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月並みな人生を歩んでいたおっさんがゲーム的な異世界に飛ばされて思慮深く生きつつやっぱり無双したりする話  作者: 次佐 駆人


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7章 王門八極  07

さて、『操られた仲間と戦う』シチュエーションを解決する手段は、前世メディア作品群の知識からいくと以下のものが思いつく


1 愛と絆のパワーで精神支配を打ち破る


2 仲間の精神世界にダイブして精神世界内で解決を図る


3 元凶をさっさと倒す


1は却下だ。ネイミリアはともかく、今日会ったばかりの王門八極の2人とはさすがに絆と呼べるものはない。


2も却下。そもそもダイブできるスキルもないし、1人にダイブしてる間に残り2人に攻撃されてしまう。


となると3なんだが……多分それは正解じゃないという気がすごくする。


『精神支配』された状態で元凶が消滅すると、操られていた側の精神が崩壊するとか、そんな設定が多分あるのだ、こういうシチュエーションには。


とすれば……今思いつくのはこれしかない。


4 闇魔法を今取得して、敵から精神支配のコントロール権を奪い取る


突っ込みどころしかない、こんな展開少年マンガとかでやったら炎上確定の荒業である。


「しかし闇魔法ね……ふむ、『精神感応』とリンクさせれば上手くいくか……?」


困った時の超能力頼みだ。


「まずはネイミリアからにするか。精神支配……なんだろう、お前の心は俺のモノだ、俺に従え……みたいな感じか?」


ただの悪役のセリフだが……俺は『精神感応』に魔力を乗せて、ネイミリアに『俺のモノだ俺に従え』コールをひたすらに送った。


もちろん虚ろな表情で俺を攻撃してくる3人の魔法や剣撃を(しの)ぎながら、である。


電子音が何度か鳴り響く、間違いなく『闇属性魔法』取得の音だろう。


「私は師匠の物……師匠に従います」


ネイミリアが虚ろな表情のまま、不意に攻撃をやめた。


どうやら効果があったようだとインチキ能力に感謝していると、そこにクリステラ少年が切断スキル『羽切』を発動しながら斬りかかってくる。


俺は大剣の付与魔法を最大出力にして受け止め、鍔迫り合いをしつつ少年にも闇魔法を行使。


「ボクはクスノキの物……クスノキに従うよ……」


これであと一人……メニル嬢に目をやると、


「エターナルフレイム……!」


彼女は身長ほどもある杖を天上に掲げ、大規模魔法を放とうとしていた。


ボス部屋全体が途轍(とてつ)もない熱量に包まれる、その前に、


「フローズンワールドッ」


先日支部長が見せてくれた広範囲凍結魔法を全力で行使、大規模火炎魔法を相殺しつつ、メニル嬢の『精神支配』を上書きする。


「ワタシはクスノキさんの物……クスノキさんに従うわ……」


よし、これで解決だ。


目に光がない美少年美少女美女が棒立ちになっている絵面は解決からは程遠い気がするが……気のせいだと思いたい。


アビャビャビャッ!?


振り返ると、『悪神の眷属』が戸惑ったような表情を見せていた。


自らの精神支配が破られたのがそれほど衝撃だったのだろうか。


済まないね、インチキイージー野郎で。


心の中で詫びつつ、俺はインベントリからオーガの斧を10本取り出して床に並べると、それらを念動力で射出した。


物理攻撃をするのはいいが、胎児顔が不気味すぎて接近したくない。


で、思いついたのがこれだ。


「エルフ的に言うと……『大斧連環斬(たいふれんかんざん)』とかかな?」


念動力によって操られた10本の斧は瞬く間に『悪神の眷属』の触手をすべて斬り落とし、巨大な胎児の顔を切り刻……んだかどうかはさすがにグロくて目を背けていたが、おそらく切り刻み、ダンジョンボスを黒い霧へと還した。


俺が8等級の魔結晶をインベントリにしまっていると、地響きの音が遠くから聞こえてきた。


「なるほど、ボスを倒したらダンジョンが崩壊するのもお約束だな」


俺はまだ棒立ちになったままの3人を念動力で持ち上げると、全速力でダンジョン出口に向かうのであった。





地上に戻ると程なくしてダンジョンの入り口は崩れ、穴の開いていた大岩は何もなかったかのように元の姿を取り戻した。


一息ついた俺は、とりあえず3人の闇属性魔法を解除した……はずだったんだが……


「私は師匠の物になったんですよね? でもすでに弟子だったから、その先となると……、あっ、もしかして恋人? それともお嫁さんですかっ!? そうですよねっ、すでに一緒に暮らしてるんだしっ!じゃあなんでも言ってください! 私なんでもします!」


「ふう、ボクをモノにするとは、君もなかなか隅におけない男だね。まあこうなってしまった以上、ボクも男のフリをするのはやめにするよ。君の(モノ)として生きていこうじゃないか。これからは何でも言ってくれて構わないよ」


「ワタシはクスノキさんの物になったのよね!?っていうことは弟子!?クスノキさんは師匠ってこと!?じゃあ秘密の魔法を色々教えてもらったりできるワケよねっ!あ、もちろん魔法以外も教えてねっ!師匠と弟子のイケナイ関係とかもアリよねっ!」


まさかこんな酷い後遺症があるとは……。


なんかクリステル少年も、自分は『実は女の子でした』キャラだとしれっとカミングアウトしてるし……。


これ魔法が完全に解けた時、間違いなく俺が地獄を見るパターンですよね。




-------------------------------------


名前:ケイイチロウ クスノキ

種族:人間 男

年齢:26歳

職業:ハンター 1段

レベル:82(7up)


スキル: 

格闘Lv.24 大剣術Lv.25 長剣術Lv.20

斧術Lv.21 短剣術Lv.16 投擲Lv.10

九大属性魔法(火Lv.21 水Lv.25 氷Lv.17 

風Lv.33 地Lv.31 金Lv.27 雷Lv.22 

光Lv.19 闇Lv.7)(new)

時空間魔法Lv.22 生命魔法Lv.13 神聖魔法Lv.12

付与魔法Lv.5 算術Lv.6 超能力Lv.35

魔力操作Lv.27 魔力圧縮Lv.24 魔力回復Lv.19 

毒耐性Lv.10 眩惑耐性Lv.10 炎耐性Lv.9

闇耐性Lv.9 衝撃耐性Lv.13 魅了耐性Lv.6 

多言語理解 解析Lv.2 気配察知Lv.21

縮地Lv.20 暗視Lv.17 隠密Lv.18 俊足Lv.19

剛力Lv.21 剛体Lv.20 魔力視Lv.4

罠察知Lv.2(new) 不動Lv.19 狙撃Lv.22

錬金Lv.19 並列処理Lv.23 瞬発力上昇Lv.19

持久力上昇Lv.21 〇〇〇〇生成Lv.9 

   

称号:

天賦の才 異界の魂 ワイバーン殺し 

ヒュドラ殺し ガルム殺し ドラゴンゾンビ殺し

悪神の眷属殺し(new)

エルフ秘術の使い手 錬金術師

オークスロウター オーガスロウター エクソシスト

アビスの飼い主  トリガーハッピー 

エレメンタルマスター(new)


-------------------------------------


遂に『闇属性』を取得した。


称号の『エレメンタルマスター』が『属性魔法』に対応しているのなら、『九大属性』ですべて揃ったということになるのだろうか。


などとステータスチェックという名の現実逃避をしていると、


「あれ……私どうしたんですか……? あ、モンスターに操られて、師匠に攻撃して……。それから……ひあぁっ! 私師匠に変な事言ってませんでしたっ!? やだっ、忘れてくださいっ! 違うんですっ!」


「う……ん、ボクは何を……? アイツに操られて、クスノキと剣を合わせて……。……んっ!? さっき何かヘンな事を言った気がするんだけど……っ!? えっ、待ってくれよ、ボクはなんてことを言ってしまったんだ……っ!」


「はぁ……あら? ワタシどうしたの……あの変なのに闇魔法を受けて……、クスノキさんと魔法を撃ち合って……。え……っ!? ワタシ何か変な事言っちゃってない!? いやでも弟子になるのはアリかも……? でもイケナイ関係はマズいわよね……っ!」


どうやら死刑執行の時が来てしまったようである。


間違いなく不可抗力だったのだが……聞いてもらえるはずもないよなあ。

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