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Sweet voice 番外編  作者: 雛苺
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My cute friend

里絵さん視点のお話です。

同僚で仲のいい桜庭穂乃花は、同性のわたしから見ても可愛くて、守ってあげたくなるタイプの女の子。


派遣先のコールセンターでも、けっこう人気がある。本人は気づいてないけど、ちらちらと彼女を見ている男性社員いるし、ランチや飲みに誘う男性社員もいる。


誘われても、穂乃花は全部やんわり断ってるけど。


仕事帰り、会社近くのコーヒーショップで、わたしはラテ、穂乃花はキャラメルマキアートを飲みつつなんで断るのか訊いてみると、「雰囲気が怖い」らしい。誘う方は同じ派遣や、派遣先の社員関係なく、カワイイ系や爽やか系のイケメン、時々フツメン、といった感じ。


「具体的には?」


と訊けば、


「なんか、強引というか押しが強いというか……」


とのこと。


穂乃花は人気があるから必死になるのはわかるけど、怖がらせたら意味ないでしょ。男ども。


「それに、誘うならあたしじゃなくて、もっと綺麗な人を誘えばいいのに」


本人は人気があるの知らないからなー。確かに綺麗な人はいる。でも、綺麗だけど仕事よりも男を漁りに来ているんじゃないかっていう人もいるからねぇ。


穂乃花は仕事が丁寧で早いし、手抜きをしない。でも、「私仕事ができるんです」って自慢するわけでもなく、謙虚で癒し系だから、男性受けがいい。


だから人気あるんだけどね。


「どうしても断れないときは?」


「あー……、なぜか坂上さんが断ってくれてる」


あぁ。坂上さんも穂乃花狙いだっけ。他の男に取られないよう牽制してるのね。


「その坂上さんからは誘われたことないの?」


「ないけど……。どうして?」


「んー、ただ訊いてみただけ。とくに深い意味はないから気にしないで」


「もぅ、余計気になるでしょ」


うん、むっとしてる穂乃花の顔も可愛いから。


「ホント意味ないってー」


あははは、と笑ってとりあえず誤魔化しておこう。


「………わかった。これ以上は訊かない」


そっかー、坂上さん誘ってないんだ。他を牽制しつつタイミングを図っているんだろうけど、坂上さんってイケメンで仕事ができるSVだから男女問わず人気があるんだよねぇ。だから、お誘いも多い。男女比で言えば女性(主に肉食系)の方が多いけど。


その為、穂乃花を誘えないでいる、と。


だけど坂上さんのことを話しても、とくに気にした様子もないみたいだし、坂上さん、脈ないな。


坂上さんが、穂乃花のこと気になっているってことは黙っていよう。




◇◆◇◆◇◆




穂乃花に、彼氏ができた。なんでも、一目惚れされたらしい。しかもデートの約束までしてる。


彼女を狙ってた男どもは残念だったねぇ。彼氏がいるのか、訊かれたこともあると話せば、知らなかったと言う。


やっぱり気づいていなかったのね。


穂乃花に一目惚れした相手の見た目を訊いてみると、ハーフだとか。


………羨ましい。


まぁ、穂乃花は可愛いから一目惚れされるのは有り得ること。逆に、穂乃花も相手に一目惚れしたのには驚いたけど。


好みのタイプだったのかな。


名前は、神崎ノエルさんというらしい。「ノエルなんて、女の人の名前みたい」と言うと、穂乃花もその名前を聞いたことがあるらしく、スマートフォンで彼女の好きなブランドのホームページを確認している。


確認した結果、そのブランドのデザイナーであり、社長かもしれないということに。


そのことが気になった穂乃花は、本人に確認できないまま、ずっと悩んでいた。


仕事でもいつもはしないミスが多くなり、SVの坂上さんも心配していて、相談にのると言ったみたい 。


「そういえば、坂上さんも穂乃花のこと気になってるみたいって聞いたよ?」


あ、黙っていようと思ったのに、つい言っちゃった。でも彼女は、そのことも知らなかったみたいで、


「……そんなこと、あるわけないでしょ」


と、言って信じてくれなかった。


………坂上さん、残念だったね。


それはさておき、社員食堂で昼食を食べつつ穂乃花に彼氏とどうなっているのか訊いてみる。


「ところで、彼氏とはどうなってんの?」


「どうって……まだ訊けてない…」


まだ訊けていなかったんだ。


「まだって……。連絡、とってないの?」


「うん…。なんだか気後れしちゃって」


相手は社長かもしれない人。穂乃花は謙虚な子だから、気後れするのもわかる。でも。


「そろそろ連絡とらないと…。明後日でしょ、デート」


「そうだね…。うん、今日帰るときメールしてみる」


「坂上さんはどうする?」


絶対穂乃花を追いかけるよね。


「坂上さんには申し訳ないけど、早く帰りたいから捕まらないように帰る」


「分かった。なんか言って引き止めとく」


────とは言ったものの。


引き止めようとして、仕事の話をしに坂上さんのところへ向ったけど、時すでに遅し。坂上さんは穂乃花を追いかけた後だった。


引き止められなくてごめん、穂乃花。




◇◆◇◆◇◆




その後、悩みは無事解決できたらしく、彼氏とデートを楽しめたみたい。


穂乃花がデートに行った日の翌日。


朝、ロッカールームで制服に着替えていると、穂乃花が出勤して来た。


「おはよー、穂乃花」


「おはよう、里絵」


隣で着替える穂乃花をなんとなく見ていたら、右手薬指にキラリと光るモノが。


────ダイヤ、かな。


この職場は、アクセサリーを特に禁止していない。まあ、ものすごく派手な物や、華美な物、ごつい物とかはさすがにNGだけど。


「その指輪、彼氏に買って貰ったの?」


とニヤニヤしながら訊けば、


「………うん。ちょっと遅いけど、誕生日プレゼントって」


と照れながら答えた。


「誕生日は先月だけど、それでも買ってあげたかったんだねぇ。愛されてるね、穂乃花」


「!!」


あ。耳まで赤くなった。


「それ、ダイヤでしょ?リングの部分はホワイトゴールドかな」


「うん………。そう、だよ」


彼女がしているのは、小さめのダイヤの両脇に、さらに小さなダイヤが一つずつ付いたホワイトゴールドの指輪。


シンプルだけど、可愛いデザインで穂乃花に似合っている。国内で有名なブランドの指輪だし、ダイヤにホワイトゴールドだから、それなりに値段はしたと思う。


誕生日プレゼントでコレだと、婚約指輪とかになったら海外のハイブランドの指輪になりそう。


「ダイヤの指輪をプレゼントしてくれたってことは、虫除けにもなるから、かなー」


小さく呟いたつもりだけど、穂乃花には聞こえたみたいで。


「うん、虫除けって……。なんでわかったの?」


「あ、やっぱり虫除けも兼ねてるのね。だってダイヤだし、他の男への牽制でしょ。愛を通り越して溺愛だね」


今度はポンッと音かしそうなくらい、首まで真っ赤になった穂乃花。


そんな彼女が可愛くて。


彼氏に溺愛されるのも無理ないと思った。






久しぶりの番外編でした(・ω・;)

里絵さん視点のお話で、本編の補足的お話になればいいなσ(^_^;)

お読み頂けたら幸いです。

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