7章 → 8章
―― ある美人姉妹の会話
「アメリア姉、久しぶりっ」
「む、メニルか、久しいな。まあ上がるといい。……ふむ、何か疲れた顔をしているが、旅の途中で何かあったか?」
「相変わらずその辺りは鋭いよね~。あっちの方は鈍いのに」
「その話は今は置け。で、何かあったのか? お前の手を煩わせるようなことがそうそう有るとは思えんが」
「ちょっと寄り道したら結構な事件に巻き込まれたのっ。聞いてよっ、ダンジョンよダンジョン! ダンジョンに潜って『厄災』の眷属と戦っちゃった!」
「待てメニル、いきなり何を言い出すかと思えば、それが本当の話であれば、軽々しく話していいものではなかろう」
「どうせアメリア姉にはすぐ知らされるでしょ、だからいいのっ。それでその眷属がいやらしい奴で、ちょっとピンチになっちゃったんだけど、一緒にダンジョンに潜ったハンターさんに助けられちゃった!」
「お前が危機に陥るなど信じられんが、『厄災』の眷属なら有り得るのか。そのハンターというのは……まさかクスノキか?」
「あっ、やっぱり知ってるんだ! あの人すごくない!?見たことない魔法はバンバン使うし、剣もクリステラと同等以上だし、眷属は一瞬で倒しちゃうし、メチャクチャヤバいんだけど!」
「……クスノキ、何をやっているんだ……」
「あれ、もしかしてアメリア姉結構仲いい感じ?」
「…………そうだな、知り合いではある」
「今の間がメチャクチャ怪しいんだけど?」
「は? いや別に……調査の同行や騎士団の訓練を依頼していて関係があるだけだ」
「ふぅ~ん。あ、それでね、ワタシ助けてもらったときにクスノキさんのモノにされちゃった。クリステラとネイミリアちゃんといっしょにねっ。あっ、ネイミリアちゃんも魔法すごいよね。ワタシのところに来てくれないかなあの娘」
「待て、今何と言った?」
「それと父上が、そろそろ結婚相手を連れてこいって言ってたっ」
「それはいい。それよりその前の……」
「なんかお隣のケルネイン子爵の息子が、相手がいないなら俺がもらってやるってうるさいんだって。だから誰でもいいから相手作っといた方がいいよっ」
「いやだから、そのモノになったというのはどういう――」