第1,006話 「マノンの超不機嫌②」
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マノンの、超が付く不機嫌状態な中、ルウの授業は続いている。
「改めて言うぞ。魔法鑑定士とは、文字通り魔法を使って、商品を鑑定する仕事だ」
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
ルウの言う事は、当たり前過ぎるくらいに当たり前である。
だが、ひとりも茶々を入れる者は居ない。
教室の一番前に陣取ったマノンが、冷え冷えとした『全てを凍てつかせる波動』を、周囲にバリバリ放っているからだ。
むくれたマノンの態度を、ルウが気付かない筈はない。
このままでは、授業に悪影響が出る事は必至だ。
しかしルウは、注意するどころか、敢えてマノンを見ずに、授業を続ける。
「当然、鑑定魔法習得は必須だ。極められる最高レベルを目指すべきだ」
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
生徒達は、相変わらず黙って聞いていた。
と、ここでルウはある生徒を名指しする。
「ただ、魔法鑑定士には必要な物が他にふたつある。マノン、答えてくれるか」
ルウが指名したのは、意外にもマノンであった。
そのマノンはといえば……相変わらずの仏頂面だ。
「…………」
呼ばれても、返事をしないマノンを、ルウは促す。
「マノン!」
「はい! 知識と鑑定眼です」
ルウの強い声で促されたマノンは、やっと質問に答えた。
果たして、正否は?
「正解だ。何故か、説明してくれ」
ルウの言う通り、マノンの答えは……ズバリの正解であった。
そして、更なる補足説明を、ルウは求めた。
大好きなルウと一対一で話し、マノンの表情が、徐々に柔らかくなって来る。
「ええ、ルウ先生……分かりましたわ。魔法使いには各自の才能の差により、鑑定魔法の巧拙が、どうしても存在します。だが商品知識の深い蓄積は、本人の努力と経験次第なのです」
「正解だ、マノン。あとひとつの鑑定眼に関しては?」
「はい! 鑑定眼とは基本的に、知識に裏付けされた肉眼の視認や手を使う触感により、価値を見抜く能力です。こちらも天性の素質に左右される部分はありますが、知識と一緒で、経験により向上させる事が可能なのです」
「よし、じゃあ知識を得て、鑑定眼を磨く意味は?」
「はい! 極端な例えですが……もし鑑定魔法が著しく拙くても、魔法鑑定士として上を目指す事は出来ます」
「その通りだ。説明をしてくれ」
「了解です! 具体的にどうするのかといえば……知識と鑑定眼という、魔法とは相反する才能で補完すれば、鑑定魔法の才能に長けた者に、ひけを取らない可能性はあるのです」
「その通りだ」
「はい! つまり私達は、己の努力次第で、全員が上級の魔法鑑定士へと邁進する事が出来るのです」
「OK! 大が付く正解だな。皆、マノンが言う通り、魔法同様、知識と鑑定眼を身につけて行くように」
ルウの話が終わると、やりとりを見守っていたオレリーが、いきなり立ち上がった。
そして大きな音を立て、マノンへ拍手をしたのである。
するとジョゼフィーヌと、リーリャも立ち上がり、拍手をした。
終いにはクラスの者全員が、マノンへ拍手する。
ルウとアドリーヌも同様に拍手をしていた。
マノンの日頃の努力が垣間見える、素晴らしい解答を称えたのである。
結局マノンは……大好きなルウと話せた上に、全員から褒められた。
むくれていた『学年次席の美少女』は、すっかり機嫌を直したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
次にルウが話したのは、各自が扱う魔道具の範疇を絞る事だ。
何でも鑑定出来る、知っている……
オールマイティな魔法鑑定士……
例えば、ルウのような……
確かに、一見、格好よくは見える。
しかし、言うは易く行うは難し。
まず何でも識別出来るくらいなレベルの、超が付く、S級の魔法鑑定士になれるような高位魔法。
習得する事は、困難というかほぼ不可能だ。
ランクSのルウでさえ、鑑定をする際、全てを魔法で済ませているわけではない。
実は、師シュルヴェステルから受け継いだ、ソウェルの知識等をフル活用しているのだ。
更にルウは、魔法によりシュルヴェステルより前のソゥエルの『経験』も受け継いでいる。
まあ、ルウの場合は特殊なケースだろう。
では、ごくごく一般的な魔法使いの場合はどうするのか?
以前ルウは、フランの弟ジョルジュへアドバイスした事がある。
魔法使いにとって大事な心構えとは何ぞや? という問いかけをしたのだ。
対して、ジョルジュの答えは『探究心と想像力』……であった。
確かに正解ではある。
だがルウは、「探究心と想像力の本当の意味を理解するように」と返したのである。
残念ながら、当時のジョルジュはすぐに分からなかった。
そこでルウは『好きなもの』だと告げたのである。
好きなものを想像すれば、魔力は活性化すると。
その際、ジョルジュが答えたのは……『豚肉』であった。
美味しい豚肉が、ジョルジュは大好きだったから。
様々な料理を思い浮かべ、ジョルジュはワクワクし、食べたいと欲し「楽しく」なったのである。
ここまで言えば、理解出来るだろう。
自分が好きで、一番興味があるものを、鑑定対象として優先すれば良い。
まずは好きなものを優先して取り扱う、専門の魔法鑑定士を目指せば良いのだ。
そこから、徐々に得意分野を広げて行けば可能性は広がるから。
ちなみに、マノンの場合は……宝石である。
「前にも言ったが、好きなものを極めろ。但し器用貧乏になるなよ」
以上でルウの『講義』は終わり。
いよいよ、実践だ。
こうして生徒達は……
これまでのルウの授業と同じように、各自、自分の所属する班へと分かれたのであった。
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※『魔法女子学園の助っ人教師』とは微妙に違う
ヴァレンタイン王国における、のんびりスローライフな田舎ワールドです。




