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第1,006話 「マノンの超不機嫌②」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』第4巻の発売が決定致しました!

詳細は決まり次第お報せ致します。


書籍版をまだお読みではない方は、第1巻~3巻を宜しくお願い致します。

皆様が応援して下されば、更にまた『次』へと進む事が出来ます。

※店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。

 マノンの、超が付く不機嫌状態な中、ルウの授業は続いている。


「改めて言うぞ。魔法鑑定士とは、文字通り魔法を使って、商品を鑑定する仕事だ」


「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」


 ルウの言う事は、当たり前過ぎるくらいに当たり前である。

 だが、ひとりも茶々を入れる者は居ない。

 教室の一番前に陣取ったマノンが、冷え冷えとした『全てを凍てつかせる波動』を、周囲にバリバリ放っているからだ。


 むくれたマノンの態度を、ルウが気付かない筈はない。

 このままでは、授業に悪影響が出る事は必至だ。

 しかしルウは、注意するどころか、敢えてマノンを見ずに、授業を続ける。


「当然、鑑定魔法習得は必須だ。極められる最高レベルを目指すべきだ」


「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」


 生徒達は、相変わらず黙って聞いていた。

 と、ここでルウはある生徒を名指しする。


「ただ、魔法鑑定士には必要な物が他にふたつある。マノン、答えてくれるか」


 ルウが指名したのは、意外にもマノンであった。

 そのマノンはといえば……相変わらずの仏頂面だ。


「…………」


 呼ばれても、返事をしないマノンを、ルウは促す。


「マノン!」


「はい! 知識と鑑定眼です」


 ルウの強い声で促されたマノンは、やっと質問に答えた。

 果たして、正否は?


「正解だ。何故か、説明してくれ」


 ルウの言う通り、マノンの答えは……ズバリの正解であった。

 そして、更なる補足説明を、ルウは求めた。


 大好きなルウと一対一で話し、マノンの表情が、徐々に柔らかくなって来る。


「ええ、ルウ先生……分かりましたわ。魔法使いには各自の才能の差により、鑑定魔法の巧拙が、どうしても存在します。だが商品知識の深い蓄積は、本人の努力と経験次第なのです」


「正解だ、マノン。あとひとつの鑑定眼に関しては?」


「はい! 鑑定眼とは基本的に、知識に裏付けされた肉眼の視認や手を使う触感により、価値を見抜く能力です。こちらも天性の素質に左右される部分はありますが、知識と一緒で、経験により向上させる事が可能なのです」


「よし、じゃあ知識を得て、鑑定眼を磨く意味は?」


「はい! 極端な例えですが……もし鑑定魔法が著しく拙くても、魔法鑑定士として上を目指す事は出来ます」


「その通りだ。説明をしてくれ」


「了解です! 具体的にどうするのかといえば……知識と鑑定眼という、魔法とは相反する才能で補完すれば、鑑定魔法の才能に長けた者に、ひけを取らない可能性はあるのです」


「その通りだ」


「はい! つまり私達は、己の努力次第で、全員が上級の魔法鑑定士へと邁進する事が出来るのです」


「OK! 大が付く正解だな。皆、マノンが言う通り、魔法同様、知識と鑑定眼を身につけて行くように」


 ルウの話が終わると、やりとりを見守っていたオレリーが、いきなり立ち上がった。

 そして大きな音を立て、マノンへ拍手をしたのである。


 するとジョゼフィーヌと、リーリャも立ち上がり、拍手をした。

 終いにはクラスの者全員が、マノンへ拍手する。

 ルウとアドリーヌも同様に拍手をしていた。


 マノンの日頃の努力が垣間見える、素晴らしい解答を称えたのである。


 結局マノンは……大好きなルウと話せた上に、全員から褒められた。

 むくれていた『学年次席の美少女』は、すっかり機嫌を直したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 次にルウが話したのは、各自が扱う魔道具の範疇を絞る事だ。

 何でも鑑定出来る、知っている……

 オールマイティな魔法鑑定士……

 例えば、ルウのような……

 確かに、一見、格好よくは見える。


 しかし、言うは易く行うは難し。

 まず何でも識別出来るくらいなレベルの、超が付く、S級の魔法鑑定士になれるような高位魔法。

 習得する事は、困難というかほぼ不可能だ。


 ランクSのルウでさえ、鑑定をする際、全てを魔法で済ませているわけではない。

 実は、師シュルヴェステルから受け継いだ、ソウェルの知識等をフル活用しているのだ。


 更にルウは、魔法によりシュルヴェステルより前のソゥエルの『経験』も受け継いでいる。

 まあ、ルウの場合は特殊なケースだろう。

 では、ごくごく一般的な魔法使いの場合はどうするのか?


 以前ルウは、フランの弟ジョルジュへアドバイスした事がある。

 魔法使いにとって大事な心構えとは何ぞや? という問いかけをしたのだ。

 対して、ジョルジュの答えは『探究心と想像力』……であった。

 確かに正解ではある。

 だがルウは、「探究心と想像力の本当の意味を理解するように」と返したのである。


 残念ながら、当時のジョルジュはすぐに分からなかった。

 そこでルウは『好きなもの』だと告げたのである。

 好きなものを想像すれば、魔力は活性化すると。


 その際、ジョルジュが答えたのは……『豚肉』であった。

 美味しい豚肉が、ジョルジュは大好きだったから。

 様々な料理を思い浮かべ、ジョルジュはワクワクし、食べたいと欲し「楽しく」なったのである。


 ここまで言えば、理解出来るだろう。

 自分が好きで、一番興味があるものを、鑑定対象として優先すれば良い。

 まずは好きなものを優先して取り扱う、専門の魔法鑑定士を目指せば良いのだ。

 そこから、徐々に得意分野を広げて行けば可能性は広がるから。


 ちなみに、マノンの場合は……宝石ジェムである。


「前にも言ったが、好きなものを極めろ。但し器用貧乏になるなよ」


 以上でルウの『講義』は終わり。

 いよいよ、実践だ。


 こうして生徒達は……

 これまでのルウの授業と同じように、各自、自分の所属する班へと分かれたのであった。

いつもお読み頂きありがとうございます!


東導の別作品もお願いします。


☆『超イケメン魔王と相討ちになった、おっさん勇者は天界で二度目の転生を果たす!』


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本日4月30日朝、更新されています。

一気に読めます《プロローグ&28話です》


不器用社畜⇒最強勇者⇒モテ神様? おっさんの華麗なる転職!

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☆『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』連載中!

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☆5月3日より新パート開始予定です。


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※『魔法女子学園の助っ人教師』とは微妙に違う

ヴァレンタイン王国における、のんびりスローライフな田舎ワールドです。

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