第1,003話 「ステファニーの独立宣言②」
愛読者の皆様!
『魔法女子学園の助っ人教師』第4巻の発売が決定致しました!
詳細は決まり次第お報せ致します。
書籍版をまだお読みではない方は、第1巻~3巻を宜しくお願い致します。
皆様が応援して下されば、更にまた『次』へと進む事が出来ます。
※店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。
部屋に入り、入り口付近で立つステファニーへ。
「遠慮するなよ」と言うように、ルウは大きく手招きする。
「おお、良く来てくれたな、まあ気楽に座ってくれ」
しかし完全に『嫁』モードへ入っているステファニーは、すぐに献身スキルを発動した。
実はステファニーが夏休みの間に、マノン達へ決定的な差を付けようと、修行したのは魔法だけではなかった。
密かに、家事も猛特訓したのだ。
まずルウの妻達の中では、家庭的な?オレリーに目を付け、綿密に取材を敢行。
いろいろと聞き込みをして、女子力を上げる為には、料理を完全習得しようと目論んだのである。
ルウの好物メニューのデータ収集をすると、自宅では料理長へこっそり声を掛け、研鑽を積んだ。
当然ながら、「アニエスには絶対に内緒だ!」と料理長へは厳命済み。
その結果、めでたく努力は実った。
現時点で、いくつかの簡単な料理は作れるし、お茶を淹れるなどはもう、朝飯前なのである。
「これは絶好のチャンス!」とばかりに、目をキラキラさせるステファニー。
「ルウ先生、私、何かお手伝いする事はありますかっ」
「いやいや、大丈夫。今日は時間が微妙だから、悪いがお茶だけさ。ハーブティで良いよな?」
「はいっ! もう、夕方の4時ですものねっ」
ルウはステファニーに、長椅子へ座るよう勧めると、自分は研究室備え付けの小さな厨房でお湯を沸かした。
そして手早くお茶の準備をすると、カップに良い香りのするハーブティを注ぎ、運んで来た。
ルウが向かい側のソファに座り、ステファニーと向かい合う形となる。
「ステファニー、今日は授業を良く頑張ったな」
「はいっ! 先生、あの魔球って、凄く楽しかったです。何か、先生と一体になったみたいで」
「おお、そうだな。ああやってキャッチボールをやっていると、どんどん親近感が増して来るよな」
「はいっ! ルウ先生と直接キャッチボールをやるなんてと、マノンさん達に羨ましがれましたっ!」
ルウと親近感が増す……
恋する乙女ステファニーにとっては、夢のような言葉である。
そして今は、ルウとふたりっきり。
ステファニーの目の、キラキラ感が激しさを更に増す。
しかしルウは、
「ははは、あんな事なら、いつでも誰とでもOKさ」
「あんな事? いつでも誰とでもって! ……う~っ……ほ、本当はっ」
「本当は?」
「な、何でもありませんっ……ううう」
本当は、本当はっ! ルウ先生!
私だけと、キャッチボールをやって欲しいのっ!
喉まで出た、おねだりの言葉。
そう言い掛けたステファニーだったが、さすがに勇気がなく、犬のように唸ってしまった。
「さて、今日の本題に入ろうか?」
話が「がらり」と変わる予感。
一体、何だろう?
「ほ、本題?」
ステファニーは思わず「ごくり」と唾を呑み込んだ。
いよいよ来る!
本題!
もしかして……この私を!
ステファニー・ブレヴァルを!
先生の!
ルウ先生の、お嫁さんに欲しいとか言う?
私との結婚を本気で考えているとか?
そういう『本題』希望!
すっごく希望!!!
先生、お願い!
頼むから、言って、そう言って下さぁい!
言えったらぁ!!!
キラキラな目が、ギラギラに変わり……
食い入るように、ルウを見つめるステファニー。
恋する乙女の、とんでもなく熱い波動が伝わっている筈だ。
しかし、当のルウは知ってか知らずか……
「うん! 本題というのは、お前にアドバイスをしようと思ってな」
大いに期待をしていた『結婚』という言葉が聞けず「がくん」とずっこける、ステファニー。
しかし何か、素晴らしい言葉を聞いたような気がする……
気力を振り絞り、ステファニーは思いっきり身を乗り出した。
「は? い、今何と仰いました? ア、何とかって、もう一回仰って下さいっ!」
「うん! アドバイスだが」
アドバイス?
一体何の?
疑問に思ったステファニーだが、ここはスルーする事に決めた。
つまり聞こえないふりをする。
何とかルウを『誘導』し、言質を取ろうとあがく、あがく。
「ア、アドバイスぅ? ルウ先生、それアイラブユーとかじゃなくて? ジュテームでも良いんですがっ!」
「いや、悪いが違うぞ」
最終確認もあえなく撃沈……
さすがに、ステファニーは無言で俯いてしまう。
表情に力がない……
「…………」
しかしルウは、そんなステファニーの落ち込みを、華麗にスルー。
話は更に、続いていた。
「お前の学ぶ環境に関して、アドバイスしたいんだ。以前、初めて会った時、クラス違いと時間の問題があって、相談出来ないと断っただろう?」
「…………」
「今回は、お前の担任のリリアーヌ先生にもちゃんと許可を取った。だから全く問題ない。でも聞きたくないのかな、俺のアドバイス」
「え?」
「何か嫌そうだな、まあ結局は私見だから、余計なお節介になる可能性もあるけど……」
「い、いえ! ぜひお聞きしたいですっ! 先生のアドバイスっ」
ステファニーは大きな声で叫ぶと、脱力して「ふっ」と笑ってしまった。
苦笑いといって良い。
もう、この人は……
私が、こんなに「好きだ!」って、分かっているでしょうに……
でも……
凄く、私の事心配してくれているみたいだし……
前向きに……考えよう。
気持ちを切り替えたステファニーは、すぐに「にっこり」笑ったのである。
いつもお読み頂きありがとうございます!
東導の別作品もお願いします。
新作も投下しました!
※新作です!
☆『超イケメン魔王と相討ちになった、おっさん勇者は天界で二度目の転生を果たす!』
https://ncode.syosetu.com/n8164er/
本日4月20日朝、更新予定です。
一気に読めます《プロローグ&18話です》
不器用社畜⇒最強勇者⇒モテ神様? おっさんの華麗なる転職!
社畜だった41歳の『リーマンおっさん』が異世界で勇者になり、更に天界で神様になってしまうお話です。
※こちらは新パートのプロット考案中です。
☆『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』連載中!
https://ncode.syosetu.com/n4411ea/
※『魔法女子学園の助っ人教師』とは微妙に違う
ヴァレンタイン王国における、のんびりスローライフな田舎ワールドです。




