九日目・俺と決戦会場 ■
見たことあるような、ないような。
始まりの場所はさほど記憶になかったので感動もしなかった。
記憶にないというか、あの時とは景色がまるっきり変わっているからそれもあるだろう。
砂浜にはゴロゴロと死体が転がり腐臭で溢れている。
真っ白な砂が血を吸い赤黒くなり、まさにここが地獄の一丁目と言う感じだ。
感覚がマヒしているとはいえ絶句しないわけにはいかなかった。
「うわ…」
あまりの凄惨さに明日香も声を上げる。
「まさに私が事件起こした時もこんな感じでした」
違った。懐かしさを感じていただけだったらしい。
高校で起こした事件に関してはこいつは淡白すぎる。
それも今更のことなので返事はせず、一番傍で死んでいる人間を調べる。
武器は折れたカッター一本だけだ。こいつも嵌められて流されてきたってやつじゃないだろうな…。
目についた人間の荷物を確認してみたが、食料といい武器といいめぼしいものは無くなっていた。どいつも同じことは考えるか。
「…私が混じっても違和感なさそうですね」
「ああー…」
血塗れだしな。
いざとなったら混じらせて俺だけ動くのもありか。
木を隠すなら森の中、だったか。この場合死体の中だが。嫌だな。
「おっ、ぞろぞろ馬鹿真面目に集まってきたぞ」
わりと近くにいたのだろうか。
合わなかったのは幸運だった。と、思ったが今ここで顔を合わせている時点で幸運が吹き飛ぶ。
もうすこしあたりを探りながら来ればよかった…。
「私たちも人のこと言えませんね」
「そうだな」
ぐうの音もでない正論にそれしか言えなかった。
どいつも一様にボロボロだ。
添え木をしているやつは珍しくもないし、明日香みたいに服が血で染められているのもいる。
本当にギリギリ生きているって感じだった。
明日香は熱心に姿を見せるほかの参加者たちを目で追う。
何かを探している?
一つ思い当たることがあり納得した。岡崎の仇を探していたのだ。
相手ももちろん明日香も(生きていたら)集まるのは分かっているはずなのでそうやすやすと出てくるかは疑問だった。
見える限り、砂浜に来たのは俺たちを含めて四人。
向こう側でさっそく争い始めているのがいる。こわ、近寄らないでおこ。
あとの三人はまだ到着していないか様子をうかがっているのだろう。
まあ七人全員を
【残り 八人】
さっそく誰かが雌雄を決したようだ。早すぎないか。そういうものだろうか。
もしかしたら俺たちが時間かけすぎなだけだという事もあり得そうなので考えないことにした。
即座に死亡判定が出るわけがないので腕時計を壊したか何かしたのだろう。念入りなことで。
…で。六人全員を相手取るわけではない。
不安要素しかないが、もうここまで来たならやるしかないだろう。なんでも。
明日香が無言で俺たちが出て来た場所を指をさす。
ゆらりと出てきたのは太い棒の先に刃物を括り付けた即席の槍を持っている男。
なるほど、自作したのか。武器を。
ふっつうにキッツいぞ、ああいうリーチが長い武器を相手にするの。