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波乱の自己紹介

こっからの編集ミスかなり多めだと思うんですが、目をつぶるか指摘してくださるとありがたいです!!

「おまえは今日から、勇者だ。」

そうだ、この瞬間、俺の世界は180°変わったんだ。


 俺は今、教室の前にいる。でも、まだこの教室には入ったことがない。この学校、雷西学園は、ここ隔離都市四神街の西に存在する。まあ、これも聞いた話なのだが、この都市(まち)には、雷西のほかに、南、北、東、というように、それぞれ対立した学園があり、それぞれが、毎年秋に行われる区間戦争で勝つために、特別なメンバーを集めて育成するらしい。

 んで、ここがその一つ、西の育成所。というわけだ。俺はこの冬にここへ転校することになった。編入試験も普通レベル、実戦だって普通レベル。ついでに、顔も普通レベル。

これといって目立つところのない俺が、この学校で唯一、特別を名乗っていいのは・・・

そう、自分が”勇者”だということだけだ。

 (ガラッ)

 教室のドアが開けられた。

「天野、入っていいぞ。」

俺は教室に足を踏み入れた。

そして・・・。

一歩下がって、二歩下がって・・・。

「どうした、天野?」

っと、ここはしっかり第一印象をよくしなければ。

もう一度教室に入る。

今度は、さっきほどではなかった。

だが、やはりクラス全員の視線はかなりきついものだった。

「んじゃ、天野。テキトーに自己紹介な。」

適当ってオイ。教師が言っていいことじゃない気がするがまあそこはスルーだ。

第一印象、第一印象。そう自分に言い聞かせて、

天野(あまの) 剣斗(けんと)といいます。」

と、ここですでにクラスがざわつき始める。

(うわ…これは絶対違うな)

(てことは、他のクラスに取られたか…)

(あれがそうなわけないわ…)

なにがそうでないのかわからないが……一つ分かるのは、俺の名前がパッとしないってことくらいだ。

だが、ここからまた、クラスの反応が変わることなど、俺はまだ知ってるわけがなかった。

「……えっと、一応…勇者です……」

……少しの沈黙の後

一番前の席にいたやつが声を上げた。

「…マジ、かよ……」

そして他のやつらも

「うぉぉ!」

「やったぜー!」

「私たちのクラスだー!」

と、口々に喜びの声を上げている。

しかしそれはそう長く続かなかった。

「おまえら、一旦静かにしろ…。」

先生の声でみんなはまた静かになった。

「天野、自己紹介続けてくれ。」

なんなんだよこれ…。

なんでみんなは、入ってきた時からは想像もつかないような目で俺を見る!?

まあ、いいか。

「えっと、学科はメインがエレメントマスター」

みんなはさぞ顔の筋肉が柔らかいんだな…。

また表情変えやがった…。

今度は、驚きの表情かな。

だが、そんなことは関係ない。

「サブはまだ決まってません。」

ここから先は、俺自身も言おうか言うまいか迷った。

でも…言わなきゃ落ちつかねぇ…。

「得意魔法は、火炎術と…神術です。」

―――――――――――シーン――――――――――

「「「し、神術―――!?」」」

はは…

やっぱりそうかい…。

まあこれは予測していたんだが、結構照れるな…。

先生までが驚いてる。

確かにそれも無理はないんだが。

何しろ神術ってのは、その名の通り”神”の力を使うことができるんだから。

「まだ、来たばかりで此処のこともよくわからないから、最初は迷惑かけると思いますけど、よろしくお願いします。」

とまあ、適当に言ってれば、第一印象は“普通”として通るだろう…。

が…。

先生の一言で、その念願は叶わない。

「…えっと。じゃあみんな質問なんかあったら訊いていいぞ。」

さーて、ここで地獄の質問ターイム!

って、ほんとに地獄だよ…。

「じゃあ、えっと…その神術って…具体的にはどういう……」

って、初っ端からそこかよ……

それはラスボスだろーが。まあそこで終わってくれるならある意味ラッキーか…。

「先生、今ここで少し使ってもいいですか?危なくないのにするんで。」

そう、これが一番早い。耳で聞くより目で見ればわかるだろ。

「ああ、いいぞ」

「んじゃ、さっそく……」

クラスのみんなの目が期待の視線を送ってくる。

どうせカッコイイ呪文的なものを期待してんだろ…。

ま、そう思っててもないものはないんだけどねー。

「フェリス、出てきていいぞ…。」

ポンッ!

俺は相棒の名を呼び、手を前に突き出す。

そう、こんな簡単な動作だ。だが…。

俺の目の前には、人の顔一つ分くらいの小さなドラゴンが現れた。

「…」

だが今回はさっきよりもかなり早く、その沈黙は崩れる。

「ド……ドラゴン!?」

さっきの一番前の席のやつが、またも声を上げる。

他のやつらも驚愕の顔だ。

「剣斗、遅いよ呼ぶのが!あそこがどれだけつまんないか知ってるでしょ!!」

少し子供っぽい可愛い声で、そのドラゴン、フェリスはわめき散らす。

「仕方ないだろ、手続きなんかもあったんだから…。少々我慢しろっての。」

「剣斗のバカ!」

と、フェリスはそっぽ向いて言う。

こんな普通な会話なのだが、当然これもみんなの驚きの対象だ…。

「「「しゃべった――――!?」」」

「い…今、そのドラゴンしゃべったのか!?」

「ああ」

「なんでドラゴンがここにいるんだよ…。」

「そりゃまぁ。呼んだから。」

「どうやったらドラゴンなんか呼べんだよ…。」

「神術で。」

もう、めんどくさいから終わらせることにしよう…

「先生、もういいですか?」

「ああ。」

「あ、あとコイツ、出したままでいいですか?うるさいですが、黙らせとくんで。」

「まあ、邪魔にならないのなら。」

やっぱ、大人はいいねぇ。話が早くて済む。

「ちょっと剣斗、うるさいって何だよ!」

「そういうことだ。」

「ほんと、デリカシーがな」

「サイレント…」

「……………(いんだから)」

「……………(って、ちょっと。コレどうにかしてよ!)」

「黙るならいいぞ…」

「……………(わかったよ、黙ればいいんでしょ黙れば。)」

「ああ、黙ればいい。」

そういって俺はサイレントを解いてやる。

しかし

「剣斗!どういう」

「サイレント…。リミット30」

「……………(またやったな!?早く解けー)」

「30分は解けないぞ…。」


と、クラスがざわついてるうちに、俺とフェリスはしょーもない会話をしていて…。

かくして“地獄の自己紹介”は無事(じゃないかもしれないが)幕を閉じた。


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