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私が私を好きな理由  作者: 石ヶ谷 瑠依
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私は好きな物に囲まれる

私はケーキが好きだ。甘くてふわふわで。


私は読書が好きだ。非日常的な世界に連れていってくれるから。


私は学校が好きだ。勉強も楽しいし、友達も沢山いるから。


私は家族が好きだ。仲良よしで、笑顔に溢れてるから。


私は私が嫌いだ。理由はない。


3月、高校受験、特に夢もなかった私は中学の知り合いが比較的多くて、家から近い高校を受験した。頭もそれほど悪くなく、成績もよく、人付き合いも得意な私には受験なんて緊張する程でもなかった。

受験には合格し、4月、私は高校に入学した。

「千紘ちゃん!」

「姫乃ちゃん、おはよう」

村上(むらかみ) 姫乃(ひめの)は小中と同じ学校の同級生だ。

村上 姫乃は名前負けしないくらい美人で優しい。少し天然なところが可愛らしい。

私は村上 姫乃が好きだ。もちろん友達として。

「今日から高校生だね!」

「そうだね。姫乃ちゃんは何組だったの?」

「私はね〜3組!千紘ちゃんは?」

「残念。私は1組」

「そっか〜クラス別々だね!でも、仲良くしてね!」

「当たり前だよ。姫乃ちゃんは大親友なんだから!」

「私も!千紘ちゃん大好き!」

「ありがとう。じゃ私こっちだからまた帰りに」

「うん!またね。新しいクラス頑張って!」

村上 姫乃と別れて私は自分のクラスに向かった。

入学式の時に1度顔合わせはしているが、知ってる人は中学が同じだった人数名いる程度だった。今日は自己紹介をするらしい。

私は自己紹介が好きだ。そこで仲良くなれそうな人を見つけられるし、逆に仲良くなりたいって思ってもらえるチャンスだから。

扉を開けると既に数人クラスにいた。みな、はじめましてなのか誰も喋ってる人はいなかった。

私は佐々(ささき) 千紘(ちひろ)なので席は真ん中の方だ。

席につきカバンを片付けると後の席にいた男子生徒が話しかけてきた。

「あ、そのカバンに着いたキーホルダー僕も持ってる。」

と言いながら「ほら」と自分のカバンに着いた同じキーホルダーを見せてきた。

「私このキャラクター好きなんです。でもこれガチャガチャで出たやつで、本当は白色のピップルが欲しかったんです。」

ピップルと言ういろんな色のよく分からない生命体のキャラクター、マイナーで知ってる人はあまりいないと思っていたけどこんな近くにいたなんてびっくり。

私はピップルが好きだ。目がクリクリでふわふわでよく分からない生命でかわいいから。

「あ、白なら僕2つもってるかも明日持ってこようか?」

「え!ほんとに?嬉しいです。」

「いいよいいよ、2つもってても困るし、まぁ条件として白のピップルをカバンに着けて欲しいな」

「当たり前じゃないですか。」

「ふふっ、そっかそれなら良かった。」

「そういえば、君の名前は?僕は篠田(しのだ) 颯斗(はやと)

「私は佐々木 千紘です。よろしくお願いします。」

「じゃ佐々木さんよろしくね。あと敬語やめよ?同じクラスなんだから」

「わかった。よろしく篠田くん。」

「それでよし!」

篠田 颯斗とそんな話をしていると、いつの間にかクラスに人が増え、男性の先生が入ってきた。

「そろそろ席つけよ〜」

「今日は自己紹介してもらう。まずは俺からね」

「一年一組の担任、井上(いのうえ) (ただし)だよろしく。」

20代後半位の爽やかな先生だった。女子生徒が少しザワザワするくらいにはイケメンだった。

そして続々と自己紹介をしていき私の番になった。

「佐々木 千紘です。好きな物はピップル。休日はよく読書をしていて、好きな作家さんは朝日奈(あさひな) (めぐる)さんです。よろしくお願いします。」

私はクラスメイトが不快にならない程度の長さと、少し興味を持って貰えそうな趣味について話した。けれど、みな、自分の自己紹介で緊張しているのかあまり話を聞いていないようだった。けれど、たった2人だけは私の話を聞いてくれて頷いてくれた。1人は後ろの席の篠田 颯斗。そして2人目が

与一(よいち) (わたる)です。夢は弁護士。好きなことは料理。座右の銘は自分が自分を嫌うなです。」

私も私の自己紹介をちゃんと聞いてくれた与一 渉の自己紹介をしっかり聞き相手にちゃんと聞いていたよ。と分かるような拍手をした。きっと与一 渉とは仲良く出来そうだ。

自己紹介とホームルームが終わり、私は直ぐに与一 渉に話しかけに行った。

「はじめまして。与一くん、さっきの自己紹介聞いて仲良くなりたいなと思ったの。」

「はじめまして。佐々木さん、僕も君の自己紹介聞いていたよ。君に一つ質問なんだけどさ。」

「ん?どうしたの?」

「君って自分のこと嫌いだよね?」

見透かされたような瞳で見つめられ私の心がざわざわした。こんな目で見られるのもこんな質問をされるのもはじめてで戸惑う。

「それは、どうして?」

「君には君の色が見えないんだ。」

「色?」

「なんて言うんだろ。馬鹿にされるかもしれないけど、僕には人の色が見えるんだ。色によって性格が分かるんだ」

「オーラみたいな?」

「まぁ、それに近いようなものかな。例えばあそこにいる篠田颯斗くんは緑っぽい色をしている。」

「緑はどんな性格なの?」

「緑はザ・善人みたいな感じで、人のことを思って行動できる人なんだ。」

「確かに、彼はいい人だね。」

「他には井上先生。先生は青色だった。」

「青色はどんな性格?」

「青はクールで、自分の心に芯を持った真っ直ぐな人。」

「確かに、先生としてはとても素晴らしい色だね。」

「うん。そして君には色がない。僕も君みたいな人は初めて見た。」

「そうなんだね。確かに私は私が嫌い。」

「理由を聞いても?」

「理由はないの。ないけど嫌いなの。よく分からない。」

「そんなんだ。こんなことをゆうと失礼かもしれないけど、君には人間味を感じない。」

「ほんと失礼ね。そんなことを言ってきたのはあなたが初めてだよ。上手く隠してきたからね。」

「なんかごめんね。」

「大丈夫。でもあまり人に言わないでね。私は私以外のものは全部好きだから。嫌われたくないの。」

「そっか。」

「あ、でも1つ嫌いなものができた。」

「なに?」

「あなた。」

「理由を聞いても?」

「理由はないわ。それじゃ、そろそろ次の授業始まるから。」

「うん。またね。」

私は与一 渉が嫌い。理由はない。

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