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四日目・彼と取り引きの結果

道連れを増やし私たちはまだ森をかけていた。

初老の男性の体力が並じゃない。なんだ人肉パワーか。嫌だな。


幸か不幸かここまで誰とも遭遇せずに済んでいる。

というか、こんなんで更に別の人間にあったら笑うしかないか。

どれだけついていなければ気が済むんだって話だ。


「小僧、確か猟銃だったか持っていたよな!」


おじさんが走りつつお兄さんに問いかける。

それよりおじさん息切れしないんだけど。どんな鍛え方してるんだろう。

私たちはもう息も絶え絶えなのに。


ちなみに、このお兄さんは一度私を助けてくれた人だ。だがこの状況でお礼をいう程バカではない。

お兄さんは少し躊躇ったあとに首を縦に振った。躊躇う気持ちはよく分かる。


今は手に持ってないから、背負っている細長い袋の中身が多分それなのだろう。


「今すぐ使えるか?」


「袋から、出さないと、ダメです!」


おじさんが舌打ちした。

どうやら流れ的に初老の男性をお兄さんの銃で撃たせたいらしい。

なるほど、遠距離攻撃がこの場合有効的だ。


「何発あるんだ」


「残り二発です!」


「及第点だーー小僧、人は撃てるか」


お兄さんは一拍無言になった。

何かを思案しているようだ。


「行けます。ただーーあなた方が時間を稼いでください」


それは、交渉だった。

利害の一致を求めているのだ。止めたいのならばお前らも協力してくれと。


「よし分かった! 明日香、時間稼ぎをしよう!」


私も強制参加させられていた。


「でも、どうやって? 相手は鉈ですよ」


「考えろ」


もう生け贄にしちゃおうかなぁこの人。

そんなことしたらややこしい事態を招きそうだな。


私は立ち止まり素早く振り向く。

それからポケットのナイフを取り出してわずか十メートルほど近くにいる初老の男性に向かい投げた。

ヘロヘロの軌道を描いたそれはあっけなく地面に転がり落ちる、が効果は成した。初老の男性の足が一瞬止まったのだ。

すかさずおじさんは自分の靴を脱ぎ見事に男性の頭へクリーンヒットさせた。

さらにそれだけではあきたらずもう片方も投げた。またもやクリーンヒット。命中率いいな。野球選手か。


「……どけ!」


後ろでお兄さんが叫ぶ。準備が出来たらしい。

おじさんはその言葉を聞き、頷いて横に飛びのいた。

まるで、撃たれないと確信しているかのように。

どこからそんな自信が湧くのか。不思議だ。


初老の男性は投げつけられたダメージから立ち直り顔をあげた。

それから自分へ真っ直ぐ向けられた筒を見て口を開いた。


「耳を塞いで!」


お兄さんが叫ぶ。

直後に弾が発射された。


私たちの目の前でぱぁっと赤い花が咲いた。

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