七日目・「お前、人間かよ……」
「あれはさー」
それなりに時間はたったと思うのだが奴は相変わらず俺で遊んでいた。
他の奴らにすごく憐みの目で見られているのだが少しぐらい助けてくれてもいいじゃないか。
「当の昔に純潔なんざ捨てているんだぜ? 最初が誰かまでは知らないけど」
無邪気だ。悪い意味で子供じみている。
誰にだって経験はあっただろう、虫をつぶし、羽をもぎ、水に溺れさせた幼少時代。
そのころの残虐さを保ったまま大人にしたような、悪質すぎる存在。
こんなのが子育てなんかできるはずない。
「…それがなんだ。何度も言うが、俺はあいつの体目当てに近寄ったわけでもねぇぞ」
「ふーん。おれは最初見た時から体目当てだったんだけどねぇ」
最悪な野郎だった。今更か。
「だってあれは女だよ。少女だよ。一度や二度はあの体を欲しいとは思わなかった?」
「あんな青臭いガキに欲情なんざおこすかよ。てめぇはロリコンがぶぉ」
脳天かかと落としを決められた。
これ頭蓋骨骨折していないだろうな。たんこぶぐらいならまだいいほうだが。
あ、でも視覚野のある後頭部ど真ん中いかれても目が見えるから大丈夫。そう思わないとやっていけません。
「好きになった女に年齢は関係ないみたいなー?」
なにをいっているのかさっぱりわからない。
でも俺も六歳下を好きになったりしたからあんまり人のことを――いや、冷静に考えれば明日香が事件当時に高校生なら、関係があったのはそれよりも前のはずで。やっぱりダメだわロリコンだわ。
「今ならもう少しいい反応見せてくれるのかな。ねえ、どう思う?」
「娘、じゃないのか。身内だろ。体を重ねあうことを気持ち悪いと思わないのか」
「答えろよ」
今度は肩をけられた。
本当に精神レベルがガキだな。ガキ大将も真っ青だろ。
「思わないからしているに決まってんじゃん。馬鹿なの?」
馬鹿はどっちだと言いかけてやめる。何言っても暴力降ってくるだけだ。
あ、これわりと洗脳に近いかもしれない。
こうやって徐々に発言することがなくなっていきそうだ。気をつけないと。
「お前、人間かよ……」
「人間だよ? それ以上でもそれ以下でもない」
にこにこと気持ちの悪い笑みを浮かべて奴は言う。
仮面をかぶっているようにも見えて、気持ちが悪かった。
「でも、娘は人間じゃない。お人形さん。そう仕立て上げた」
頭の中心が真っ白になり、次の瞬間には赤色へ埋め尽くされた。
自分が怒っているのだと気付くのには少しばかり時間がかかった。
内容が内容なのでドンびかれてそうで心配です