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人殺したちのコンクルージョン  作者: 赤柴紫織子
終わりに踏み込んだ後
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九日目・斜面 ■

 ややこしい事態になってきた。

 勘弁してくれ、疲労で頭の動きが鈍くなっているから同時進行でタスク処理ができないんだよ。

 挟み撃ちもいいところだ。


 ゾンビは言葉なんか通じそうじゃないし、ゾンビじゃないやつもぜんぜん話聞かなさそうだし、意思の疎通が非常に難しいことになっている。

 となるともう倒すしかないんだが、どちらか片方だけを相手していたらもう片方にボコボコにされるのは火を見るより明らかだ。


「なんか策は…」


 振り向いて岡崎が目に入った瞬間咄嗟に耳を塞いだ。


「てやぁっ!」


 気の抜けるような声と共に甲高い破裂音が響いた。

 鈍い音を立てて弾はゾンビのそばの木に衝突した。

 それでも足を緩めことはない。あの足を噛まれてもピクともしなかった狂犬と同じだ。むしろ人間のほうが驚いて足を止めた。

 ——威嚇すら通じないか。ああいう状態(元から人間だったかも疑問だが)になると知能レベル低くなるのか。いや、危機感が鈍重になる?


 改めて岡崎を見れば先ほど渡した拳銃が握られている。

 反動で落とさなかったのは猟銃撃っていたからだろう。


「…無駄、弾、でした?」


 恐る恐るといったように岡崎が聞いてくる。

 いや、と首を振った。

 今のでとりあえずタイミングはこちらが貰ったのだ。ここからなんらかの状況を動かさなくては。

 …なにをする?何も思いつかねえ。


「…どっちかもういきなり現われた落とし穴とかにはまってくれねえかな」


「そんな都合のいいこと起きないでしょう」


 ため息交じりに明日香が一刀両断した。

 そうだよなぁ。


「どうにかしてあのお二人をマッチング――わ、きゃあああぁああああああ!」


「え、あすかちゃ、うおわあああああああああ」


 ズルッと不吉な音の後に少女と青年の叫び声が響く。


 反射的に振り返ればさっきの急斜面に馬鹿二人が滑り台のごとく滑り落ちていっていた。

 草に足を取られたか、気付かず斜面に足を踏み込んでしまったか。

 考察は今はいい。茫然として、それから思わず叫ぶ。


「何やってんだお前らァァ!」


 都合が悪すぎるだろ!

 置いて行かれた!


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