? リゼッタ』


『先ほどのお話ですが……私は! エレナも一緒に、アヴァロンへ連れて行きたいと思います!』


「は、はい~っ!?」


 リゼッタからの、エレナ同行の申し入れ!?

 何故?


 静まり返った神殿の大広間に、

 吃驚して思わず出たエレナの、『肉声』がまたも盛大に響いていたのであった。

いつもお読み頂きありがとうございます!

東導の別作品もお願いします。


☆『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』


『アンテナショップとお祭り編』連載中!


https://ncode.syosetu.com/n4411ea/


※殺伐とした都会に疲れ、幼い頃に離れた故郷へ帰ろうとした青年ケンは謎の死を遂げる。15歳の少年として未知の異世界へ転生したケンは、出会った美しい少女達と辺境の田舎村で心の拠り所を探し続ける。


※『魔法女子学園の助っ人教師』とは微妙に違う、

ヴァレンタイン王国における、のんびりスローライフな田舎ワールドです。


☆『真☆信長に学べ! 俺の異世界生き残りライフ』


https://ncode.syosetu.com/n4165cd/


※歴史オタクの気弱な中二病少年が異世界転生して、信長に?

※長らくお待たせしました。

連載再開です。

活動報告でお伝えした通り、大幅加筆修正しまして、第1話から差し替えとなっております。

前作がベースとなってはいますが、内容もある程度変わっております。

申し訳ありませんが、ご了解下さい。


両作品とも、本日6月4日朝に『更新』予定です。

何卒宜しくお願い致します。

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