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転生と転移の違いって浸透しないよね

異世界転生や異世界転移というものが流行らしい。


もちろん、その行為そのものではなく、

小説、アニメ、漫画などの話だ。


俺、盛岡(モリオカ) (ゼン)も、

少なからず、電子書籍アプリなどで読んだことがある程度には知っている。


大体の異世界転生というものが、トラックやバイク、電車に跳ねられたところで意識を失い、神や女神が現れてさまざまなチートを授けて、異世界に産み落としてくれるらしい。


そして異世界転移は、同じくトラックやその他乗り物に跳ねられそうになったところで…トラックの運転手って本当に可哀想だよな。

または、学校の授業中にクラスメイト、学校中、下校中の道で魔法陣が発動し、そのままの姿で、いつ付与されたかわからないチート能力を携えて、大体において王宮に「転移」される。


俺自身、もし「異世界転生」か、「異世界転移」どちらが良いかと言われると非常に悩ましいところではあるが、

実際、その場の流れに身を任せてしまうことになるのだろうから、考えたって仕方ないのではないか?


例えば、今は俺が通っている高校の授業中だ。

もしこれからどちらかが起きるというのなら、

それは異世界「転移」の方ではないだろうか?


それはそうだろう。

ここは4階だ。

トラックも、電車も、バイクもない。


教室だから、落下死する要素もない。

唯一あるあるな要素としては、不審者が授業中に乱入して、

それに刺されたり、撃たれたりするくらいだろうか?


よし、痛い要素は無理だから、俺は「転移」希望だ。

痛いことがないならそれに越したことはないだろう。


そんな現実にはあり得ない妄想を巡らせていた俺に。


ついにその時が現れた。


突如、地震が起きたと感じた。

しかし、緩やかな揺れではない、

建物が小刻みに揺れるようなものだ。

低い音を立てて、この場が揺れている。


周りのクラスメイト達は騒めき、教壇に立つ教師が机の下に入るように指示をしている。

俺もクラスメイト達に倣い、机の下に潜り込もうとしたその時 ー


教室の床が光輝きだした ー

まさかコレは、所謂魔法陣ってやつですか?

これから、異世界転移しちゃうのではないのですか?


「やっべぇぇぇぇ」

と、叫びたい気持ちを抑えながら、クラスメイト達が光に包まれていくのが視界に入っていく。


周囲の席のクラスメイトが全て消える。

俺も同様に光に包まれ始め、身を任せたが、何かがおかしい。

いや、何かが聞こえてくる。

高めの音で、聴き慣れている、なんだっけ、

そうクラクションのような ー


そこまで脳内に浮かんだ瞬間、窓側の席にいた俺は音のした方向を向く。

そこには、今まさにこの教室に突っ込もうとしている10tトラックの姿があったのだー


「ここは4階だぁぁぁぁぁぁあ!!!」


これがこの世界での断末魔になるとは、数秒前の俺には思いもしなかった。

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