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第3話

和人と会った翌日、いつもと何も変わりないというように和人からメールが届いた。

そして、そのメールの中には「昨日は会えて良かったよ。本当にすごく楽しかった」と書かれていた。

優理子は和人の思いが見えなくなっていたけれども「私も会えて良かったって思っています」と、書いて返事をした。

翌々日のメールには「また会ってくれるかな?」と書かれていた。

優理子は少し戸惑いながら「私もまた会いたいって思っています」と書いた。

さらに翌日のメールには「俺は優理子を好きになりかけてるかもしれない」と書かれていた。

優理子はその文字に少し違和感を抱きつつ「私もあなたの事を好きになりかけてます」と、遠慮がちに書いた。

けれども、それ以降、和人からのメールは来なくなった。

優理子は仕事から帰ってくるとすぐにメールをチェックするのだが、和人からのメールの返事はなく、夜にもう一度チェックし、夜中にも何度も気になってチェックしたりするようになっていた。

そのうち、もしかすると、和人の身に何かあったのかもしれないと考えるようになり、落ち着かなくなり、優理子は和人の返事を待たずに「ずっと返事がないですが、大丈夫ですか? 体調とか崩されてませんか? 元気ですか?」とだけ書いて、もう一度メールを送った。

和人からの返事は思いのほか早くその日のうちに届いた。

優理子は和人が元気なことに安心するとともに、少し不安も抱いた。

和人からの返事には、元気だという事と仕事が少し忙しかったという事が書かれていた。

けれども、今まではどんなに仕事が忙しくてもどんなに夜中になっても必ずメールをくれていたのだ。

そんな理由では、優理子の気持ちは納得がいかなかった。

優理子は何度も何度も考えてから「もしかすると私の事を嫌いになりましたか?」と書き、メールの一番最後に「近いうちにもう一度会って欲しいです」と書いて送った。

和人からの返事は翌々日に届いた。

「俺もすごく会いたいって思ってるよ。でも、だけど本当は会わないほうがいいのかもしれないとも思っている」と書かれていた。

優理子はなぜ和人がそういうのか疑問に感じながらも、それは自分達がメールを通して知り合ったからなのだと思っていた。

「会わないほうがいいなんて言わないで欲しいです。もし私に会いたくなくなってしまったのならば、私はもう二度とこんな事は言いません。でも、もしそうじゃないのならば、私はこれからも会って欲しいです。メールで知り合った関係だけれども、私はもっと仲良くなりたいです」

優理子はそこにありったけの想いを込めて、メールを送った。

それでも、和人からのメールの返事があいまいなら、もう諦めようと心に決めて…

やがて帰ってきた和人からの返事には、この週末にでも会いたいと書かれていた。

優理子は嬉しくなって、すぐにOKの返事を出した。


2回目の再会で、二人は迷う事なく、唇を重ねていた。

夜の海を見つめながら話しているうちに、会話が途切れ、互いの顔を見つめ合っているうちにそれとなく唇を重ねていた。

そして3回目のデートで、二人は親しい関係になった。

実際に会って3回目でそういう関係になるはそれは少し早いような気もする。

けれども、二人はその分メールで互いの気持ちを深めていたし、優理子もその事自体に何の迷いもなかった。

けれども、時折見せる和人の表情が優理子の心をつかんで離さなかった。

何かを迷っているような、悩んでいるような、和人はふとした時にそんな顔をよく見せた。

もちろん、和人自体、その事には気づいていないだろう。

けれども優理子はその事を見逃さなかった。

何度もどうしたのかと聞こうかと思ったりもしたけれども、喉まででかかったその言葉をその度に飲み込んだ。

なぜなら、まさか、彼に妻がいるとは思いもしなかったから…


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